ヒマだしワインのむ。|ワインブログ

年間500種類くらいワインを飲むワインブロガーのブログです。できる限り一次情報を。ワインと造り手に敬意を持って。

カイケン ウルトラ マルベック。エノテカ5月の送料無料ワインを飲んでみた。【KAIKEN ULTRA MALBEC】

カイケン ウルトラ マルベックのこと

昨夜はカイケンの「ウルトラ マルベック」を飲んだ(エノテカで『今月の送料無料ワイン』だったのが購入動機)。

himawine.hatenablog.comカイケンはKAIKENとつづるけど、元々はCaiquénとつづり、それはアンデス山脈を行き交う鳥の名前なんだとか。

カイケンはチリのモンテス傘下。カイケン(鳥)のようにアンデス山脈を行き交っていたモンテスのボス、アウレリオ・モンテスが、自分自身の姿を重ね合わせて設立したとかっていう話が公式サイトに書いてあります。うーん、あふれんばかりの「俺の空」感。カイケンのサイトのロゴ、「ナイキみたいだなあ」と思ってたけどよくみると鳥ですね、これ……。

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カイケンのロゴ。ナイキのスウッシュ的なものかと思えばよく見れば鳥。

カイケン ウルトラ マルベックのつくりかた

このサイトが非常に良い作りになっていて、ワインのデータシートもダウンロードできる。それによれば、2017年のカイケン ウルトラ マルベックは手摘みでブドウを収穫、発酵後1/3を新樽、残りを2度目か3度目の使用のフレンチオーク樽で12カ月熟成して造られるのだとか。手間かかってんなー。ブドウはマルベック100%で、アルゼンチンはメンドーサのウコ・ヴァレーの自社農場で栽培。

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カイケン ウルトラ マルベックを飲みました。

ちなみにこの「ウルトラ」シリーズには、マルベックのほかにカベルネ・ソーヴィニヨンメルローシャルドネがラインナップされているんだけどそこにはこんな説明文がある。
「ウルトラはカイケンのワインメーキングと栽培チームがアンデス山脈の両側で行うワイン造りの知識と経験を表明したいという願いの表れである」
これカッコ良くないですか。カイケンのサイトを見ると、このアンデス山脈の両側、みたいな表現がよく出てきて、実際、ワインメーカーはマネジャーも兼ねるアウレリオ・モンテスの右腕的なチリ人スタッフとアルゼンチン人スタッフの共同チームが行なっているようで、なんかこう、アンデス山脈を挟んだ隣国のスタッフ同士が手を組んで造る感じが胸熱。

カイケン ウルトラ マルベックを飲んでみた

でもって、飲んでみると。まずもって香りが非常にいい。味もまた非常にいい。馬鹿みたいな言い方になってしまうんだけれどもブドウの匂いがして、ブドウの味がする。そんなことあるのかな。

100%ブドウでブドウ以外のものは少量の添加物くらいしか使ってない飲み物なんだからブドウの味がするのは当たり前なんだけど。ブルーベリーとか、ヴァニラとか、コショウとかの風味があるにはあるんだけどそれ以上に「ブドウだなあ」という味がする。

「煮る」という工程は私の知る限りワイン造りの工程には存在しないはずだが、ブドウを陶器の壺かなんかで煮詰めたらこんな味がするんじゃないかっていう味がする。

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vivinoの点数は3.9点。納得の高得点っす。

私はワインの知識はないが野球は好きなので野球の球種でたとえるならば、まさに藤川球児の火の玉ストレートといった印象だ。横への変化の成分がないど直球だが、あまりにも精度が高くてスピンのかかりがいいため、手元で浮くような感覚があり、わかっていても打てない。

このような、ブドウそのものの味が気持ちがいいほどストレートに伝わってくるド直球のワインも、意外とありそうでないのかもなあ、としみじみ味わった次第です。買い値は2500円(送料無料)。うーん、納得。

イントゥ・シャルドネってどんな意味? 味と価格と調べたことをまとめてみた。【INTO CHARD】

イントゥ・シャルドネってどんな意味?

昨夜は、イントゥ・ワイナリーの「イントゥ・シャルドネ」を飲んだ。

into、は「中に入る」という意味だと中学校の英語の授業で習ったが、なんでもスラング的に「大好き」「夢中」みたいな意味でも使われるんだとか。アイム・イントゥ・ワイン、みたいな感じ。勉強になるなあ。ワインを飲むと頭が良くなる。受験生のみんな、ワインだ(ダメです)!

