ヒマだしワインのむ。|ワインブログ

年間500種類くらいワインを飲むワインブロガーのブログです。できる限り一次情報を。ワインと造り手に敬意を持って。

ブラインドテイスティング挑戦記【WEEK31】

ブラインドテイスティングWEEK31に臨んで

今週も恵比寿のワインマーケット・パーティでブラインドテイスティングに挑んできた。今週は白1、赤2の構成だ。

直近の結果を振り返ると、3回前が奇跡の2位、前々回が箸にも棒にもかからない結果、前回が奇跡の4位。順番的には今回は箸にも棒にもかからない回となるが気のせいだろうそうだろう。

というわけでさっそく今週もブラインドテイスティングをはじめていく。

 

ブラインドテイスティングWEEK31/1杯目


まずは1杯目の白ワイン。色はかなり薄めで、透けるような黄色をしている。アロマティック品種っぽい色合いだが、華や果実みたいな香りではなく、どちらかというと干した麦わらみたいな香りがする。

飲むと非常にシャープなレモン系の酸があり、その酸の長い長い廊下の先にハチミツ入りの壺が置いてあります、みたいな印象。

ガソリンスタンド的香りこそないものの、第一印象はリースリングドイツワインはドライなものでもどこかに豊かな蜜の印象があるけれど、それがかなり奥まっているのでむしろすごく冷涼なニューワールド、な気がする。

この色の薄さ、酸のシャープさ。温度が上がると少しペトロールも出てきたような気がするし、これはリースリングで決め打ちしてしまおう。産地はどこだろう。全然わからないので勘でいきます。

オーストラリア (南オーストラリア州)/リースリング/2022/13%

と予想した。

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ブラインドテイスティングWEEK/2杯目


え、なんだこれ。ブラインドをやっていると、時々頭のなかが真っ白というか無というか空(くう)みたいな状態になることがあるがそうなるタイプのワインだ。さっぱりわかんない。逆に今までどうやって当ててたのかわかんなくなる。

まず前面に出ているのは酸だ。酸ぴっちぴち。続いて渋み。果実はチェリー的なのがちょっとあって、樽はそんなに効いてない印象だ。2、3年仕様の古樽で10か月熟成、とか輸入元資料に書いてありそうな雰囲気。

ツヴァイゲルト……ツヴァイゲルト博士じゃないこれ?(ツヴァイゲルトはツヴァイゲルト博士という人が開発した品種だそうですよ)

いつもはAかな、Bかな、いやCかな? みたいになるのだが、今週は別の品種が出てこない。なのでもうツヴァイゲルトでいっちゃおう。

そしてツヴァイっつったらオーストリアか北海道なわけなんですよ私のなかでは。なんとなく北海道、と言いたいが、このワインにある一定の濃さは北海道的ではないような……というわけでオーストリアのツヴァイゲルトでいこう。産地はブルゲンラント州。ちなみにブルゲンラント州に関する知見は私にはなく、「オーストリア ツヴァイゲルト 産地」で調べた結果(カンニング)であることをここに告白しておきます。

オーストリア(ブルゲンラント州)/ツヴァイゲルト/2022/12.5% 

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ブラインドテイスティングWEEK/3杯目

さて3杯目も赤ワインだ。ここで2杯目と3杯目のグラスを比較してみると、どちらもちょっと濃いめのガーネット、なのだが、3のほうはふちがややレンガ色に変化している。

右が3番

てことはまあ熟成しているわけでしょう常識的に考えて。でもってここはワインバーではなくワインショップ。お店のセラーで熟成させました、ということは基本ありえない。

つまり、3番目のグラスは「熟成した状態でリリースされるワイン」ということだろう。で、なに? と問われると困るんだけど。知らないよ、となるわけなんですけど。

飲んでみても味わいは熟成したワインっぽい。カカオ成分多めのチョコ、ドライフルーツ、コーヒー、ちょっぴり紹興酒といった、温泉街のスナックの接客を思わせるこなれた風味が漂っている。

こういう感じに熟成するワインってなんだろう。そして私は頬にイタリアの風を感じている。イタリアでDOCGの規定で長い熟成期間が定められてることが多いじゃないすか。

ネッビオーロじゃないと思う。じゃあブルネッロか。あるいはアマローネか。いわんやタウラージか。

そのなかだったらタウラージか。根拠はないけどタンニンが前にズガンと出ている感じにアリアニコ感がある。ような気がする。色も濃いし。

というわけで、
イタリア(カンパーニャ)/アリアニコ/2016/14%と予想してみた。ちなみにこれはめちゃくちゃおいしいワイン。ジビエと合わせて飲みたい。ジビエが想起されるということは肉をよく食べる産地→トスカーナ→ブルネッロの可能性もある気がするが、ここはタウラージでいっちゃおう。

 

ブラインドテイスティングWEEK31の予想を終えて

というわけで今週も予想が出揃った。果たして私の予想は合っているのだろうか? 解答発表後に追記したいと思うので、お楽しみに。

 

【追記】

さて今週もワインマーケット・パーティ公式SNSで正解が発表された。以下、結果を見ていこう。


ブラインドテイスティングWEEK31 / 正解発表:1杯目

予想:オーストラリア (南オーストラリア州)/リースリング/2022/13%

正解:オーストラリア(ヤラ・ヴァレー)/シャルドネ/2022/13.2%
 


生産国、ヴィンテージ、アルコール度数が的中(正解が13.2%なので13%はおそらく正解扱いだと思う)しておきながらシャルドネリースリングと言ってしまったことで素直に喜べない微妙な結果に。

ヤラ・ヴァレーは改めて調べてみるとオーストラリアでもっとも冷涼な産地のひとつ。ちょっと改めて飲んでみないといけません。

 

ブラインドテイスティングWEEK31 / 正解発表:2杯目

予想:オーストリア(ブルゲンラント州)/ツヴァイゲルト/2022/12.5% 

正解:オーストリア(カンプタール)/ツヴァイゲルト/2020/12.5%
 

なんと本当にツヴァイゲルト博士だった。なんかこう、目をつぶってバットを振ったらホームランになった、というドラえもんにおけるのび太の草野球的展開であり、生産国、品種、アルコール度数までおまけに正解で、早くも6問的中だ。どうなってんのこれ。

 

