ヒマだしワインのむ。

ヒマなのでワインを飲みます。ワインの知識はありません。

ドイツワインの試飲会に参加したら新しい味覚のトビラが開いてしまった話。

ドイツワインの試飲会に参加した

数は全然飲んでないけど私の今年のベストロゼはフリードリッヒ・ベッカーのプティ・ロゼ。手の届かないブドウを見上げるキツネのラベルもかわいくて、このドイツの造り手がすっかり気になっていたところそのベッカーの銘柄を複数飲める試飲会があると耳にした情報が電気信号となって脳に至ったと同時に申し込んで行った。

場所は外苑前のウィルトスワイン。タイトルは「ドイツのナチュラルワイン&ウィルトスセレクト食後酒試飲会」で、ベッカーの輸入元であるインポーター・ヘレンベルガーホーフの担当者の方が来てワインの説明をその場でしてくれるという贅沢な集まりだ。

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ズラリと並んだベッカー&ライナー主体のラインナップ。これを試飲します。

ここでイベントタイトルをよくご確認いただきたいのだが、「ドイツのナチュラルワイン&ウィルトスセレクト食後酒試飲会」と題された「&」以降が試飲会後半で大きな意味を持ってくるのだが、ひとまずベッカーのワインを楽しみに会場へと向かった。

参加費はプロ500円、一般1500円。それを払ってグラスを受け取ると、おお、壮観。ベッカーのワインが7種類、そして、ユルゲン・ライナーという初めて飲む生産者のワインが3種類(とジュース1種類)ズラリと並んでいる。

フリードリッヒ・ベッカーとユルゲン・ライナーのワインを10種類試飲

さて、試飲会に来たのはいいが、私の自宅のセラーはパンパンだ。パンパンどころかすでに溢れている。これはクリスマス用だ、これは正月に飲む分……これは節分に邪気を払うのにピッタリ……等々季節もかなり先取ってしまっているので今日買うのは1本に絞りたい。前回そう固く決意してあっさり2本買ってしまったので今回こそリベンジである。買うのは1本。わかったね?

そう言い聞かせてまずは「フュージョン ヴァイス」「ハンドヴェルグ」というライナーの白ワインを立て続けにグラスに注いでもらって飲むといきなりどちらもおいしい。とくに気に入ったのは「ハンドヴェルグ」のほうで、聞けばキュヴェ名は「ハンドワーク」すなわち手仕事を意味し、造り手のポリシーが名前にも込められている的ワインなのだそうだ。リースリングでキリリと酸味があるんだけど残糖もあえて多めにしているのだそうで果実味もキチンと感じられる。ライナーいいな。いきなりいいな。ライナー性の当たりでライト前にヒットであります。

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ライナーとベッカー、それぞれの畑の「石(石灰岩)」も見せていただいた。「ドイツの造り手はとにかく土壌にこだわるんです」とのこと。ライナーは畑に棲む虫が好きでラベルに虫が必ず入るそうです。

と、ここでちょっと待てと打席に入ってきたのがドイツの大砲・ベッカー選手で、飲んだのは「ジルヴァーナー1000ML」。担当の方曰く、ジルヴァーナーは特徴がないのが特徴で、ワインのかさましにも使われるブドウなんだとか。ただ、ベッカーが独立した1976年当時はドイツで彼らの主力である赤ワイン(シュペートブルグンダー)が売れず、このジルヴァーナーで造ったワインが家族の生活を支えていた。それで作り続けていたら、今やブドウの樹も古木となっていい感じになり、とてもおいしいワインが造れるようになったのだとか。なにそれ超いい話。そんな今でもジルーヴァーナーはガブガブ飲む用なのは変わらず、このワインはドイツ国内消費用の1リットル入りなんだとか。

で、飲んでみるとこれがまたいい。突出したところのなさが飲んでいてすごく心地良くて、どんな料理にも寄り添ってくれそうだし、1リットルで2500円と良コスパ。これはパーティ用に買っておいたほうがいいな(パーティの予定はない)と思っちゃう1本だ。

ベッカーの「リースリング&ゲヴュルツトラミナー」が秀逸な件

このあとも白品種の試飲は続くわけだが驚くべきことに全部おいしい。とくにベッカーの「リースリング&ゲヴュルツトラミナー」は秀逸で、リースリングのツンとした酸とゲヴュルツの甘やかな香りが陰陽和合してお口のなかがツンデレ状態。雑にいえば全部おいしいが、これか、1リットルワインか、ライナーの「ハンドヴェルグ」あたりはかなり有力な購入候補だな、と脳にメモして3本の赤ワインへの試飲へと移って行った。