さて、生産者はイントゥ・ワイナリーとあるんだけど、実体はなく、カリフォルニアはローダイに本拠地を置くオークリッジワイナリーのいちブランドのよう。なんだけど、オークリッジ・ワイナリー公式サイトの「OUR WINES」カテゴリには記載なし。こういうのホントこまる。

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イントゥ・シャルドネを飲みました。

イントゥ・シャルドネとオークリッジワイナリー

オークリッジワイナリーはロダイで80年以上ワインを造り続けている歴史あるワイナリーで、4800ヘクタールもの自社畑を所有しているのだとか。4800ヘクタールがイメージできないが、どうやら東京ドーム1030個分になるらしく、メートルに直すと、48平方キロメートル。東京ドームがある東京都文京区の面積が約11平方キロなので、4800ヘクタールは文京区4つぶん。文京区4つぶん、全部ブドウ畑。うーん、すごい。ちなみに、滋賀県野洲市の面積が48平方キロだそうです。

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オークリッジワイナリーの偉容。タンクのデカさは規模のデカさ、って感じする。(画像はGoogleマップのキャプチャ)

イントゥシリーズには、「INTO ZIN」「INTO CAB」「INTO PINOT」そして「INTO CHARD」などがラインナップされていて、アメリカ人ってこんな感じで品種を呼ぶんだなーっていうのがわかって面白い。「大好き、カベソー」とかそんな感じでしょうか。日本語にしちゃダメなやつだこれ。「好きです、つぼ八」かよ。

イントゥ・シャルドネの品種と味わい

軽い感じの名称ながら、造りは値段に対してしっかりしていて、輸入元のワイン・イン・スタイルの商品ページによれば12-13度の低温で発酵の後、少量をマロラクティック発酵。60%アメリカンオーク、40%フレンチオークで6か月熟成とのこと。品種は98%シャルドネ、1%リースリング、1%フレンチ・こロンバード。このあたりのブレンド具合が腕の見せ所なんでしょうか。

さて、味わってみると、これが思ったより派手じゃない、しっかり正統派の樽ドネ、という味わい。もっと甘みとか果実味とかトロピカル感があるのかと思いきや、むしろなんでしょうか、夏の終わりの夕方に冷やしたコレを飲みながら寄せてはかえす波かなんか見てる、みたいなシーンに合いそうな感じの味。ただもちろん同時にプールサイドにDJブースを設置、四つ打ちのビートに合わせて踊る水着美女が飲んでるのがコレ、と言われても「なるほどね」と思える味わいだ。なるほど、歴史あるメーカーが気軽に手にとってもらうことを目的にリリースしたブランド感ある。

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vivinoの点数は3.6点。個人的にはもうちょい高く点数つけたい気持ち。

100%完全なる憶測だが、業種を問わず多くの老舗が抱える課題は、新規顧客の創出であるはず。現在の顧客が残らず鬼籍に入ってなおブランドを存続させるためには次世代顧客のナーチャリングは必須であり、そこにはしかるべきコストをかけるべき……みたいな議論があったのではないか。

社員:というわけで、これです!(『INTO』の文字が飛び出してくるパワポ

社長:イントゥ……ってなんだね? どこに入るんだ?

社員:社長、若者の言葉で「ゾッコン」みたいな意味ですよ、みんな使ってます。

社長:ゾッコン……! 気に入った!

みたいな社内プレゼンがあったりした結果、値段に対してしっかり旨く、手に取りやすい価格のコイツが世に出回っているのではなかろうか。なんていうんでしょうか、私の乏しい経験と貧しい舌からは、買い値1452円に対して2480円くらいに感じられる味がする。それでいて見た目は980円くらいに見えるというこのギャップ。これ全然いいな。アイム・イントゥ・イントゥ。ローダイはジンファンデルが名物とのことなので、次はジンファンデル(イントゥ・ジン)行ってみようかな。

 夏、若い人たちがビーチ沿いにテーブルを出して、バケツに冷やしたコレを入れ、バーベキューの肉が焼けるのを待つ間にガブガブ飲んだらこれはもう間違いなく最高。若い人になりたい。

 

 