ブラインドテイスティングWEEK31 / 正解発表:3杯目

予想:イタリア(カンパーニャ)/アリアニコ/2016/14%

正解:イタリア(トスカーナ)/サンジョヴェーゼ/2016/14%
 

3杯目も微妙に惜しい感じで、正解はサンジョヴェーゼ。ワインについて調べてみると「ブルネッロになるはずのブドウを使用した6年熟成リゼルヴァ」とあり、品種は正確にはサンジョヴェーゼ・グロッソ

6年熟成のサンジョヴェーゼはこんな感じになるんだ、といういい勉強になった。沼田店長いわく2016のトスカーナは素晴らしい年とのことで、このワインもすでに述べたようにすごくおいしいワインだった。ジビエのお店とかに持ち込んだらこりゃもうたまらんでしょうなぁ。

ともあれ生産国、ヴィンテージ、アルコール度数がまたしてもなんだか知らないけど当たり、驚くなかれ、12項目中9項目的中という自己ベストを更新してしまったまじか。

そして、順位はなんと参加76名中3位。この日ワインマーケット・パーティではなく新橋駅前宝くじラッキーセンターに向かっていたら2億円くらい当たっていたんじゃないか、という奇跡の好結果となったのだった。

リースリングシャルドネを間違えているし、ツヴァイゲルト博士は勘だし、あんまり手応えはないのだが結果が出たのはとてもうれしい。それにしても、1-27回までランクイン0回、28-31回でランクイン3回というこの結果の偏りはなんなんだろう。やはり私が向かうべきは新橋駅前宝くじラッキーセンターなのかもしれない。

 

ブラインドテイスティング挑戦記【WEEK30】

ブラインドテイスティングWEEK30に臨んで

今週も恵比寿のワインマーケット・パーティでブラインドテイスティングに挑んできた。今週は泡、白、赤が1本ずつの構成だ。

ちなみに先週は12項目中4項目正解。先週よりも多く正解したいところだが果たしてどうか。早速飲んでいこう。

 

ブラインドテイスティングWEEK/1杯目

まずは泡。香るのは果実とトーストで、シャンパーニュ方面からプロセッコ方面かと言われればシャンパーニュ方面の味わいだ。

果実がたっぷり感じられ、色も濃いめで、ほんの少しの苦味がアクセントになっている。

これは難問だ。非常に難問だ。素直に答えるならばシャンパーニュなのだが、前回シャンパーニュだったんすよ。

2連続シャンパーニュはないだろうというメタ読み(邪道)をした上で再度テイスティングしてみると、
シャンパーニュより酸がない
シャンパーニュより果実がある
ような気がする。

なのでフランチャコルタ、アルタランガ、イングリッシュスパークリングといった酸味勝負のみなさんを候補から外してしまおう。ついでに過去に出題されていたゼクト、プロセッコなども外しちゃおう(メタ読み(邪道))。

となると候補はこんな。
カリフォルニアスパークリング
カバ
MCC(南ア)

チリとかアルゼンチンとかオーストラリアとかは出されてもわからないから除外。なんとなくクレマンでもない気がする(前回シャンパーニュだったから。メタ以下略)。

で、これだけわかりやすくおいしくて、わかりやすくシャンパン感があるのはMCCだと思うわけですよ自分。クライン・ザルゼだと思うわけですよもっといえば。

南アフリカ (ステレンボッシュ)/シャルドネ主体/NV/11.5%(ドザージュ10g/L)
と予想した。



ブラインドテイスティングWEEK/2杯目

2杯目はやや緑がかって見える濃いめイエローの白ワイン。粘性がかなり高く、アルコール度数が高そう。

で、香りがかなり、すごく特徴的だ。なんなのこれ。酸化熟成っぽいニュアンスなのかな。ちょっとシェリー感が醸し出されてる気がする、非・フレッシュなタイプの白ワインだ。松井、イチロー、清原とかじゃなくて、笘篠、種田、元木、みたいなタイプ(野球の話です)。

あれなんだっけこれ。飲んだことあるけど知らないみたいなワインだ。ヴァン・ジョーヌが思い浮かぶけどヴァン・ジョーヌってこんな感じでしたっけ?

自然派アロマティック品種みたいな感じもなきにしもあらずな気がする。以前ワインマーケット・パーティで飲んだのでいうとハインリッヒのゲヴュルツトラミネールとかちょっとこんなニュアンスだったような。

おいしいが、かなり特徴的。クセのあるチーズなんかと合わせて爆発的においしくなりそうなワインだ。クセがあるけど強すぎない、とてもおいしいワイン。

結局ほかに候補は浮かばなかった。
フランス(ジュラ)/サヴァニャン/2016/13.5%
と予想。自信はまったくない。 


 

ブラインドテイスティングWEEK/3杯目

陰気、もといインキーなワインだ。色は深い深い紫色。菫、杉、熟した李……と普段「漢字は極力ひらく」がモットーの私が思わず漢字で表記しちゃうような重さ・暗さがある。重心の低さが谷繁(元中日監督。名捕手)。

候補はかなり限られると思う。ワイン界の陰気なやつら、お前らちょっと来いといって集まった陰気なメンバーがこちらだ。

カベルネ・ソーヴィニヨン
メルロー
シラー
マルベック
テンプラニーリョ
タナ

いやいやメルローちゃんは陰気じゃないだろうとか意見はあると思う。わかる。でもメルローちゃんにもそういう側面はあるのだ。闇堕ちメルローっていうか。

あとなんかありましたっけ。トゥーリガ・ナシオナルとかか。クシノマヴロとか。サペラヴィとか。プティ・シラーとか。そのあたりが出たらお手上げだ。

ではこのワインの正体はなんだろうか。スパイシーな感じはないのでシラーではないと思う。言うてもメルローちゃんはなかなかここまで陰気にはならないので外そう。

カベルネ・フランではないと思うんですよ。あの子以外と陰気になりきれないから。根が陽キャピノタージュもそう。

ビジュこそ陰気だがタンニンが強すぎるわけでなく、酸も強すぎず、果実もあっておいしいワイン。赤身肉の厚切りステーキかなんかと合わせて最高においしそう。

というわけで今回はストイック系カリカベと予想した。

アメリカ(カリフォルニア)/カベルネ・ソーヴィニヨン/2018/15%

 

 

ブラインドテイスティングWEEK30の予想を終えて

というわけで今週も予想が出揃った。果たして私の予想は合っているのだろうか? 解答発表後に追記したいと思うので、お楽しみに。

 

【追記】

さて今週も公式から正解が発表された。さっそく見ていこう。

 

ブラインドテイスティングWEEK30 / 正解発表:1杯目

予想:南アフリカ (ステレンボッシュ)/シャルドネ主体/NV/11.5%(ドザージュ10g/L)

