- ニコラ・フィアットについて調べてみた
- ニコラ・フィアットの歴史
- ニコラ・フィアットとコーペラティブ・ド・マニュピラン
- ニコラ・フィアットのラインナップ
- ニコラ・フィアット「セレクション・ブリュット」を飲んでみた
ニコラ・フィアットについて調べてみた
ニコラ・フィアットのシャンパーニュが安く売られていたので購入。せっかくなのでいろいろ調べてみた。
まずなにがすごいかってニコラ・フィアットはフランスでいちばん売れてるシャンパーニュであり、世界で3番目に売れてるシャンパーニュだという点だ。ちなみに1位はモエ・エ・シャンドンで2位はヴーヴ・クリコ。その超有名2トップに次ぐのがニコラ・フィアットなのだ。すごい。
さらにすごいのがニコラ・フィアットは創業1976年なんですよ。約半世紀前。十分昔じゃんと感じるかもしれないがシャンパーニュって何世紀も前からやってるところが結局今もグランメゾンみたいになってる気がするのでその点でもすごい。ちなみにモエ・エ・シャンドンは1743年創業、ヴーヴ・クリコは1772年創業だ。
ニコラ・フィアットの歴史
ニコラ・フィアットはニコラ・フィアットというアメリカで大成功を収めたフランスの実業家がはじめたシャンパーニュブランド。そのサクセスストーリーは世界をまたにかけるビジネスマンでなければなしえないものだ。
ニコラ・フィアットの創業年は前述のように1976年。50歳だったニコラ・フィアットは当初、アメリカの友人への贈り物としてシャンパーニュを造り始めたのだそうだ。セレブの友人を多数抱えていたニコラ・フィアットのシャンパーニュは早くに評判を呼び、12ヘクタールの自社畑では高まる需要に応えられなくなる。そこでフィアットは「シャンパーニュ醸造センター(センター・ヴィニュコール・ド・シャンパーニュ)」と手を組むことを決意した。これがすげえんですよ。
シャンパーニュ醸造センターは過剰生産の問題を抱えた生産者たちが1972年に設立した団体。83の協同組合と5000の生産者が参加していたが、wikiによれば「大手シャンパンメゾンに比べれば、銘柄の評価は低かった」ことで「シャンパンの販売でほとんど成功していなかった」のだそうだ。ブランドがないとモノは売れない。悲しいけどこれって資本主義社会の常識なのよねである。
ブランドはあるが生産力のないニコラ・フィアットと生産力はあるがブランドがない生産組合。いわば最強の矛と最強の盾的なイメージで、それを接続しようというアイデアを描き、実現させてしまう伝説上の坂本龍馬的手腕がニコラ・フィアットのすさまじいところだったんだと思う。こうして1986年、シャンパーニュ・ニコラ・フィアット醸造センターが誕生し、1995年には早くも売り上げ100万本を達成するまでに急成長を遂げる。
ニコラ・フィアットとコーペラティブ・ド・マニュピラン
スタートアップ期にブランドだけ造って、その後は大量生産に乗せる。書けば一行だがカンタンじゃないよなあどう考えても。資料を読むと営業マンとしてのレベル99感がすごいんですよニコラ・フィアット。
自身はブランドを早々に売却し、アンバサダーとして世界のセレブたちに自分の名を冠したシャンパーニュを注いで回2014年に88歳で亡くなっているが、その年にシャンパーニュ、ニコラ・フィアットは売り上げ1000万本を突破したそうだ。誰か映画化してください。
シャンパーニュはNM(ネゴシアン・マニュピラン)、RM(レコルタン・マニュピラン)、といった区分があるが、そんなわけでニコラ・フィアットはCM(コーペラティブ・ド・マニュピラン)。その栽培面積は2100ヘクタール。17のグラン・クリュのうち11、42のプルミエ・クリュのうち26、その他の260のうち145のクリュからのブドウが使われているのだそうだ。規模やばい。
小規模農家がこだわって造る職人的シャンパーニュと対極にあるような大規模生産によるスケールメリット。それがニコラ・フィアットの特徴のようだ。
ニコラ・フィアットのラインナップ
そのラインナップは多岐に渡り、まずいちばん安く手に入るのが今回私が飲んだ「セレクション・ブリュット」。
スタンダードにあたるのがニコラ・フィアットのスタイルを典型的に表すという「レゼルヴ・エクスクルーシブ」。その上に「グラン・レゼルヴ・ブリュット」がある。
そのさらに上にミレジムシリーズがある。「キュヴェ・スペシアル」、「コレクション・ヴィンテージ」、「グラン・クリュ」といったキュヴェがあり、その頂点に「パルム・ドール」が君臨する。それぞれにロゼがあったり限定ボトルがあったりして、全容は公式サイトをみてももはやよくわからない。
ニコラ・フィアット「セレクション・ブリュット」を飲んでみた
私が飲んだのは、もっとも安く買えるセレクション・ブリュット。「喉越しの良さを追求」「食前酒に最適」「良い意味で単純」といった、アサヒスーパードライの説明かな的説明が公式サイトでされているところからラインナップ上での立ち位置は推して知るべしというキュヴェだ。スタンダードのさらに手前にある、エントリー向けって感じなんですかね。
とはいえシャルドネ10%、ピノ・ノワール40%、ムニエ50%をブレンドし、セラーで2、3年熟成させるというから造りはもちろんしっかりしてる。で、飲んでみるとこれがおいしいんですよ非常に。バッチリうまい。リンゴ感がすごくはっきりあって、すごくフレッシュな印象。
ケンタッキーフライドチキンやらフライドポテトやらデパ地下のローストビーフやらといった買い食い系のつまみ群と合わせたのだが、これはもうむちゃくちゃ合った。喉越しが良く、味わいにキレがあってこれホントにASD感ある。(ASD=ASAHI SUPER DRY)
複雑さよりはフレッシュさと果実味が魅力という味わいで、探せば3000円を切る価格で手に入ることもあって気楽に飲めるシャンパーニュ枠としては最高の選択肢のひとつのような気がする。大規模生産者の調達力ってあなどれないですよね、常に。
自宅にはまだニコラ・フィアットの別キュヴェがふたつある。それを飲むのも非常に楽しみになったのだった。