ココ･ファーム･ワイナリー「2019 こことあるシリーズ ぴのろぜ」。木村農園×10Rのロゼがしみじみうまい。

ココ･ファーム･ワイナリー「2019 こことあるシリーズ ぴのろぜ」との出会い

ココ･ファーム･ワイナリーの「2019ぴのろぜ」、正式名称「2019 こことあるシリーズ ぴのろぜ」を飲んだ。東京・神宮前のワインショップ「ウィルトス」で開催された試飲会で飲んで衝撃を受け、購入した1本だ。

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ココ・ファーム・ワイナリーは栃木県足利市のワイナリー。そのココ・ファームの取締役でもあるブルース・ガットラヴさんが北海道・岩見沢の10R（トアール）ワイナリーでつくるのが「こことある」シリーズ。「ココ＋10R」で「こことある」なわけですねこれ多分。

ココ･ファーム･ワイナリー「2019 こことあるシリーズ ぴのろぜ」と10Rと木村農園

ご存知の方も多いと思うが改めて記すと10Rは北海道の醸造設備を持たないヴィンヤードからワイン用ブドウを受け入れ委託醸造を行う“カスタムクラッシュワイナリー”。ブルースさんは北海道の生産者の方と話をした際、今のところ2打数2安打で10Rの名前とブルース・ガットラブさんの名前が高頻度で出てくるっていう重要人物だ。10Rは試験に出る（なんのだ）。

ココ･ファーム･ワイナリーの「2019 こことあるシリーズ ぴのろぜ」を飲みました。

でもって「ぴのろぜ」のピノ・ノワールは北海道は余市の木村農園のピノ・ノワールを使っているというからすごい。木村農園といえば私の大好きな産地、余市にあってピノ・ノワール栽培の第一人者的に呼ばれるヴィンヤード。木村農園も試験に出る（なんのだ・再）。

北海道最高レベルのピノ・ノワールと、北海道で知らぬ者のない醸造家のタッグということでこれはもう北海道ワインファンとしては飲む前からうまいってレベル。なんだけど、実際は以上のような事情を知る前に試飲会で飲んで選んだワインなので、「情報」以上に味がおいしいワインですこれは。

ココ･ファーム･ワイナリー「2019 こことあるシリーズ ぴのろぜ」はどんなワインか

さて、「2019ぴのろぜ」は2019で7ヴィンテージ目というワイン。木村農園の遅摘みピノ・ノワールを全房のままタンクに入れてマセラシオン・カルボニック後プレス。樽とステンレスタンクで野生酵母＆野生乳酸菌で発酵、その後、澱とともに熟成させたというワインだ。

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マセラシオン・カルボニックでボジョレー・ヌーヴォーで使われる手法だっていうアレですよね。渋み弱め、香りフレッシュ、果実味豊かみたいになる印象があるが後述するけど本当にそんな感じだった。マセラシオン・カルボニックは声に出して読みたい日本語（フランス語）。

テクニカルデータによれば、亜硫酸はごく少量添加。無清澄、無濾過。アルコール度数は12度で、酸度は7.3g/L、残糖は9.4g/L。4155本が生産されたそうだ。では、ぼちぼち飲んでいきましょう。

ココ･ファーム･ワイナリー「2019 こことあるシリーズ ぴのろぜ」を飲んでみた

私が過去飲んだベストロゼは1万円超するプリューレ・ロックのロゼ（グラステイスティング）だが、結論を言えばこのワインはベスト2だった。むちゃくちゃおいしかった。

まず、グラスに注いだ瞬間にイチゴ畑に転移した錯覚を起こすレベルでフレッシュイチゴ臭が充満。色合いがまた素晴らしく、春先の一番おいしい時期のイチゴを絞って清潔なふきんで濾したような素朴でキレイなピンク色をしている。グラスを顔の前に持ってきて「かわいいね……」とニッコリ笑顔になってしまうみたいな色と香りだ。お外でやったら通報されても文句は言えないレベルの奇行がスッと出る。

裏ラベル。ココ・ファームはデータもしっかりあるしアクセスもしやすいし素晴らしい。

味わいも素晴らしい。スティルワインなのだが、実際にそうなのか、香りと味からくる印象なのか、微かに発泡しているような刺激を感じて、それがまたフレッシュな印象を補強している。果実味たっぷり、酸味もたっぷり。これぞ私の好きな甘ずっぱ味。ラズベリー、梅、みかん、オレンジ、あとなんかこういい匂いのする草みたいな、春のピクニックみたいな気分のワインだ。好き。

「ロゼは苦手」という人と飲んだのだが「このロゼはやばい」と一瞬で手のひらが回転していたことを付記したい。このロゼはいいわ。「ぴのろぜ2020」も必ず飲もうと思う味わい。アレですね「次のヴィンテージが待ち遠しい」ワインが複数あると、人生がより愉快になるもんですね。ワインすげえ。

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