ヒマだしワインのむ。

ヒマなのでワインを飲みます。ワインの知識はありません。

パーリーゲーツ ピノ・ノワール。2000円台ピノ・ノワールの最高峰に登ってしまったかもしれない。【KRUGER FAMILY WINES/PEARLYGATES PINOT NOIR】

 クルーガー・ファミリー・ワインズとヨセフ・クルーガー

クルーガー・ファミリー・ワインズの「パーリーゲーツ ピノ・ノワール」を飲んだ。南アフリカのオススメワイン的文脈でたびたび目にするワインだけど果たしてどんなワインなんだろうかと調べてみた。

まず、ワインメーカーのヨハン・クルーガーは、西ケープ州・ステレンボッシュのワイナリー「ステルハイス・ワインズ」の創業者の息子で現当主。ステルハイスはアフリカーンス語で、英語でいえばスターハウス。その名が示す通り、地域で一番標高の高い場所にワイナリーが位置するのだそうだ。

f:id:ichibanboshimomojiro:20200924145119j:plain

クルーガー・ファミリー・ワインズの「パーリーゲーツ ピノ・ノワール」を飲みました。

スターハウスで育っただけにヨハンは星を見るのが好きなんだそうで、1年に3週間しか休みがなかった修行時代にも、貴重な休みは星を見るのに費やしたんだとか。ロマンチックだなヨハン。

その影響なのかどうなのか、天体の運行に合わせてブドウの収穫などを行うビオディナミ農法への移行を現在も進めていて、ヨハンいわく「満月にシャルドネの樽を回転させると、より早く沈殿物が落ちると信じています。また、より多くのエネルギーが存在するため、オリ(lees)の影響がより強くなります」とのこと。ほえー。

クルーガー・ファミリー・ワインズとパーリーゲーツと黙示録

クルーガー・ファミリー・ワインズが面白いのは醸造所も畑も所有していないという点。醸造所とセラーは間借り、畑はリースなんだそうで、南アフリカ中からいいブドウを集めてワイン造りを行っているのだとか。

ヨハンがアメリカとブルゴーニュでも修行してるっていうキャリアを考えると、ブルゴーニュ的なひとつの土地にこだわる姿勢と、アメリカ的ないろんな地域から良質なぶどうを集めておいしいワインを造ろうぜ、みたいな合理性を合わせ持ってる感じなんですかねヨハン。できるなヨハン。見た目はラグビー南ア代表みたいなイカツイ系だけど中身は繊細かつ合理主義的なのかも。

www.youtube.com

でもって、今回飲むパーリーゲーツ ピノ・ノワールは、その名もズバリのパーリーゲイツ農園のブドウで作ったワイン。パーリーゲーツ農園は海抜500メートルの隣接する2つのブドウ園で構成されていて、ブドウは半分が東西方向、半分が南北方向に植えられていることから、ヨーイドンで複雑性が担保されているみたいなことが書いてある。植える方向を東西方向と南北方向に分けるって初めて聞いた。面白い。

ところでパーリーゲーツはヨハネの黙示録の、「天国に至る門は12ありそれぞれが一個の真珠でできている」という記述に由来するんだそうだ。ワインのことを調べるのにまさかヨハネの黙示録wikiを読むハメになるとは思わなかった。長崎には隠れキリシタン天国の門と信じた島があるそうです。

himawine.hatenablog.com

パーリーゲーツ ピノ・ノワールの造り方をじっくり調べてみた

パーリゲーツ農園で成熟したブドウは手で収穫され、自然発酵が始まる前に5日間20〜40%は全房のまま冷水に浸される。発酵が始まったあとはピジャージュを1日1、2回行い、最低20日間スキンコンタクト。その後プレスして11カ月間古いオーク樽で熟成。澱引きを3回行い、フィルター濾過はしないんだそうだ。

なんで以上のようなことをするのか、「イギリス王立化学会の化学者が教えるワイン学入門」で調べてみると、まず全房と冷水に浸すのは、「ポリフェノール類の抽出を最小限に押さえながら、必要な風味成分と色素を抽出」するため。

で、発酵が始まると二酸化炭素によって果皮や果肉などの固形物が表面に層になる。これを「好気条件下の高温多湿なセラーでそのまま放置すれば」酢酸菌が増殖して「一晩で果汁がヴィネガーに変わってしまう」のだそうで、だからこそピジャージュ(櫂入れ)を行う。かつてはこの作業の最中に発酵槽に落ちて命をなくした人もいたとか。怖い。

で、澱引きは、発酵終了後に沈殿する「放置しておくと腐敗して嫌な匂いや苦味をもたらす」大量の澱を取り除くために行うんだそうだ。放置しておくと腐敗するから、なるべく早くこの作業は行う必要があり、ここで冒頭のほうに挙げた「満月にシャルドネの樽を回転させると、より早く沈殿物が落ちると信じています」とかっていうヨハンの言葉が伏線的に蘇ってくるわけですね。星見てて良かったねヨハン。

と、このように手間をかけて造ってるんだなあということを知った上で飲むとワインの味わいは実感値として15〜20%くらいアップする。ひとまず調べるだけ調べたので準備は完了だ。あとは飲むだけレッツゴーである。

パーリーゲーツ ピノ・ノワールを飲んでみた

というわけで満月の夜はとくに待たずにトクトクと注いで飲んでみるとあれこれ記憶にある味だな。あれだ、ビックカメラ赤坂見附駅店で飲んだジョセフ・ドルーアン村名飲み比べで飲んだ、ヴォーヌ・ロマネ、ジュブレ・シャンベルタン、シャンボール・ミュジニーのうちのどれか(曖昧)! ともかく、これは私のポンコツデータベース的には「ブルゴーニュ的なもの」エリアに分類される味わいである。

色はもうちょっとでロゼっていうくらい薄いのに、香りしっかり。酸味くっきり。でもって果実味は控えめ。なのに、アコヤガイの殻の中にある真珠のように果実の存在の核のようなものはしっかりと感じることができる。こりゃいいわ。これは飲むパーリーゲーツ。しかも翌日になると果実感がより出てきて初日とはちょっと違った感じでまた楽しめる。お得だわ。やるなヨハン。2000円台で買えるワインでこのバランスはすごいんじゃないでしょうか。

というわけで、2000円台のピノ・ノワールとしては過去最高レベルだったのでした。同じ高コスパ系といえばのコノスル20バレルとかと飲み比べたらどうなんだろうな。買ってこようかな。