正解:スペイン(ベネデス)/マカベオ、チャレッロ、パレリャーダ/NV/11.5%(ドザージュ0g)
 


今から負け惜しみを言います。これ、MCCと回答した帰り道、恵比寿駅へと向かう動く歩道の上で「カバだったかもしれない」と思ったんですよ本当に。逃した魚、あれは小さく見積もって2メートルはあったんですよ。

軽い苦味=カバ。シャンパーニュ方向を向いているがどこかプロセッコっぽさもある=カバ。単一品種ではなく複数品種ならではの複雑さ=カバ。すべての要素がカバだと言ってるのにおれのバカ!(これが言いたかった)

というわけで正解はカバでした。残念。

 

ブラインドテイスティングWEEK 30/ 正解発表:2杯目

予想:フランス(ジュラ)/サヴァニャン/2016/13.5%

正解:フランス(ジュラ)/サヴァニャン/2017/13.5%
 

おお、すごい。これは見事に正解。気をてらわずに思ったとおりに回答したのが吉と出た。沼田店長の解説によれば「酸化熟成したサヴァニャンではなく、ウィヤージュしているサヴァニャン」とのこと。ウィヤージュ=樽熟成時の目減り分を補うことで、それをしないからヴァン・ジョーヌは酸化熟成のニュアンスを強く帯びるわけですね。

なので、ヴァン・ジョーヌっぽいけどヴァン・ジョーヌじゃない気がするという私の考えはわりと正解で、今回はこれがファインプレーとなった。


ブラインドテイスティングWEEK30 / 正解発表:3杯目

予想:アメリカ(カリフォルニア)/カベルネ・ソーヴィニヨン/2018/15%


正解:アメリカ(カリフォルニア)/メルロー/2019/ 14.7%

闇堕ちメルローだったか……! というわけでアメリカ、カリフォルニアは正解だったけど品種はメルローちゃんだった。沼田店長いわく、「カベルネ・ソーヴィニヨンメルローを見分けられる確率は50%」とのことなのでこれは仕方ない。カベソーっぽいメルローもあれば、メルローっぽいカベソーもあるのだ。

というわけで今回は7項目が的中。産地も2か所が当たり、ヴィンテージなどもそこそこ寄せられていたことから、なんと参加66名中4位入賞(3位の方が3名おられるので、実質は6位)という結果となった。うれしい。カバと回答してればなあ!

と、参加者全員が思っているであろうタラレバを噛み締めつつ、来週もがんばっていきたいと思います。

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都光の決算福袋よさそう↓

 

 

マスダの南アフリカワイン試飲会行ってきたのでおいしかったのを「16種類」選んでみた

インポーター・マスダの南アフリカワイン試飲会に参加した

インポーター・マスダが主催する南アフリカワインの試飲会に行ってきた。マスダはどうやらサービス精神のブレーキがぶっ壊れてる会社であるようで毎回試飲可能な銘柄が豪華かつ非常に多いのだが、今回もなんと57種類が試飲できた。

私のなかで「試飲会に呼んでいただけたら飲める範囲で多くのワインを飲む」という謎マナーがあるので、今回も57種類すべてを飲んだ。おかげでヘロヘロですありがとうございます。

さて、今回の南アフリカワイン試飲会はいくつかのブロックに分かれていた。

1:さっぱり白ワイン
2:こってり白ワイン
3;泡
4:ピノ・ノワール
5:ピノタージュ、シラーなど
6:カベルネ・ソーヴィニヨンなど

見ての通り1→6(実際はそのような番号による区分はないが)と数字が大きくなるほどワインの肩幅が広くなっていく。私は超どミーハーふつうの酒飲みなのでまず泡を飲み、次いで1から順に飲んで行った。やっぱり最初に泡のみたいじゃないすか…!

というわけで、各カテゴリごとに「これは!」というワインを挙げていきたい。

 

マスダの南アフリカワイン試飲会でおいしかったワイン【泡編】

まずは泡カテゴリから。以前飲んで好きだったのはクローヌのロゼ、そしてステレンラストのスパークリングシュナンブランだったが、今回感動したのはやはり新ヴィンテージ(2021)で登場したクローヌのロゼだった。

後ろがロゼ。ロゼがヤバい。

価格は4200円と少々お高めだが、これは4000円前後の泡として明らかに世界最強の座を狙って戦えるレベル。分厚い果実と酸と複雑さ、同価格帯でこれに匹敵する泡はやっぱりなかなかないよなあと思う味わいだった。素晴らしい。

もうひとつ印象的だったのだがリーベックという生産者のスパークリング・ブリュット。

ラベルが映えないがおいしい。

シャルドネピノ・ノワールのフリーランジュースを用い、シャンパーニュ酵母を使ってシャルマ方式で造るというなんともハイブリッド感のあるワイン。

シャルマ方式だからか2300円と安く、味わいはこの価格帯として素晴らしく。某お店の方曰く「シトラスのニュアンスに熟したりんごが加わって、味わいは最高。シャルマだから泡の持ちだけが心配」とのことだったが、泡のあるうちに飲み切ってしまえば無敵ということだと思う。

クローヌのロゼ、いつ飲んでもほんとにおいしい↓ ※リンクはVT違いです(以下同)

 

マスダの南アフリカワイン試飲会でおいしかったワイン【さっぱり白編】

どんどんいこう。続いては「1」のさっぱり白部門だ。一番おいしかったのは定番中のド定番、ステレンラストのマザーシップ シュナン・ブラン2022。いついかなるときに飲んでもおいしいワインという印象だが気が付けば価格も5000円となかなかいかつくなっている。

そんななか、今回コスパが素晴らしいと感じたのがドルニエのココアヒル シュナン・ブラン2022。

この「ココアヒル」のシリーズぜんぶおいしかった。

一部フレンチオーク樽で熟成しているというだけにバニラ感があり、全体にトロピカル風味があってうまい。それでいて価格は2000円と安い。今回のBESTコスパ白はこれで決まりだ。

これは高コスパ

 

マスダの南アフリカワイン試飲会でおいしかったワイン【こってり白編】

続いてはこってり白ワイン部門。このカテゴリの横綱といえばブーケンハーツクルーフのセミヨンとかポール・クルーバーのセブンフラッグス シャルドネとかラーツのイーデンハイデンシティシュナン・ブランとかのモンスターワインだと思われるが今回はいずれも未出品。

