ヒマだしワインのむ。|ワインブログ

年間500種類くらいワインを飲むワインブロガーのブログです。できる限り一次情報を。ワインと造り手に敬意を持って。

ベンド シャルドネ「836円」はお値段以上か。現地価格より安いカリフォルニアの白ワインを飲んでみた。【BEND CHARDONAAY】

ベンド シャルドネはどんなワインか

カリフォルニアの白ワイン「ベンド シャルドネ」を飲んだ。購入価格は836円税込。財布にやさしい三桁円のワインだ。

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ベンド シャルドネを飲みました。

さて、同じ「ベンド」のカベルネ・ソーヴィニヨンは2020年5月に飲んでいる。ベンドはカリフォルニアの安うまワインで有名なカモミ(CA’MOMI)の創業者である3人のイタリア人のうちの2人によるフィオール・ディ・ソル社が手がけ、小売大手のトータルワイン社(total wine&more)が販売するブランド。大資本の大量調達・大量生産による高品質・低価格っていうユニクロ的おいしさがベンド カベルネ・ソーヴィニヨンにはあり、そのおいしさを私は当時年棒4200万円で打率.235 本塁打19本 76打点くらいの成績を残す外国人助っ人打者にたとえたのだった。こういう選手が私の推してる赤い帽子の野球チームに1人いたら今シーズンの戦いはまったく違ったものになったんだよワインの話だった。

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トータルワインは全米で212のショップを展開するワイン小売大手。1991年創業というからわずか30年で(しかもインターネットの時代に)全米にショップ網を築き上げたのすごい。そして、そのカンパニーページにはこんなことが書いてある。

「ワイン、スピリッツ、ビールを毎日最低価格で提供することをお約束します。私たちの驚異的な購買力と生産者、輸入業者、卸売業者との特別な関係は、私たちにかなりの節約をもたらし、それをお客様に還元します」

この一文に「生産者」という文言が刻まれていることがベンドの低価格の秘密の一端なのだろう。大量調達・大量生産・自社流通網による廉価販売は、最近の広島カープの中継ぎ投手陣でいうところのケムナ・塹江・フランスワ的ないわゆるひとつの勝ちパターン。セブン&アイでいうところのヨセミテ・ロード的なワインと考えると低価格・高品質も納得がいく。なんとなく価格帯も似てるし。

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ベンド シャルドネの現地価格は「7.99ドル」。日本のほうが安い!?

ただ、驚くべきことに、ベンド シャルドネの現地価格は7.99ドル。今は円高なので1ドル105円で計算すると838円。記事執筆時点での葡萄畑ココスでの購入価格は836円なのであれおかしいな。計算間違ったかな。カタカタカタ(計算し直す)という茶番を何度繰り返しても日本で買ったほうが約2セント安いのホントなんなの。

2020年は、アルタ・マリアヴィンヤーズのワインが半額&「ロマネ・コンティと同じ製法」でバズったり、ヘスの本国レストラン専売の商品がコロナ禍の影響でダブついてこれまたおよそ半額で日本で大量に出回ったりしたが、このベンドも価格的にはおかしなことになってる。現地価格より安いの超強い。港に運び、船に乗せ、太平洋を渡ってまた港に着きっていうコストはどこに消えたんだよってなる。今ならカリフォルニアから送料無料キャンペーンかなにかか(※現在のこの価格は変更になる可能性もあるみたいです)。

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ただ、いつものことだがこれでおいしくなかったら意味がない。トータルワインのサイトを見ると製法に関しては言及なし。輸入元のワイン・イン・スタイルのサイトにも情報なし。品種はカリフォルニア産のシャルドネ。アルコール度数は13.5%。手に入る情報はこれだけなので飲むっきゃないといざ抜栓である。

ベンド シャルドネを飲んでみた

さてグラスに注いでみると、色は濃くなく薄くなく、香りは強すぎず弱すぎずで序盤は穏やかな立ち上がりである。しかしながら口に入れてみるといきなりド派手。屋根の上でバニラ味のソフトクリームを舐めてるドンキーコングアプリコットとかパイナップルとかが詰まったオーク樽をガンガン投げつけてくるのを避けようと思ったら足元のバターに滑って転んだ、みたいな味がする。バター、バニラ、あとなんか果物。

にしてもオーク樽はそれなりの価格がするはずなので、これどうやってるんだろう。オークチップを浸すことでワインにオークの風味をつける手法があると聞くがそれだろうか。難しいことはわからないがともかくこれは非常に私の好みの味。秋になると飲みたくなるカリフォルニアの樽の効いたシャルドネの味である。

トータルワインの商品ページのレビュー欄には「私はこのワインを料理用に買ったが、鍋に触れることはなかったよ(笑)」みたいなアメリカンなコメントがあるが、これは割と至言だと思う。料理酒として買ったにもかかわらず料理に使用しなかったということは、料理用にはまた別のワインを買うという手間が必要になる。おそらくこのレビュアーは鍋に入れる前にちょっと味見と口に含み、「こいつ……うまいぞ!」とガンダムを見つけたときのアムロみたいな顔で思い、鍋に入れるのやめ、料理用には別のワインを用意する手間をかけたのだろう。その価値はある。

もちろん、値段を考えれば半分を料理に使い、半分を飲むといった贅沢な使い方をしてマリアージュを楽しむとかも乙かもしれない。デカめの貝をバターとベンドで蒸した料理とか超絶合いそう……うーん超絶合いそうだな。貝のベンド蒸し次買ったときつくる。ベンド、オリーブオイル、ミニトマトをそれぞれドバドバ鍋に投入、旬の白身魚でベンドアクアパッツァとかもウヒョヒョヒョヒョ、絶対合う。食べたい。

ベンドにはメルロー、ホワイト ジンファンデル(ロゼ)、レッドブレンドという日本未導入のワインも存在する。このなかでやべえやつはメルローで、その他4種類よりもさらに1ドル安い6.99ドル。一体どんな味なのか、気になって仕方がないのでどなたか輸入してください。