ヒマだしワインのむ。

ヒマなのでワインを飲みます。ワインの知識はありません。

「ブルゴーニュは5000円以上払うべし」は本当か? 「サヴィニー・レ・ボーヌ クロ・デ・ゴドー」を飲んでたしかめてみた。

ジョセフ・ドルーアン「サヴィニー・レ・ボーヌ クロ・デ・ゴドー」でたしかめる

ワインのことを知れば知るほど、入門書「図解 ワイン一年生」には本当のことしか書かれてなかったんだな、と思う機会が増えたような気がする。「まずいシャンパンはない」とか「ラングドックのワインはがぶがぶ飲もう」とか「チリワインは優秀だが、チリワインだけで終わっちゃうとつまらない」とか。

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そして、その中でも大袈裟にいえば私にとってある種の呪いになってしまっている記述がある。

「はっきり言うと、安いブルゴーニュはたいていおいしくないです。千円、二千円台でブルゴーニュを買えば、まずひどい目にあうと思っておいた方がいいです」(137ページ)

これだ。そして、この一文は「はじめてブルゴーニュを試すときは、五千円以上はするちゃんとしたものを手に入れ」たほうがいいというふうに続く。「たいていおいしくない」「まずひどい目にあう」という強めの表現に私は恐れをなし、これまでブルゴーニュのワインにあまり手を出せずにいた。だって初手5000円以上ってハードル高いでしょ普通に。「おいしいお寿司を食べたいと思ったら、一人前5000円以上は払うべし」って言われたらビビるじゃないすか。わかったスシローいくわってなるじゃないすか。スシローは安いし寿司はもちろんラーメンも妙にうまいしコーヒーものめるしワインの話だった。

ともかく苦手意識のあるブルゴーニュのことを知ろうと不定期にやっているのがジョセフ・ドルーアンのワインを飲んでブルゴーニュの土地勘を頭に叩き込む、という企画。これまでに、AOCブルゴーニュボジョレー・ヴィラージュ、コート・ド・ニュイ・ヴィラージュを買ってきて飲み、ヴォーヌ・ロマネ、シャンボール・ミュジニー、ジュブレ・シャンベルタンを試飲した。

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ボトルで飲んだのは3000円台以下。グラスで飲んだのは5000円を超える価格帯。そして、「図解ワイン一年生」で予言されていたことは本当にその通りだなと感じる結果といまのところなっている。3000円台以下の3銘柄が美味しくなかったことは全然なかったのだが(AOCブルゴーニュだけは若干微妙だったかも)、5000円台以上のものとはやっぱり明らかに違った。家カレーとホテルカレーくらい違った。ホテルカレーがシンプルな見た目ながら「ワシ、作んのにめっっっちゃ手間かかってっからね」って皿の中からこっちに圧かけてくるあの感じがあった。カレーもいいな今夜。

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ジョセフ・ドルーアン「サヴィニー・レ・ボーヌ クロ・デ・ゴドー 2015」を飲みました。

というわけで今回は5000円台をボトルで飲もうということでドルーアンの「サヴィニー・レ・ボーヌ クロ・デ・ゴドー」を買ってみたのだった。

サヴィニー・レ・ボーヌ クロ・デ・ゴドーはどんなワインか

サヴィニー・レ ・ボーヌ村にドルーアンが単独所有してる畑がクロ・デ・ゴドー。なんだけど、ワインの格としては畑名とかではなくてあくまで村名格っていうドラフト1位(ただし育成指名)、みたいな感じがするワインだが、5000円を超える価格で売られていることも珍しくはなく、「ワイン一年生」に書かれていた「五千円以上はするちゃんとしたもの」という条件はクリアしている。

サヴィニー・レ ・ボーヌはボーヌの北西4.5キロにある人口1422人の小さな村。クロ・デ・ゴドーは標高360メートルの南向きの畑なんだそうだ。そこで採れたピノ・ノワール醸造後、新樽率20%のフレンチオークで14〜18カ月熟成。なんか良さそうじゃないの。

サヴィニー・レ・ボーヌ クロ・デ・ゴドーを飲んでみた

というわけでトポポポポ、と注いでみた。うーん、いい香り。これはなんの香りだろうかと公式のテイスティングノートを見ると、「小さな赤いベリーと花のエレガントなノーズは、バラやスパイスを示唆している可能性があります」とのこと。「示唆している可能性がある」ってどっちなんだよ。政治家の答弁か。「示唆している可能性があり、あるいはまた示唆していない可能性もあるかもしれないと、こう秘書が申しております次第でありましてごにょごにょ」とかかよ。でもたしかにバラっぽい。うーん、いい香り。ずっとかいでられる。

で、飲んでみて私はつぶやいた。「なるほどね」と。なにが「なるほどね」なのかといえば、やはり3000台以下の同じ造り手のワインとわりかし明確な線が引かれてる感があったのだった。3000円台前半で買ったコート・ド・ニュイ・ヴィラージュも十分おいしかったが、おいしさ値にそこまで差がないながら、奥行き感みたいなものに差がある気がする。同じ敷地面積なんだけど、建ぺい率が違うみたいな。あれなんか違うな。球速は同じなんだけどスピン量が違う、これだな。藤川球児のストレートは球速以上に速く感じる的な質的違いがある。要するにとってもおいしい。これはいいわ。「繊細なフィネスに貢献する絹のようなタンニン」(テイスティングノートより)だわ。

問題は価格で、5000円+は日常的に飲むには高い。なにを読んでも「ブルゴーニュは高騰し、手が出しにくくなった」と書いてあるし、これに関してはもっと早いタイミングで飲み始めていれば……と思ってしまうが思ったところでせんなきことである。それに、5000円以下でもおいしいものは普通にあるはず。

これからも折に触れてお高めブルゴーニュで己に喝を入れつつ、1000〜3000円くらいの価格でおいしいピノ・ノワールを探して行こうと決意した次第だ。