そんななか、なんだこりゃうますぎる、となったのがロングリッジのオースティン シュナン・ブラン2022。

ドゥミ・セックスタイルなのだそうでかなり甘めなのだが、酸もバッチバチにあってバランスが非常に良い。

同じくロングリッジのシャルドネやアタクラシアのシャルドネもおいしかったが、このオースティンが頭ひとつ抜けた味わいだった。

なんでも良年のみ生産される系キュヴェらしく、飲んだことがなかったのもさもありなん。甘いはジャスティ、を体現する白ワインだった。

驚きのおいしさだった↓

 

マスダの南アフリカワイン試飲会でおいしかったワイン【ピノ・ノワール編】

白と泡のゾーンを抜けてここからは赤ワイン。まずはピノ・ノワール部門からだが、ここは大定番にして私の考える安うまピノ・ノワール地上最強銘柄であるロングリッジのキュヴェ・リカがやっぱり抜けてうまい。

3600円のワインながら定価がこれより高いワインと比較しても香りが強く、味に芯がある。

しかもこの21ヴィンテージの特徴なのだろうか、すごくやわらかいわけなんですよ。会社では鬼上司なんだけど子どもの前では甘あまトロトロな人物、みたいな緊張感とゆるさのうまい具合の共存がある。南アの21ヴィンテージ、どうやらすごくいいみたいだ。

このカテゴリではデイヴィッド・ナディアのグルナッシュ2022もおいしかったが、こちらは価格が6300円。コスパという点では、やはりキュヴェ・リカに軍配が挙がると思う。

2000円台ではステラー・オーガニクスのリバーズエンド・ピノ・ノワールが2300円ながら秀逸だった。

 

マスダの南アフリカワイン試飲会でおいしかったワイン【シラー&ピノタージュ編】

続いては5番目のシラー&ピノタージュカテゴリだが、このカテゴリの個人的ベストはキアモントのシラー2016。

マスダで寝かせておいたキュヴェなのだそうで、まさしく今が飲み頃という角のとれたまろやかうまい液。価格も4700円とそこまで高くなく、5000円以下くらいの価格でちょっと贅沢したい日に飲む、名より実のワインとしては地球レベルで最強の一角を占めるんじゃないか、という親しみやすさと深みを兼ね備えた味がする。

このカテゴリではロングリッジのピノタージュ2020もおいしかった。

今回ロングリッジ総じてすごくよかったなあ。あとブーケンハーツ・クルーフのウルフトラップ・レッドも1600円と非常に安いのにとてもおいしく、自宅のハウスワイン候補に良さそうと感じた。

「自宅のハウスワイン」、「俺のマイボール」って感じがして良いですね。

 

マスダの南アフリカワイン試飲会でおいしかったワイン【カベルネ・ソーヴィニヨンなど編】

さていよいよ最後のカテゴリ、「カベルネ・ソーヴィニヨンなど」である。私はマスダの試飲会を通じていつも思うのだが、南アフリカワインでおいしいのは、
1:ピノタージュとシュナン・ブラン
2:MCC(スパークリングワイン)
3:3000-4000円のピノ・ノワール
4:金額問わずボルドー
だと思う。というわけでこのカテゴリのワインは大概なにを飲んでもおいしい。ボルドー的な重厚感と複雑さと爽やかさがありながら、南アならではの果実味と親しみやすさも加わって、雑に言って無敵、みたいな味になりやすいのだ。野球が上手くて人柄もいい大谷翔平みたいになりやすい。

そんななか、今回の試飲会では安ワイン価格帯の3キュヴェがおいしいと思った。

まずは最初のほうでも名前の挙がったドルニエのココアヒル・レッド。

ココアヒルふたたび。

ココアヒル、南ア高コスパワインの新たなベンチマーク候補だと思う。果実が強く、「フルーティ」とか「ジューシー」とかワインに使ってはいけないとされる形容詞が脳裏に浮かびまくる味。

マスダの名物営業マン・三宅さんいわく「レストランさんにも個人飲みにも、よう売れてます」とのこと。こりゃよう売れるでしょうそうでしょう。

ブーケンハーツクルーフのポークパインリッジ カベルネ・ソーヴィニヨンもよかった。ポークパインリッジはシラーがおいしいと思っているのだがカベルネも素晴らしい。2200円とお手頃価格で確実にお値段以上の味がする。

そして今回全体ベスト3くらいに入ると思ったのがラステンバーグカベルネ・ソーヴィニヨン2022。

南アの20-21-22VTは良いみたいですよ!

なんでも南アのここ数年は、20>21>22とどんどん良くなる素晴らしいヴィンテージ3連発だったのだそうで、このキュヴェもちょっと驚くべき内容の良さがあった。

カベルネながら主体は果実でもタンニンでもなく酸。非常にフレッシュな、果実丸かじり系の酸に甘さと渋さが調味料的に足され、飲む角度によってジュースにも、スープにも、ワインにも感じられる多層的で複合的な味がする。しかもお値段2700円。推せる。

22 は売ってなかった↓

というわけで以上かなり駆け足になってしまったが、マスダの試飲会で印象に残ったワインたちをご紹介した。価格に対して圧倒的なパフォーマンスを見せ続ける南アフリカワイン、今後も目を離せそうにない。

 

ブラインドテイスティング挑戦記【WEEK29】

ブラインドテイスティングWEEK29に臨んで

恵比寿のワインマーケット・パーティでブラインドテイスティングに挑んできた。2024年初挑戦。前回、2023年末の回で品種と産地全当てという奇跡の結果を出して以来の挑戦。

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今週は白1、赤2の構成で、今週は珍しく赤が両方とも薄めのうすうすセット。果たしてその中身はなんだろうか? さっそく飲んでいこう。

 

ブラインドテイスティングWEEK29/1杯目

つっても私はね、ははは、前回品種と産地をパーフェクト回答した男。今回も余裕でしょうどう考えても、と飲んでいったのだがあれおかしいなさっぱりわかんないぞ。3週間のブランクで完全に経験値リセットされてる……。

色はかなり薄めで、アロマティック系。香りは少し弱めで、ソーヴィニヨン・ブラン、しか思い浮かばないわりとガチで。特徴でいうと蜜っぽさのなさだろうか。それがゆえにシュナン・ブラン、リースリングとかではない気がする。加えて、ゴリゴリのアロマティック品種でもなく思える。

ニュートラルな酸味主体の味わいで、後味に樽的なコクを感じる。ソーヴィニヨン・ブランなんだけど樽がかかってるタイプとかかな。となるとニュージーランドではなくカリフォルニアか。