1000円だけどあなどれないぞ! ペッパーウッドグローブ・オールド・ヴァイン・ジンファンデルを飲んでみた。【Pepperwood Grove Old Vine Zinfandel 】

ペッパーウッドグローブ・オールド・ヴァイン・ジンファンデルと餃子の謎の相性

先日、「クラレンドル・ルージュ・サン・テミリオン」を抜栓した際、メインディッシュのギョーザとまっっったく合わず、やむをえず撤退、翌日羊肉のソーセージと合わせたらめちゃくちゃうまくて驚いた、昇天した、という話をブログに書いた。

himawine.hatenablog.com

今回の主役であるペッパーウッドグローブ・オールド・ヴァイン・ジンファンデルは、先発のクラレンドル・ルージュ・サン・テミリオン投手がアクシデントから2回裏で降板となった後を受け、その後8回までギョーザ軍の強力打線を散発5安打、失点はソロ本塁打の1点のみでしのぐという好救援を見せた中継ぎ投手、じゃなかったワインである。
ワインと料理の組み合わせについて私には分析できるだけの知識と経験がない。なので、まずはギョーザを因数分解するところからはじめる。

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ペッパーウッドグローブ・オールド・ヴァイン・ジンファンデルを飲みました(写真は飲み干したあと)

私が作成するギョーザの場合、それは皮、キャベツ、ニンニク、ネギ、ショウガ+調味料、ということになる。ニラは入れずにさっぱり仕上げ。冬場はキャベツがハクサイに変わる。ちなみにまずしっかりと焼き、ギョーザの腰のあたりまでを熱湯で浸し、ふたをして水気がなくなるまで熱して完成というレシピであります。タレは酢と醤油と中華顆粒だしを一煮立ちさせ、ごま油で仕上げさせていただいております。ラー油はお好みでお願いしますワインの話だった。
最初のワインが合わなかった、その原因の主犯はおそらくネギ、そして共犯がニンニクだ。この容疑者2名が、クラレンドル ・ルージュ・サン・テミリオンの繊細な味わいとまったく調和しなかった。最初の2個でその圧倒的な合わなさに気づき、慌ててペッパーウッドグローブ・オールド・ヴァイン・ジンファンデル投手が緊急登板したわけだが、そのパワフルな味わいが、ネギやニンニク、ショウガ、ごま油といったクセ強めのギョーザ軍の打者たちと見事な調和を見せたというのがことの次第だ。

ペッパーウッドグローブ・オールド・ヴァイン・ジンファンデルはどんなワインか

ネギ、ニンニク、ショウガといった香り強い野菜BIG3を相手に回してなお拮抗できるわけだが、このペッパーウッドグローブ・オールド・ヴァイン・ジンファンデルは非常にパワフルだ。アルコールは強めで、味は濃く、果実味は深く、スパイシーさもある。ハリウッド映画のカーチェイスで複数の車両が同時に爆発するようなド派手な味わいといって間違いないと思う。繊細、幽玄、耽美、みたいなワードとは無縁だ。筋肉系だ。
輸入元のワイン・イン・スタイルの商品ページによれば、「好みのチーズを挟んだグリルバーガーや、リッチなトマトソースのパスタと良く合」うとある。チーズバーガーとかミートソースパスタとかと合うってことだと思う。つまりはアメリカの食事に合うのだと思う。
生産者はドン・セバスチャーニ&サンズで、その公式サイトをチェックすると、同社の保有するブランドのなかでも、かなり廉価というか大衆的な部類のブランドであるようで、瓶とともに箱ワインとしても売られている模様(ただし、2020年5月8日現在はオールド・ヴァイン・ジンファンデルはサイト上で確認できなかった)。これが箱に入ってたらもう毎晩ギョーザでいいわってレベル。

ペッパーウッドグローブ・オールド・ヴァイン・ジンファンデルの味わい

クラレンドル ・ルージュ・サン・テミリオンは、2日目にフランス料理店のテイクアウトの羊肉ソーセージであらかた飲み、3日目にスーパーで買ったパテ・ド・カンパーニュで飲み干した。すごく楽しめたわけだけれどもそれなりにコストはかかった。一方で、ペッパーウッドグローブ・オールド・ヴァイン・ジンファンデルは葡萄畑ココスで1100円税込が購入価格であり、ギョーザの材料費もたぶん同じくらいのものだ。コスパという言葉は安易に使いたくない気がするんだけれども事実からはそれが良いと認めざるを得ないでしょうさすがにってなる。

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vivinoの点数は3.7点。うーん、納得。



それにしても、5000円のワインと1000円のワインを、料理違いでそれぞれ飲んだのは非常にいい経験だった。5000円のワインのほうが総合力は間違いなく上。しかし、今回に限って言えば、ある一点に関して1000円のワインも絶対に負けない牙を持っていた。そのとがった牙をうまく活かせば、1000円でも5000円を凌駕するパフォーマンスを発揮してくれる。ワインって面白い!

