ヒマだしワインのむ。|ワインブログ

年間500種類くらいワインを飲むワインブロガーのブログです。できる限り一次情報を。ワインと造り手に敬意を持って。

ヴァザール・コカール。グラン・クリュ村のブラン・ド・ブランがおいしすぎた件。【Vazart Coquart Brut Reserve】

ヴァザール・コカール ブリュット レゼルヴ ブラン・ド・ブランはどんなワインか

お祝いごとがあった日はシャンパーニュを飲まなければならないのでお祝いごとがあった日にシャンパーニュを飲むことにした。

選んだのはヴァザール・コカールの「ブリュット レゼルヴ ブラン・ド・ブラン」。

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ヴァザール・コカール ブリュット レゼルヴ ブラン・ド・ブラン

シャンパンハウスの3本セットのうちの1本で、正直3本のなかでもっとも期待してなかったのだが、結論を先に言えばまるでドラフト下位指名の社会人出身野手が1年目から新人王を獲る的良さがあったのだった。守備の人って聞いてたのに意外にパンチ力あるじゃんみたいな感じだった。.288 12本 34打点 盗塁10くらいの成績ね。で、守備も良い。今シーズンの新人で言うと……と深入りすると完全に野球の話になるのでやめます。

さて、どんな生産者が造るどんなワインなのかをサクッと見ていこう。

 

 

ヴァザール・コカールの歴史と神の甘露煮

ヴァザール・コカールは1954年創業。コート・デ・ブランのグラン・クリュであるシュイリー村にシャルドネが大半を占める11ヘクタールの畑を持っていて、当主のジャン-ピエールは3代目……といった情報を私は公式サイトの情報を翻訳サイト「DeepL」を用いてフランス語から日本語に訳してチェックしているわけだが、読み進めていくと、創業時のエピソードとして「一家は神の甘露煮を作るために投資を始めた」って文章に出くわした。「神の甘露煮(le divin nectar)」パワーワードすぎるな。みなさんシャンパーニュは神の甘露煮です。

 

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ともかく農家だったヴァザール家は1954年に神の甘露煮造りをスタート。以来、父から子へと家業が受け継がれているようだ。

ワインはブラン・ド・ブランなのでもちろんグラン・クリュのシャルドネ100%。1982年に造られ、「毎年一部を更新している」リザーブワインをブレンドしているとのこと。デ ゴルジュマンは2020年。ドサージュは6.5g/L。アルコール度数は12%。

グラン・クリュのシャルドネで造ったその味わいはいかがなものか。いざ、飲んでみよう。

 

ヴァザール・コカール ブリュット レゼルヴ ブラン・ド・ブランを飲んでみた。

さて、グラスに注いでみると泡風呂みたいなシュワシュワした泡が勢いよく立って、それが落ち着くと、1、2、3……5ですねこれは。5筋の泡がグラスの底から立ち昇る泡の源泉掛け流し状態。その泡は非常に細くて小さく、これぞシャンパーニュの感がある。

サイダー的な勢いよくハツラツとした弾ける泡ではなく、バブ的な舌や泡をやさしく包み込むようなムース感のある泡だ。体験としては飲用というより入浴に近いんじゃないかってレベルの心地よさ。いいですよこれは。とてもいい。お口の中が湯~とぴあ(甲府市にある温浴施設)状態である。

 

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ブラン・ド・ブランっていうとなんかこう、印象的にはスッキリみたいなことかと思いきや、味わいはこれぞシャンパーニュというパン的な香りと、リンゴですかねこれは。目に見える蜜はないのに非常に甘く、同時に酸味もはっきりとあるタイプの当たりリンゴあるじゃないすか。あれ的な味わいがある。

パン的な香りも強く、長い時間をかけてパンに圧力をかけ続けた結果生まれた結晶、みたいな濃縮された香りがある。要するに味も香りもとてもいい。

 

ヴァザール・コカール ブリュット レゼルヴ ブラン・ド・ブラン、2日目のご様子

そして、これはマイナーな意見だと思うけれども私は2日目のシャンパーニュも好き。初日のシャンパーニュが満開の桜で勢いよく立つ泡が風に舞い散る桜の花びらだとするならば、2日目のシャンパーニュは葉桜的良さがあると思うんですよマジで。葉桜のみんなからアッサリ注目されなくなってる感じと2日目のシャンパーニュが醸し出してる哀愁はどこか似ている。

で、このワインの場合2日目に気持ち色が濃くなったような気がするほど味わいにも蜜のような感じが出てきて非常においしい。泡はそりゃまあ弱いけどなくなったわけではなく、微発泡のおいしいシャルドネを飲んでるみたいな気分。3日目にはどうなるのかなと思わないでもないけれど、おいしいのでさすがに2日でフィニッシュしてしまった。

 

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というわけでヴァザール・コカールがこれ本当にあなどれなかった。前評判を覆す見事な活躍を見せたという意味では2020年シーズンにおける東北楽天ゴールデンイーグルスの小深田大翔内野手的なサプライズだった結局野球の話すると。そしてグランクリュ村のシャンパーニュをつかまえてサプライズとか言っちゃって大変恐縮ですけど。

このシャンパンはシャンパンハウスの3本セットのうちの1本で、同セットに入っていた「ガメ キャラクター」も大変おいしかったので、もう1本は未飲だけれどもこれは当たりセットだった。やっぱり春は神の甘露煮・シャンパーニュですなあ。