というわけであまり考えずに、
アメリカ (カリフォルニア)/ソーヴィニヨン・ブラン/2021/14%

と予想した。

樽熟成を経ている予想なのでヴィンテージは1年古めに予想。カリフォルニアと予想してかつ果実味リッチなのでアルコール度数は高め予想でいってみよう。


ブラインドテイスティングWEEK29/2杯目

続いて2杯目は色は薄いが香りはバーン! とやってくる。後味にはやはり樽のニュアンスがあり、「酸とタンニンと果実」をテーマに岡本太郎に発注した彫刻、みたいな印象だ。なんつーか、酸とタンニンと果実が幾何学的にバランスを保っているのではなく、生命感を持って各要素が爆発的に躍動しているイメージなんですよ。かなりおいしい、好みのワインだ。

ピノ・ノワールネッビオーロ、あるいはピノ・ノワールっぽいシラー。あるいはピノ・ノワールっぽいグルナッシュ、あるいはピノ・ノワールっぽいサンソー、あたりが候補になるだろうか。

グルナッシュやサンソーは決め手がない。そして私はネッビオーロに「炭」の要素を概念的・観念的に感じるのだが、それがないように感じるのでピノ・ノワールかシラーの二択に絞ろう。

どっちだろうか。わからないので最終的に色で判断した。シラーはこんなに薄くない! ゆえに! ピノ・ノワール! それも気を衒わずにブルゴーニュでいってみる。というわけで、

フランス(ブルゴーニュ)/ピノ・ノワール/2021/13% 
色が薄いという点から寒かった2021と予想。アルコール度数はもう少し低くてもいいのかもしれないけどボリュームはないことないと思うので13%と予想した。

 

ブラインドテイスティングWEEK29/3杯目

さて3杯目も赤なのだが、おそろしいことに、2杯目と印象がめちゃくちゃ似てる。過去ここまで印象の似た2杯が並んだことがあっただろうか(いやない)という赤2杯の並びだ。本気で「あの〜、同じのが2杯きちゃったみたいなんですけど(汗)」みたいに沼田店長に言おうかと思ったレベル?

ピノ・ノワールネッビオーロ、あるいはピノ・ノワールっぽいシラー。ピノ・ノワールっぽいグルナッシュ、ピノ・ノワールっぽいサンソー、あたりが候補。(同じ)

差分はタンニンだ。こっちのほうが渋い。あと樽のニュアンスが弱いように感じる。薄くて渋いってなんだろう。ガメイか。ピノ・ノワールとガメイを並べて出題する……ありそうだ。というわけで、

フランス(ブルゴーニュ)/ガメイ/2021/13%

と予想した。同じヴィンテージ、同じアルコール度数で揃え、品種だけの差分なのではないかという予想だ。今年の私は出題者も回答者も人間なんだから出題意図を読み解くのもまたブラインドテイスティングのうち、という珍理論で勝負していこうと思います。

 

ブラインドテイスティングWEEK予想を終えてf:id:ichibanboshimomojiro:20240115183450j:image

というわけで今週も予想が出揃った。果たして私の予想は合っているのだろうか? 解答発表後に追記したいと思うので、お楽しみに。

 

ブラインドテイスティングWEEK26 / 正解発表:1杯目

予想:アメリカ (カリフォルニア)/ソーヴィニヨン・ブラン/2021/14%


正解:フランス(ブルゴーニュ)/アリゴテ/2021/12.5%
 

アリゴテのことを忘れていました。ニュートラルな味わい、軽めな樽、一瞬脳裏をよぎったシャルドネなどなどヒントはたくさん。箸にも棒にもかからないより、こういう「正解する可能性もゼロではなかった」ほうが悔しいんですよほんとに。針にかかった魚めっちゃデカかったんすよガチで。釣れなかったけども。みたいな話をしてるのは知ってる。



ブラインドテイスティングWEEK / 正解発表:2杯目

予想:フランス(ブルゴーニュ)/ピノ・ノワール/2021/13% 


正解:ニュージーランドマールボロ)/ピノ・ノワール/2022/13%
 

ピノ・ノワールは正解だったが、残念、産地はニュージーランドだった。外したのは残念だったが、このワインは素晴らしいワインだと感じた。外したけれど、飲めたことに感謝、そんなワインだ。フラれたけど、出会えたことに感謝! みたいな話をしてるのは知ってる。

ともあれこれおいしいですよみなさん!

 

ブラインドテイスティングWEEK / 正解発表:3杯目

予想:フランス(ブルゴーニュ)/ガメイ/2021/13%


正解:イタリア(シチリア)/ネレッロ・マスカレーぜ/2020/13%
 

ネレッロ・マスカレーぜか! なるほど色薄め、タンニン、果実、酸すべてしっかりの陰性(イタリア)チャーミング(シチリア)、なるほど言われてみれば納得がいく。

ネレッロ・マスカレーゼ、私のなかで響きがカッコいいと思う品種NO.1なので当てたかったなあ。なんの関係もない話をしてるのは知ってる。

というわけで今回は産地および品種はひとつだけ正解。あとはヴィンテージやアルコール度数がちょこちょこ当たって4項目正解となった。また次回がんばる!

 

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富士屋ホテルでワインを飲んできた。【宿泊レポート】

富士屋ホテルへワインを飲みに行ってきた

箱根・宮ノ下の富士屋ホテルに宿泊してきた。富士屋ホテルといえば箱根駅伝のテレビ中継などでもお馴染みの1878年創業の箱根エリアっていうかほぼ関東を代表すると言っていいんじゃないかレベルのクラシックホテル。いろいろワインを飲んできたのでレポートしたい。

 

富士屋ホテルアフタヌーンティーペリエ・ジュエを飲む

さて、現地には14時頃に到着したので、まずはふたつあるラウンジで供されるアフタヌーンティーを楽しむことにした。

なんでもアフタヌーンティーとは19世紀中葉のイギリスで、夕食の時間までの空腹に悩まされた公爵夫人が始めた茶会がその起源なのだそうだ。産業革命の結果ガス灯が普及、晩ごはんが遅くなったのがその遠因とのこと。産業革命の結果アフタヌーンティーという文化が生まれるのいかにも「人類史」って感じがして良い。

当初貴族文化として生まれたそれは19世紀末に中産階級にも伝播、21世紀の今はお茶だけじゃなくてお酒も飲んじゃいますかついでに、みたいな展開も見せているのだそうだ。最初に「あの〜、自分お酒もいただいちゃっていいすかね」って言った人えらい。