クラレンドル・ルージュ・サン・テミリオン。エノテカの赤ワインくじ「5等」のワインを飲んでみた。【CLARENDELLE ROUGE SAINT EMILION】

クラレンドル・ルージュ・サン・テミリオンはどんなワインか

先日、エノテカの「トレジャーハンティング【赤】」を購入した。売価3000円で特賞から6等までの等級があり、特賞はドミナス、6等でも3800円以上のワインが当たるというワインくじ。日常には刺激が必要なのだそうなのだよし買おう、という簡易脳内会議を経て購入したら届いたので開けてみたら5等、5000円のクラレンドル・ルージュ・サン・テミリオンが当選した。うーん、悪くない。

himawine.hatenablog.com

くじのスリルをより強く味わうために「当たったワインがなんであれ、その日に飲む」という縛りプレーを実施していたため、早速その日のうちに飲むことにし、抜栓する前にサクッとワインについて調べてみた。

クラレンドル・ルージュ・サン・テミリオンはボルドーの格付け1級、シャトー・オー・ブリオンを所有するクラレンス・ディロン・ワインズが、ボルドーワインの魅力を世界に伝えるべく造るプレミアムブランドなのだとか。

輸入元であるエノテカの商品ページには、「格付け1級シャトー・オー・ブリオンと同じ醸造スタッフが超一流の技術を駆使し、オー・ブリオンの畑を含む超一流シャトーの畑から収穫されるブドウを使用して手掛けています。」と太字で書かれている。うーん、なんかすごい。そこはかとなく「ブランド力(とマーケティング)で勝負でします!」って書いてある気がしなくもないけれども。

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クラレンドル・ルージュ・サン・テミリオンを飲みました。

クラレンス・ディロン・ワインズのサイトには2015年のデータしかなく、それによると品種はメルロー85%、カベルネ・フラン15%とのこと。エノテカの商品ページによれば2016年の使用品種はメルローカベルネ・フランカベルネ・ソーヴィニヨンなんだとか。年によってカベルネ・ソーヴィニヨンが入ったり入らなかったりするのでしょうか。とにもかくにも、飲んでみた。

クラレンドル・ルージュ・サン・テミリオンの第一印象は「すっぱい」だったが……?

飲んでみた第一印象を偽りなく書くならば「すっぱい」となる。ほかにとくに言葉がない。うーん、どうなんだろうこれ。無糖のヨーグルトのホエーのような酸味。微妙だな、困ったな。

これは明らかに戦況が良くない。戦術レベルにおいて戦力の逐次投入は愚の骨頂、ここは一旦完全撤退、回れ右して全速前進ということで、すかさず常備菜的ワインに切り替え、ほどよく仕上がったところで私が日常生活に問題を抱えた場合にいつだってそれを採用する最強のソリューションを採用した。つまり寝た。

そして翌日、私はムクリと起き上がると朝食の塩鮭をほぐしながら脳内反省会を実施した。なぜ、クラレンドル・ルージュ・サン・テミリオンのようないい(はずの)ワインを飲んでの感想が「すっぱい」で終わってしまったのか。「あのさあ、貴様の舌が未熟すぎる以外に答えがあると思うの?」という脳内会議与党からの糾弾は無視した上での結論は「悪いのはギョーザなんじゃないか」というものであった。反省会って犯人探しになりがちですよね。

そう、ともかく昨夜のメインディッシュはギョーザであった。ソムリエ・田崎真也氏は以前読んだインタビューで、ワインのテイスティングをする際は前日からニンニク、ニラ、ネギなどは食べないみたいな趣旨の発言をしていた(ような気がする)……! 前日どころか当日どころか、まさに同時に食べてた……。