赤は3種類。すべてシュペートブルグンダーで、どれもおいしかったが中でもベッカーの上級キュヴェが抜群に良かった。なんでもベッカーはシュペートブルグンダーだけで20から30種類ものワインを生産しているのだそうで、なかには何万円もする高級なものもあるのだそう。その5000円クラスのキュヴェがすごくキレイな味がして印象に残ったのだがどうやら飲み頃はまだ少し先のようだ。現時点で十分においしいけれどももっとおいしくなるとなれば寝かせておきたいのが人情。しかし今回私がスカウトしたいのは育成ではなく即戦力となる選手なので悩みは深まるばかりである。

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ラングマンの「ゲヴュルツトラミナー ベーレンアウスレーゼ」がすごい

困ったなあと思っていると目の前に出されたのがオーストリアの造り手・ラングマンの甘口ワイン「ゲヴュルツトラミナー ベーレンアウスレーゼ」。例外的に暑かった年に熟しに熟したブドウを使って作った「(気候的に)もう2度と作れないワイン」だそうで生産者自信が「今までで最高のデザートワイン」と豪語したというワインなんだけどこれがヤバい。甘さが舌を通過して脳に突き刺さり、突き刺さったかと思ったらトロ〜リとかき回してくる。オラ、こんなに自分を甘やかしてくれる液体初めてだぞ……となんの脈絡もなく一人称が「オラ」になる衝撃の甘さ。今日飲んだワインは本当にどれもおいしかったが、口に入れた瞬間に99%の確率でこれを買うと決めた。検討の前に結論が先にきた。「オーストリアでは宮殿で試飲会するんですけど、暑くて暑くて。宮殿ってクーラーないんですよ(笑)」って話も面白かったです買います。

うん、これはいいワインに出会えたわい、大満足だわいと思っていると、いつもワインが置かれているテーブルではないテーブルにボトルが並んでいるのが視界に入る。

食後酒=蒸留酒の試飲がスタート

……そうだ、「ウィルトスセレクト食後試飲会」も兼ねているのだった今日は。並んでいたのは、
シャンパーニュの造り手、ファミーユ・ムタールのジン
・フランス領マルティニーク島の蒸留所ラムJMのESBゴールドラム
・ノルマンディーのパコリ家が造るカルヴァドス トロワ エトワール
ブルゴーニュが本拠地のミシェル・クーヴルーが造るウイスキー、クーグルークリアラック
といったよくわからないけどすごそうなラインナップ。少量ずつとはいえワインを10種類飲み、何杯かはリピートもして、ちょっと酔ってきちゃってるんだけど蒸留酒控えてたかー!

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「やれやれ、やっとオレたちの出番ってわけか」という風情で控える食後酒のみなさん。右からアルザスの甘口(飲み忘れた)、ジン、ラム、カルバドスウイスキー

とはいえこんなもん飲まずに帰れるわけもないので飲んでみると、まずはシャンパーニュ産のジンがド鮮烈。お店の方の説明によれば「ジンの定義はジュニパーベリーが入っていること」だけなのだそうで、そのジンの香りが決定づけるというジュニパーベリーの香りがドカンとくる。むはー、すごい。割らないジンはかくもパワフルなものか。

あともうひとつ、ウイスキー造りにフランス由来のテロワールの発想を持ち込んだというクーブレイのシングルモルトも強烈においしかったし、ラムも樽が効いていて甘味があって大変良かった。ワインにハマってからワイン以外のお酒はほぼ口にしていないのだが、やっぱり世界にはおいしいお酒がいろいろある。

ジンのベーレンアウスレーゼ割の味

いやはや、どれもおいしかった勉強になったと達成感を味わっていると「実は、このジンをさっきのベーレンアウスレーゼで割るとおいしいんですよ!」という声が聞こえてきた。……ジンを甘口ワインで割る!? え、どういうことすか。

そんなもの聞いてしまったのならば試さねばならぬ、と試させてもらった。おそらく1:1で割った感じで量にして計20ccほどだったと思うがこれがまた我が人生で初体験の味。香りはジンで、味は甘口ワイン。両者のいいところがグラスのなかで混ざり合い、参加者の方が「お酒とお酒がマリアージュしてますね」と言った言葉をまさにそれだと感じて「ほんと、お酒とお酒のマリーアジュですねえ」と言った言葉をそのままなぞって口に出す愚鈍ムーブを披露してしまう直前から人生をやり直したいです。いずれにしても、その瞬間新たな味覚のトビラが開く音を私は聞いた。

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お酒とお酒のマリアージュのご様子。写真左の定価4000円の甘口ワインを買いました。本文では触れてないけど写真左のライナーのブドウジュースが激うまでした。

以上、最後に飲んだドえらいカクテルも含めて、非常に面白く、印象深い試飲会だったことをご報告したい。飲食のプロの方も同席され、その場でレシピのアイデアなどを口にされるのを聞くのも大変興味深かった。甘口ワインとアレとソレを合わせるのか……なるほどなあ。

購入したラングマンの甘口ワインについては、また後日、じっくりと書きたいと思う次第だ。

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