というわけで富士屋ホテルのラウンジではアフタヌーンティーが6400円で楽しめる。スイーツやらサンドイッチやらが3段+1皿に盛られたそれには紅茶をはじめとしたお茶を合わせるのが基本。なのだが、シャンパーニュペリエ・ジュエ)をオーダーすることもできる。

シャンパーニュは1杯3,000円なのだが、90分10,500円でフリーフローもオーダー可能。おじさん4人で行ってひとり1台オーダーし、フリーフローでシャンパン飲んだらさぞかし楽しいだろうなあと思いつつ、夜もあるので私はグラスで飲むに留めておいた。

ペリエ・ジュエ グラン・ブリュットはピノ・ノワール40%、ムニエ40%、シャルドネ20%のブレンド。その味わいはザ・スタンダードという印象。エノテカでは10,003円で売られているワインなので、90分10500円フリーフローはお値打ち感がある。15分に1杯飲んだら大勝利。

 

富士屋ホテルのレストラン・カスケードでワインペアリング

さて、そんなこんなでチェックインを済ませ、温泉など浸かっていると夕食の時間がやってくる。食事どころは格安の宿泊プランだったこともあり、メインダイニングのザ・フジヤではなくレストラン・カスケード。

レストラン・カスケードは大正9年1920年)建築の旧宴会場「カスケードルーム」を復原したというレストラン。ステンドグラスや欄間の彫刻などが美しい、風情のある空間だ。こんなもんただの文化遺産であって、文化遺産のなかで食事ができること自体がもう尊い

料理は前菜、スープ、魚料理、肉料理、サラダにデザート・小菓子・お茶がつくコース。ワインはメニューに合わせてソムリエが選んでくれるペアリングコースをお願いした。足りなければ4杯目も頼もうということで、注文は7500円の3種ペアリングにした。

 

ワインペアリング1杯目:ペリエ・ジュエ グラン・ブリュット

と、最初に出てきたのはふたたびペリエ・ジュエのグラン・ブリュットだ。

ついさっき飲んだのでとくにこれといったコメントはないが、柚子風味のソースで食べる真鯛のマリネと堅実に合っておいしかった。エースでも4番バッターでもないけれどチームにいないと困る選手、それがペリエ・ジュエ グラン・ブリュット。出塁率が高いタイプ。

 

ワインペアリング1杯目:グレイスワイン グリド甲州2022

素晴らしかったのは2杯目のペアリング。グレイスワインのグリド甲州が出てきたのだが、それと魚料理の「サーモンと帆立貝のヴァプール 白ワインソース」がちょっとびっくりするほど合ったのだった。

料理自体サーモンとホタテの甘さを白ワインとバターの旨味が補強して大変おいしかったのだが、料理のなかに要素として存在しない酸と果実味をグリド甲州がピタッと埋めて、一緒に味わうと両者の化学変化によって別の味わいが現出する感覚があった。

さらにバターを乗せたパンを合わせるとそこに香ばしさも加わってあれ、いまって熟成しためっちゃいいシャンパーニュ食べてるだっけ? みたいに脳が誤作動を起こすおいしさだった。

グリド甲州、なんといいましょうか、野暮なことをいうと高いワインではないのだが、ていうかグラス1杯2500円換算のこのワインペアリングにあってボトル1本2500円だったりするのだが、それはそれとしてとてもおいしいワインだ。2000円台のベスト甲州はこれかもしれない。ていうかこれ。

ヴィンテージ違うかもなので注意↓

ひさしぶりにワインと料理が鍵と鍵穴のように完全に符号するペアリングを味わった。最高。

ちなみに料理名の「ヴァパール」は蒸し料理のことだそう。知らなんだ。

 

ワインペアリング3杯目:ヴァンサン・ロワイエ ブルゴーニュ ピノ・ノワール2022

そして3杯目は肉料理(国産牛ロース肉のポワレ ディアブルソース)に合わせてピノ・ノワールが出た。銘柄はヴァンサン・ロワイエ ブルゴーニュ ピノ・ノワール2022。

ここまでの流れでなんとなく察しがつくとおりにとくに高いワインというわけではないのだが(市販価格3000円+とか)、イチゴのお菓子のような少し甘い香りが漂ってきておいしいワインだった。

脂が多く肉質が甘い国産牛ロースの味わいをピノ・ノワールの渋みと果実味でソース的に補強し、ともすればくどくもなりがちな脂を豊かな酸で流すといったイメージ。

同点の9回裏2アウト満塁から、ホームランでなく、ヒットでなく、押し出しのフォワボールを淡々と選んだようなペアリングで、派手さはないがしっかりとおいしかったのだった。なんとなくボルドーとかが出そうなところ、ピノ・ノワールの意外性が良い。

こんなところで満腹となり、小菓子は持ち帰って部屋で楽しませてもらった。記録のため残すと宿泊は1960年建造のフォレストウイング。部屋から箱根登山鉄道が見え、夜半に箱根の山を行き交う電車の、まるで航跡のように残るライトになんともいえない銀河鉄道の夜感があっていいお部屋だった。カムパネルラ、ほんとうのしあわせってなんだろうね。

 

富士屋ホテルのザ・フジヤでミモザを飲む

翌朝の朝食はザ・フジヤ。いくつか選べる中から「サラダブレックファスト」を選択したのだが、飲み物のなかにシャンパーニュのオレンジジュース割であるミモザ(+500円)を発見。

そんなもん頼む一択でしょということで頼んだ。歴史の重みを感じさせるザ・フジヤの、ホテルの朝食会場とは思えない静かで厳かな雰囲気。採れたての野菜。そんななか飲む酒がうまい。

ちなみに使われているのはテタンジェだそうだ。そこはペリエ・ジュエじゃないんだ、となったがこだわりがあるのだろうか。普段朝酒は己に禁じているのだが、ザ・フジヤで飲む朝ミモザはとても良いものだったことを記録しておきたい。

 

富士屋ホテル滞在を終えて

そんなこんなで富士屋ホテルでの短い滞在は終わった。とても良かったのできっとまた来ると思うのだが、その際にはぜひバー・ヴィクトリアにも伺ってみたい。(夕食後部屋に戻って即寝してしまったので…)

ヴィーガン・メニューがあったり問い合わせはAIチャットbotだったりと、老舗ながらソフトは決して古くない。それが150年続く秘密なのかもな、と思ったりした、満足度の高い滞在だった。