では果たしてなにが合うのか。まず、ある程度オイリーであってほしい。んでもって、ワインがスパイシーな感じがするので、ある程度スパイシーな料理が合いそうな気がする。肉か魚かっつったらそりゃまあアンタ、肉だろう。ということで、フランス料理店でメルゲーズなる料理をテイクアウトしてみた。モロッコアルジェリアチュニジアなどの北アフリカ、そしてフランスで食べられる料理で、要するに仔羊のスパイシーソーセージって感じの一品。おいしそうだなあ。私は羊が好物であります。

クラレンドル・ルージュ・サンテミリオン、2日目に起こった奇跡

さて、ワインをほどよい温度にし、テイクアウトの羊ソーセージを温めて焼き、虚心坦懐食べかつ飲んだらこれがもうあらやだ……うまいじゃないの……うまいじゃないの(2度目)! すっぱ要素ゼロ。果実味要素もないのに、なんなんだろうこのおいしさ。ワインとソーセージが口のなかにある瞬間、そこにソーセージの赤ワイン煮みたいなおいしい一皿が出現する感じ。すっぱくて飲み進めるのが困難だと感じたワインが、スルスルと、白米に対する味噌汁みたいな相性の良さで進みに進む。ワインが疲れを知らない炭鉱夫のように、喉の奥へと突き進んでいく。うーん、アンストッパブル。なんですかこの名状しがたきうま汁。

また香りがいい。ブドウ風呂を横目に眺めながら革張りのマッサージチェアに座ってるときの香りがする。そんな体験は無論生涯で一度もしたことがないけれどもそんな印象を抱いてしまったのだから仕方ない。

第一印象悪かったのに翌日コロッと好きになるとは……チョロい系ヒロイン(略称・チョロイン)か。

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vivinoの点数は3.6点。合わせる料理によって評価が変わるってのはあるんじゃないですかね。いやホントに。

とにもかくにも、クラレンドル・ルージュ・サン・テミリオンにギョーザは合わない。そしてメルゲーズは往年の全日本プロレスにおけるジャンボ鶴田天龍源一郎のタッグ、通称鶴竜タッグを思わせる相性の良さがある。ワインは合わせる料理次第でまったく違う顔を見せる(常識)。以上が、今回私が自身の体験から言えるたしかなことのすべてだ。うーん、おいしかった。

ちなみに、ギョーザに合うワイン、というのも同時に発見したので、それはまた後日ご報告します。

カクヤスの500円泡飲んでみた<カスティーリョ・カンポ・アルシス編>【CASTILLO CAMPO ARCIS CAVA BRUT】

カクヤスの500円泡をまた買った

先日「なんでも酒やカクヤス」の前を通りがかり、「カクヤスがあることだなあ」と思った次の瞬間、私のバッグにはスパークリングワインが2本入っていたという不思議な体験をした。

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カスティーリョ・カンポ・アルシス。500円で楽しむことはできるのか!?

思うに、私くらいのレベルに達すると、カクヤスを見た瞬間にスパークリングワインを2本購入するという行動が反復により自動化され、無意識にできるため、まるで時間が跳躍したような感覚を得たのだと推察される。敵に襲われた瞬間に体が反応して瞬殺するなんかの達人、みたいなイメージですね。だって、1本500円なんだもの。ついでに必要以上に本格的な味で知られるイナバのタイカレーの缶詰も買いました。100円で。

カスティーリョ・カンポ・アルシスはどんなワイン?

今回購入したのは2本のうち1本が、昨日飲んだカバ、「カスティーリョ・カンポ・アルシス」だ。生産者はバレンシアのトーレ・オリア。さっそくトーレ・オリアのサイトをチェックすると、一番困るタイプのデザインとか仕様に凝りすぎて調べにくい・読みにくいサイトな上に、「カスティーリョ・カンポ・アルシス」が探しても見つからない。

輸入元のアシストバルールのサイトから商品ページをチェックすると「120年の伝統を誇るバレンシアTORRE ORIA社のセラーで丁寧に醸造熟成。品種:マカベオ+シャルドネ」とあるから、トーレ・オリアのオリジナルプロダクトってわけではなくて、OEM的なプロダクトってことなのでしょうか。「TORRE ORIAのセラーで」ってわざわざ書くくらいだし。教えて、ワインビジネスに詳しい方!

