ヒマだしワインのむ。

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マルセル・ラピエールの20年熟成「モルゴン」がすごい。ガメイ12種飲み比べ試飲会参加レポート

ガメイオンリー。ウィルトスワインの試飲会に参加した

東京・神宮前のショップ、ウィルトスワインで「ガメイだけ」という野球でいえば下手投げの投手だけ集めて先発ローテ組みましたみたいな面白い試飲会をやるというので行った。

飲めるワインは12種類。1種を除いてすべてガメイ100%のワインでそのうち1本はフランスにおける自然派ワインの先駆け的生産者、マルセル・ラピエールの定番ワイン「モルゴン」のなんと2000年ヴィンテージ。ウィルトスワインのスタッフの方個人蔵のものを供出してくださったというこれのみキャッシュオン(1000円)で、残りの11種類は2500円の参加費のみで試飲が可能というイベントだ。

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さて、この日の私の作戦はシンプルだ。現在我が家の最大24本収納のセラーはパツンパツン状態で、きたるべきセールで年末年始のワインをまとめ買いするために枠を確保しなければならない状態。野球でいえばドラフトで新たに戦力を補充するために既存の選手に戦力外通告を行わなければならない時期にあり、セラーを開けるために一生懸命飲んでます、ワインうまい、みたいな時期。たくさんは買えない。なので、飲んだ中でもっともおいしかったものを1本だけ買おう。そう心に決めていた。ちなみに結局2本買った。人生とは恐ろしい冗談の連続である。

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試飲会ラインナップ。12種類のガメイを飲みました。

【印象に残ったガメイその1】アラン・ルナルダ・ファッシュ「ビュジェ・セルドン・メトード・アンセストラル」

さて、話は神宮前のウィルトスワインに戻って私の目の前には12本のワインが、首から1〜12の番号札をぶら下げて鎮座している。参加者にはグラスがひとつ渡され、好きな番号を言うとスタッフの方が注いでくれるスタイル。1番から順に飲んでいき、12番のモルゴン2000にたどりつくという段取りだ。モルゴン、ってなんか約束の地、みたいな語感がありますよね中二病的に言うと。

ここからは特に印象に残ったワインのみを記すが、まずは1番アラン・ルナルダ・ファッシュの「ビュジェ・セルドン・メトード・アンセストラル」がいきなり初球の甘く入ってきたスライダーをライトスタンド中段まで運ぶ先頭打者ホームランだった。なんだこりゃ、めっちゃおいしいじゃないの。

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アラン・ルナルダ・ファッシュ「ビュジェ・セルドン・メトード・アンセストラル」

ピュジェ・セルドンというのは初耳だったのだが、なんでもガメイとプールサールでつくるサヴォア地方の伝統的なロゼスパークリングなんだそうで、造り手はその名手なんだそうだ。っていうか調べたらこのワイン1種類しか造ってないみたい。「そば」しかメニューがなくて店主が「あいよ!」意外言葉を発しないラーメン屋的な印象だ。そのラーメンには店主の生き様すべてが詰まってうまい。アルコール度数は8%で残糖40g/L程度のほのかな甘口とのことだけどわりとはっきり甘く、そしてすっぱく、天国で天使とかが飲むなんかよくわかんない花の蜜って多分この味、みたいなものすごくストレスの少ない甘酸っぱさと気圧低めのやさしい泡のバランスがむっちゃくちゃいい。買います(チョロい)。

【印象に残ったガメイその2】還元臭と私

次に印象的だったのは名前は伏せるがある赤ワインで、いわゆる還元臭というものを初めて嗅いだ。私が初心者丸出しで「これが還元臭ですか〜、ほえ〜」などと言っていると、常連の方々やお店の方が「そうそう」「昔はよくあったよね」「なつかしいなぁ」「きらいじゃないんだよね」「むしろ好き」みたいに盛り上がってて楽しかったです(小学生の作文レベルの感想)。

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瓶熟させれば還元臭はなくなるんだそうで、実際飲んでいるうちに独特な匂いは薄れて旨味だけが残っていった。これは意外と嫌いではなくちょっとクセになる感じ。基本的にはポジティブな情報でないと思うので匿名とするが、印象的だった。

【印象に残ったガメイその3】マルク・デリンヌ「アバランシュ・ドゥ・プランタン」

続いては10番のマルク・デリンヌだ。スタッフの方いわく「成功を約束されているワイン」というワイン。いまはまだ有名ではないが、将来的に必ず評価が高まるであろうという意味合いで、名前のカタカナで検索すると検索結果は驚愕の3件。うち2件はウィルトスワイン絡み。うーん、無名。なんでも、ワイン造りをスタートしたのが2015年とごく最近なんだとか。キャリアは浅いがこれはものすごく明確においしい。

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マルク・デリンヌ「アバランシュ・ドゥ・プランタン」

このおいしさをうまく説明するべく昨日とったメモを見ると「いちばんおいしい」って書いてあったんだけど使えないですねこのメモ。書いたの誰だよ。私ですよ。農薬を使わず、天然酵母で発酵、補糖、補酸、亜硫酸不使用、無濾過、無清澄といういかにも自然派の造り。なんだけど、自然派です。みたいな感じが意外となく、普通の赤ワイン的なものとしてとにかくおいしい。甘酸っぱくて渋みもしっかり、それでいて軽やかみたいな、私がガメイちゃんに期待したいことがすべてハイレベルに揃っている。打率2割8分5厘、25本塁打、30盗塁みたいな選手。

私の味覚レベルはブラインドならワインの品種・産地はおろか豚骨ラーメンと鶏白湯ラーメンの区別がつくかも疑わしいレベルでまったく信頼がおけないが、このワインに関しては参加されていた常連の方々も口々に褒めておられたので間違いなくおいしいと思う。おれの兄ちゃんの友達ケンカめっちゃ強いかんなみたいな虎の威を借るフォクシーフレーバースタイルで言わせてもらうと。これはいいわ。買います(チョロい)。

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【印象に残ったガメイその4】マルセル・ラピエール「モルゴン(2000)」。これはガチ

そして、なんといってもハイライトはマルセル・ラピエール「モルゴン」の2000年ヴィンテージ。これはめちゃくちゃおいしかった。とても20年前に造られたものとは思えないほどフレッシュで、酸味もいきいき、渋みもしっかり、まさに走攻守揃った感じだった。色は少しオレンジがかって歳月の変化を感じさせるけど、本当に搾りたて感まであった。これは飲む美魔女。

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マルセル・ラピエール「モルゴン(2000)」

試飲会には20代前半だという若い女性も参加されていたのだが、その女性が発した「2000年って、どんなことがあったんですか?」という一言から参加者一同で「2000年問題ってのがあってだな」と盛り上がったのも楽しかった。「忘れもせん、あれは20年前のことじゃ……」みたいな村の古老プレーを楽しむことができた。その年にあったこと、その年になにをしていたかをワイワイ話しながら飲むのも熟成ワインの楽しみなんですね。乙!

このワインはグラスでの提供のみのため、残り11種のうちからとくに印象に残った1番(3100円税抜き)と10番(4500円税抜き)を参加者特典の10%オフで購入。圧迫するんだよなあ、枠を。こうなるとセラーの上に同じセラー重ねたい。バンドマンがマーシャルのアンプをアンプの上に重ねるみたいに。そんなことを妄想しつつ、とっぷりと暮れた街を北参道の駅へと向かったのだった。

 

ネットでは「1番」が買えるようです。