みなさんも箱根にお出かけの際はぜひ、富士屋ホテルへ。

家で飲む用に福袋ワイン買おうかなーと思ってるところ↓



アルネイスってどんな品種? ワインブロガーが調べてみた

アルネイスとは

アルネイス、というブドウ品種がある。

イタリア北部のピエモンテ州原産の白ブドウで、ロエロ・アルネイスDOCG、ランゲ・アルネイスDOCといった産地が有名。世界中の全生産量のうち97%がイタリアに集中し、なかでもピエモンテ州がそのほとんどを占めるというピエモンテを代表する白品種だ。

ピエモンテ。イタリアの西端であり、さらに西端のクーネオ県がメインの栽培地(画像はwikipediaより)

ちなみにアルネイスはピエモンテ語で「いたずら好き・気まぐれ」を意味する。私が今春入学の大学一年生ならば第二外国語ピエモンテ語で決まりだ。

 

アルネイスの歴史

このアルネイス、もともとはピエモンテといえばの黒ブドウ品種・ネッビオーロブレンドしてその酒質をまろやかにするという役割を与えられたブドウだった。北ローヌでいうところのシラーにブレンドされるヴィオニエ的な役割だったわけですね。

そのため、ネッビオーロ・ビアンコとかバローロ・ビアンコいう呼び名もある(ただしネッビオーロと遺伝上の関係はない)。

洋梨。アルネイスのメインの香りがこれ。(画像はwikipediaより)

伝統的にはアルネイスとネッビオーロは混植されており、それは「熟したアルネイスの果実の甘い香りで鳥を引きつけ、アルネイスより貴重なネッビオーロの果房に近づけないという目的(wikiより)」があったのだそうだひどい。おとりかよ。

アルネイスはネッビオーロバローロなどの単一品種で仕込まれるのが一般的になるにつれ絶滅寸前となり、ついにはブルーノ・ジャコーザとヴィエッティの2生産者しか扱ってない、というところまで追い込まれる。崖っぷちすぎ。

ネッビオーロをまろやかにする、という補助品種ここに極まれりという役割でありながら栽培が難しいのがその原因だったようだ。仕事のできる人は大概性格にクセがある。ブドウ品種も同じですなあ。

ただ、そこから再評価の機運が高まったのかなんなのか、1970年に45ヘクタールまで減少したイタリアにおけるアルネイスの栽培面積は、2010年には970ヘクタールにまで拡大する。よかった。ブルーノ・ジャコーザは偉大だ。グラツィエブルーノ。

これは年内に絶対飲みたい↓

 

アルネイスの味わい

wikipediaによればそんなアルネイスの特徴はキレのある酸味、白い花のアロマ、洋梨アプリコットのニュアンス。なかでも洋梨はアルネイスを象徴する香りで、ほかにはアーモンド、アプリコット、桃、ホップのアロマを持つとある。ホップってあんまり聞かなくて面白いっすね。

で、そもそもなんでまた急にアルネイスの話をしているのかだが、それはカッシーナ・キッコの「ロエロ アルネイス アンテリージオ」を飲んだから。

2023年11月の下北沢ワインショップの試飲会で飲んで衝撃を受けて購入、あらためて飲んでみたのだがこれが素晴らしかったのだ。2024年ははじまったばかりだが、今年の3000円以下ベストワイン白部門のかなり有力な候補になりそう。

白い花や透明な蜜、あんず、そしてツーンとしない「ミツカン かんたん酢」的な酸味。余談だがかんたん酢はガチで便利なのでみんな買うべき。酢の物なんて一発ですからねこれ。いずれにしても非常にまろやかで、それでいてシャープさもあり、圧倒的に香りが良く素晴らしいワインだったのだった。

イタリアの赤品種はネッビオーロ、サンジョヴェーゼ、プリミティーヴォとか好きな品種がいくつかあるが、白品種となると途端に指が折れなくなっていたのだが、これは明確に「好き」と言える味わい。私はアルネイスが好きだ。

つーかこんなにおいしいんですねアルネイス。シャルドネを50%、リースリングを40%、ヴィオニエを10%ブレンドしたみたいな味がする。

アルネイスを足がかりに、イタリア白品種という山を登っていけそうな、そんな気配。みなさんもぜひ、試してみようアルネイス。

このシャンパンイチオシです(価格に対して味が良い)↓

 

 

デ・ウェホフ。南アのシャルドネ特化生産者来日イベントレポート!

デ・ウェホフ(DE WETSHOF)の名前の由来

インポーター・都光の社長でお友だちのナオタカさんからご指名いただき、南アフリカシャルドネの名手、デ・ウェホフの生産者来日イベントの司会を務めてきた。自称ワインブロガー、頼まれたらなんでもやります。

来日されたのはデ・ウェホフで勤続30年だというマーケティング・ディレクターのベニー・スティップさん。会場は東京・豪徳寺南アフリカワイン専門店、ワインステーション+だ。

ベニーさん。めっちゃナイスガイ

デ・ウェホフのつづりはDE WETSHOF。WETSHOFをベニーさんの発音をそのままカタカナで表記すれば、「ヴィェッショッフ」とかそんな感じ。そんなもん発音できるかっ、というナオタカさんの一存で「ウェホフ」表記になったのだそうだ。英断。

「DEは貴族を示します。そしてHOFはHOUSEの意味。DE=貴族であるWETS(ヴィェット)さんのHOF=家、DE WETSHOFにはそういう意味があります」とダニーさん。House of Sir Wets、みたいなことなんですかね英語でいうと。なるほどなあ。

 

デ・ウェホフは珍しい「シャルドネ専門」生産者

さて、ベニーさんによれば、南アフリカのワイン用ブドウの栽培面積は10万ヘクタールに少し欠けるくらいなのだそうで、これはフランスのボルドーと同じくらいのサイズ。

それが南ア最南部の西ケープ州に集中しており、デ・ウェホフが在するロバートソンは南アワインの生産量の約13%を占める大きな産地で、石灰岩(ライムストーン)を多く含む土壌と、昼暖かく夜涼しい寒暖差がシャルドネの生育に適しているという。

会場のワインステーション+で用意されたおいしい料理の数々もイベントを彩った(写真はmishikaさんより)

「降水量が年間350mmと乾燥していて海からの風が強く吹くので、害虫がつきにくく、ブドウが病気になりにくい。なので、オーガニックに近い栽培をしています」とベニーさん。