前に飲んだ同じくカクヤス500円カバのマス・フィ ブリュットはカバの産地で知られるバルセロナに近いペネデスのワインで、チャレッロ、マカベオ、パレリャーダといったカバならではの品種が使われていたのに対して、このカスティーリョ・カンポ・アルシスはマカベオとシャルドネを使用。シャルドネが入ってるっていうと急に親近感湧きます。旅先のカフェに大学時代あんまり喋ったことなかった同期の女の子いた、みたいな。え……ひょっとして、シャルドネ? みたいな。なにかが起きそうな予感がするぜ!

himawine.hatenablog.comとはいえマカベオとシャルドネの比率は不明。醸造のやり方も不明。なのであとは飲むしかありますまい、ということでよく晴れた日のランチのおともにスーンと抜栓、グラスに注いで飲んでみた。

カスティーリョ・カンポ・アルシスの味と感想

そうしたらまあ、これがフツーにうまい。シャンパーニュのようなクリーミーな泡、とか、ふすまを開けたらまたふすまがあって、それがどこまで続くかわからないような複雑さ、とかはないかもしれないけれども、暑い日にレモンスカッシュ(無糖)を飲むみたいな清涼感を存分に味わえる。いや違うな。暑い日にカバを飲むみたいな清涼感を味わえる。カバのど真ん中の味だ(わたしは高級カバを飲んだことがありません)。

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vivinoの点数は3.2点。平均的評価だからこそ気兼ねなく飲めるっていうメリットがこの世界の片隅にある。

とがった特徴や、圧倒的長所はないかもしれないが、それらと引き換えに安心して飲めるバランスの良さがあり、500円っていう空前絶後の安さがすべてを包み込み、なにもかも許せるといった心境へと導いていく。これが……悟り(酩酊)!?

カクヤスの500円泡はまだまだ種類が豊富にある。甘口のものは飲むタイミングが難しいが、辛口のものは引き続き色々試してみたい。500円だし。イナバのタイカレー缶100円だし。

himawine.hatenablog.com

とはいえ、価格は500円かもだけど、その製法は9カ月以上熟成させる瓶内二次発酵。水とブドウコンク、炭酸水で作りましたみたいなものではまったくないわけで、造り手に敬意を持ちつつ心して飲まにゃならんと思う次第であります。ごちそうさまでした。

エノテカの「トレジャーハンティング【赤】」の全賞品&当選確率(予想)&当選したワインを発表するぞ!

エノテカのトレジャーハンティング【赤】全賞品

エノテカのトレジャーハンティング【赤】が届いた。価格3000円で3800円以上のワインが確定し、特賞は4万2000円のドミナス、というワインくじだ。ただし、販売数量2140個に対して特賞は1本で確率は約0.0046%。うーん、当たる気がしない。

エノテカが上手いのは情報の出し方のコントロールで、公式サイトにはすべての当選銘柄が掲載されていない。

たとえば、サイトには1等の賞品として、メドック格付け第3級のシャトー・ピション・ロングヴィル・コンテス・ド・ラランドとバルバレスコ/ガヤの2本が掲載されているが、実際は価格2万5000円のサッシカイアも当たる。そして3等以下も一部の賞品はマスクされており、同時に当選本数も公開されていない。

全貌が明らかになっていないため、期待値や確率を計算することはできない。これはギャンブル性のある“くじ”ではなくて、あくまでも宝探しなのである。大航海時代、未知の海への航海には多大な危険が伴い、超ハイリスク・ハイリターンであったことから保険という概念でありビジネスが生じた。宝さがしには危険がつきもので、せめてもの保険が3800円の最低保障ワインということになる。

とはいえ、そもそも海の向こうにどんな宝が眠っているかがわからないのに冒険の旅に出るリスクはとれない。というわけで、次回以降の参考に、すでに完売となっていることもあり、以下に同梱チラシに記載された全賞品をネタバレ的に書く(もし私と同じ商品を購入されて到着を楽しみにされている方がいたら、以下の記述は見ず、ブラウザの戻るボタン等押してください)。

こんな感じだ。

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エノテカのトレジャーハンティング【赤】同梱チラシがこちら

【特賞】
2014年 ドミナス(アメリカ、4万2000円) 1本

【1等】
2016年 サッシカイア(イタリア、2万5000円)
2016年 バルバレスコ/ガヤ(イタリア、2万4000円)
2012年 シャトー・ピション・ロングヴィル・コンテス・ド・ラランド(フランス、2万3000円)

【2等】
2007年 シャトー・グラン・ピュイ・ラコスト(フランス、1万3000円)
2014年 バローロ・ブリッコ・ペルニーチェ(イタリア、1万2500円)
2016年 ティニャネロ(イタリア、1万2000円)
2017年 モンテス・アルファ・エム(チリ、1万2000円)

【3等】
2018年 ケイマス・ヴィンヤードズ カベルネ・ソーヴィニヨンアメリカ、1万円)
2011年 シャトー・ジスクール(フランス、9000円)
2016年 シャトー・ヌフ・デュ・パブ(フランス、9000円)

【4等】
2017年 シャトー・ド・ペズ(フランス、7000円)
2017年 グイダルベルト(イタリア、6500円)
2015年 バローロ/プルノット(イタリア、6500円)
2016年 サンタ・ルシア・ハイランズ・ピノ・ノワールアメリカ、6500円)

【5等】
2016年 クラレンドル・ルージュ・サン・テミリオン(フランス、5000円)
2017年 プロミス/カ・マルカンダ(イタリア、5000円)
2013年 モンテス・アルファ・カベルネ・ソーヴィニヨン(チリ、5000円)
2018年 モンテス・アルファ・スペシャル・キュヴェ・ピノ・ノワール(チリ、4600円)

【6等】
2016年 コトー・ブルギニヨン・ルージュ/ジャン・グリヴォ(フランス、4000円)
2017年 レ・デフィーゼ(イタリア、3900円)
2018年 ランゲ・ネッビオーロ モンテグリッリ/エルヴィオ・コーリョ(イタリア、3800円)
2018年 バルダ/ボテガ・チャクラ(アルゼンチン、3800円)

1等にサッシカイア、4等にサッシカイアのセカンドラベルにあたるグイダルベルト、6等に同じくサッシカイアのサードラベル的存在のレ・デフィーゼがあるのが面白く、1等は大当たり、4等当たり、6等ハズレっていうイメージであることがわかる。

エノテカ/トレジャーハンティング【赤】の当選確率を予想する

では、実際のところ各賞の当選確率はどれくらいなのだろうか? 公開されている情報は全部で2140本であること。特賞が1本、1等のうちの2本が各2本ずつということだけ。ここで私は考えた。これはヒントなのではないか? この書き方だと、1等の当選本数は4本であるように思える。つまり、1等から2等、2等から3等は4倍ずつ当選本数が増えているのでは……? ということで計算してみると6等の当選本数が4096本となりあえなく破綻。というわけでいろいろ数字を調整してみると、各賞ごとに当選本数が3.39倍に増えるとした場合、合計本数が2149本となり、だいたい近似値となった。

というわけで、なんの根拠もないが、当選本数はだいたいこれくらいなんじゃないかという予想が以下となる。
特賞 1本(0.04% )
1等 3本(実際は6本=0.2%) 
2等 11本(0.5%)
3等 38本(1.7%)
4等 132本(6.1%)
5等 447本(20.8%) 
6等 1508本(70.4%)
これけっこうリアルなんじゃないでしょうか。

この確率の分布からすると、6等は明確なハズレ。
4等、5等がアタリ。
当選確率が2%を切る3等以上が大当たりで、確率0.04%の特賞はまさに特賞で、確率の外側にいると考えるべき代物と言えるだろう。確率1%を切る2等以上はすべて無視していいレベルだ。

というわけで、

3等 大当たり(1.7%)
4、5等 当たり(26.9%)
6等 ハズレ(70.4%)

それ以外 神

という検討がついた。ならばあとは開くのみである。ガチャ、じゃなかったワインの入った段ボール箱を。

エノテカのトレジャーハンティング【赤】当たったのは!?

ここから先、モノをいうのは気合だけ。エロイムエッサイム! 我は求め訴えたり! 出でよ、ドミナス(欲望むきだしの顔で)!

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ボックスオープンの瞬間。このドキドキ感、クセになる!

箱を開けると、その中にはさらに箱が!

 

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箱の中にさらに箱が!


ええいそれも開けるまで! 鬼が出るか、蛇が出るか(出るのはワイン)!  おんどりゃあああああいっけえええええええ!

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なんか出たああああああ

 

というわけで、出たのは5等のクラレンドル・ルージュ・サン・テミリオンでした。うん。納得感ある。

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当たったのは5等のクラレンドル・ルージュ・サン・テミリオンでした。

5等というとイマイチ感があるけれど、確率は約20%(推定)なので意外と悪くない。3000円で5000円のワインが手に入ったので、お得感もあります。エノテカ人気ワイン、みたいな感じでよくセットになってるクラレンドル・ルージュの上位機種、みたいな立ち位置。いいじゃないっすか。

 

自分の場合、ワインのことをある程度調べてから買いたいタイプ。なので、こういう風に偶然の出会いは嬉しい。さっそく今夜開けちゃおうと思います。 

チウチウ「アルタ・マレア・パッセリーナ・ブリュット」を飲んで味と価格と感想をまとめてみた。【CIU CIU Alta Marea】

チウチウとパッセリーナ

気温の上昇とともに必要となるものが3つある。半袖の衣服、日焼け止め、そしてスパークリングワインだ。昼間の気温が25度を超えるような暑い日に、陽が沈んだら飲もうとワクワクしながら泡を冷やし、ちょっと待ちきれなくて16時半頃から飲み始める泡よりおいしい飲み物ってほかにあるんですかね。

「昼飲み」という言葉にはどこか依存症、家庭崩壊、一家離散、といったワードの影が忍び寄るが、これが「夕方飲み」ならば途端に、優雅、アーバンライフリア充、みたいなイメージになる。なることにしてください。昨日、今日と昼から飲んでるけど。

というわけで昨日のよく晴れた夕方に、スポンと抜栓したのがイタリアのチウチウ(Ciu Ciu)の「アルタマレア パッセリーナ ブリュット」だ。チウチウよりかわいい名前のワインメーカーってほかにあるんですかね。

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チウチウの「アルタ・マレア・パッセリーナ・ブリュット」を飲みました

パッセリーナはワイナリーのあるイタリア、マルケ州の土着品種なんだとか。なんともパセリ感のある名前だけれども実際はイタリア語のすずめ=passeroに由来するのだとか。なんでも、すずめがこのブドウの実をよく食べてからその名がつけられたそうです。適当か。

チウチウ アルタ・マレア・パッセリーナ・ブリュットの製法

チウチウのサイトは英語表示もあって、内容も充実。それによれば、海抜280メートルの高地で栽培されたブドウは9月の最初の10日間に手積みで収穫。その後クリオマセレーションっていうのをするらしいんですけどこれは低温浸潤っていうんでしょうか。クリオっていうのは低温とか冷凍という意味だそうで、ブドウを凍らせてプレスすることで糖度の高い果汁が得られるんだとか。ワイン作りって本当にいろんなやり方があるよなあ。

ともあれそれをしたのちに発酵。瓶内二次発酵ではなくタンクの中で発酵させるシャルマ方式、なんだけど、シャルマ方式っていうのはフランス人のシャルマさんに由来し、イタリアではシャルマさんに先んじてマルティノッティさんって人がこの方式を編み出していたらしい。というわけでチウチウにおけるこの方式の表記は「シャルマ・マルティノッティ・メソッド」。それにより25日間かけて泡を生じさせ、3カ月間リファイニングとあるんだけど清澄ってファイニングじゃなかったでしたっけ。リファイニングってなんだろう。スティルワインを作るときに一度清澄して、もう一回やるのかな。どなたか教えてください。ともあれそれをしたのちに3カ月間瓶で熟成させて完成とのこと。おつかれさまでした。

チウチウ アルタ・マレア・パッセリーナ・ブリュットの味と価格

グラスについでみると、薄いけれどもしっかりと色彩を感じる限りなく透明に近いイエロー。色のキレイさは特筆ものなんじゃないでしょうか。

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木漏れ日に鎮座するチウチウのお姿。色がキレイ。

でもって、色が薄いから味や香りも薄いかといえばさにあらずで、むしろ味わいはしっかりしてる印象。柑橘系というかリンゴ系。なんなら梨まであるっていう感じの味がする。うまいなこれ。非常にいいな。レモンの皮みたいな苦味もあって。これだけフルーツを感じる味わいなのにじゃあフルーティとかジューシーかって言われたら「いや、全然?(真顔)」ってなるからワインって不思議だ。