温室効果ガスを排出するような産業があまり多くなく、鉱山もなく、海に囲まれていることで南アは地球温暖化の影響をさほど受けていない生産地なのだそうだ。なるほど。

そんな地にあって、とにかくユニークなのはデ・ウェホフが「シャルドネ特化」であることだろう。カベルネ・ソーヴィニヨンとかピノ・ノワールも造ってはいるが、メインはあくまでシャルドネで、シャルドネだけで何種類ものワインをリリースしている。

この日飲んだのはそのうちの7種8本。さっそくグラスバイグラスで見ていこう。

 

デ・ウェホフ ブラン・ド・ブラン メソッド・キャップクラシック

まずはブラン・ド・ブラン メソッド・キャップクラシック。2020年が初ヴィンテージの新しいキュヴェで、現オーナーのご子息がシャンパーニュで修行したのをきっかけに、ぜひウチでもと造りはじめたワイン。

「スティルの白ワインは区画ごとに収穫したブドウを使いますが、これだけは各区画で一番最初に収穫したブドウを使っています。18カ月熟成させたところでテイスティングし、もう少し寝かせようと24か月熟成させました。10%は木樽で熟成させています」

スパークリングワイン造りは酸が命。もっとも早く収穫を行うことで、酸が豊かに残ったベースワインを造ることができるのだ。

残糖量は6g/L。ワイナリーとしてはドサージュなしが好みなのだそうだが、南アのマーケットは辛すぎないほうが好みということで、この残糖量となっているとのこと。

シャンパーニュ、という感じは正直あまりしなかったのだが、南アのMCCとしてちゃんとおいしく、シャルドネのさわやかさと蜜感に複雑さと旨味が乗った味わいだった。

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ライムストーン・ヒル シャルドネ

続いては、かつてロバート・パーカーが「世界中で造られるシャルドネのすべてがこの味ならば、みんなもっとシャルドネを飲むだろう」と語ったというライムストーン・ヒル

レストランではバイ・ザ・グラスで提供されるデイリーレンジのワインながら、これがレモンパイのような酸味&甘み&クリーム感があって素晴らしくおいしい。

「ライムストーン・ヒルの名前の通り(ライムストーン=石灰岩)、石灰質土壌の区画で収穫されたブドウを中心に使っていて、ミネラル感のあるワインです。残糖量は3.8g/Lと少し甘みがありますが、砂糖の甘さではなく果実の甘さを感じられると思います。瓶のなかに少しCO2が残っているので、ちょっとだけ泡立つ感じもあると思います」(ベニーさん)

なんでも、このほんのわずかな発泡感は、アメリカやイギリスでは受け入れられるがカナダでは受け入れられないらしく、カナダ出荷分は泡を抜いてから出荷するのだそう。ベニーさん、日本人はこのつぶつぶした泡感がわりと好物と聞いて、ホッとした様子だった。

ちなみに私のこのブログの記念すべき最初の記事で取り上げたのがこのライムストーン・ヒル シャルドネ。季節がいくつか巡って、生産者来日イベントの司会をしているのだから人生は面白い。

himawine.hatenablog.com

 

ボン・ヴァロン シャルドネ

ライムストーン・ヒルと同じくエントリーレンジながら、レストラン向けでオーク樽を使用していないというのがボン・ヴァロン。

「ライムストーン・ヒルとの違いは畑の場所。ライムストーン・ヒルが粘土質で平地なのに対して、傾斜の上のほうで粘土質がほぼない区画がボン・ヴァロンの畑です。それによりミネラルや酸が豊富なのが特徴です」(ベニーさん)

ベニーさんによれば、灌漑をしていてもどうしても生じるヴィンテージ差を埋めるために、ウェホフではキュヴェごとに80%は決められた畑のブドウを使いつつ、残りはさまざまな区画のブドウをミックスすることで、「そのキュヴェの味」を出しているのだそう。

「私たちはコカ・コーラペプシを造っているわけではありませんが、10年間月に行った人が帰ってきてボン・ヴァロンを飲んだときに『そうそう、この味!』と思えるものを造りたいんです」

というベニーさんのコメントが、この会でもっとも印象に残る言葉となった。

ロバート・モンダヴィいわくワインは世界のどこで飲んでも同じ味わいであることが大切なのだそうで、ウェホフでもその言葉を大切にしているのだそうだ。南アで飲んでも日本で飲んでも同じ味。今年できたワインも10年後にできるワインもなるべく同じ味。プロフェッショナル 仕事の流儀、的な味わいのある言葉だ。

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レスカ シャルドネ

続いてもシャルドネだ(この日はすべてシャルドネだ)。オーナーの奥さん・レスカさんの名を冠したキュヴェ、「レスカ」である。

ダニーさんいわくレスカさんは非常に上品な方なのだそうでその人の特徴が表れているワインなのだそうだ。

余談だが私の主張のひとつに「家族名キュヴェにハズレなし」というものがある。とくに娘名キュヴェが鉄板で、これは絶対においしい。次いで祖母の名前キュヴェ、両親の名前キュヴェ、息子の名前キュヴェと続くが、配偶者の名前キュヴェはそもそも数が少ないなんでだろう

そんななか妻の名前キュヴェをこのミドルレンジに冠してきたのはオーナーの不退転の決意を感じさせ、その覚悟に見合った味わいがこのワインからはする。

「ボン・ヴァロンと同じエリアのブドウを使っているので、フレッシュかつミネラル。差分は樽を使うか使わないかで、レスカはで2年目以降の樽で熟成させています。使っているのはラドゥー社のフレンチオーク樽。低めの温度で焼いているため、ブドウの果実味が残ったままリッチなバニラの香りが得られます」(ベニーさん)

樽は強くローストすると甘さやボリューム感、トロピカルフルーツのニュアンスが出るが、ベニーさんいわくそれらの要素をウェホフは求めていない。重視するのはシトラスの香りで、それが出るような焼き具合にしているのだそう。

これは文句なしに素晴らしいキュヴェで、バターやナッツ、ヌテラとかそういうニュアンスがありつつライムストーン・ヒルにあったような爽やかフレッシュ感とバランスしている。温度が上がると上等なスポンジケーキみたいな香りも加わって最高においしい。「南アのムルソー」というキャッチコピーも納得だ。

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ザ・サイト シャルドネ

ここからワインはプレステージ帯へと突入していく。その最初が“南アのコルトンシャルルマーニュ”というキャッチコピーが付されたザ・サイト シャルドネ。午前中しか陽が当たらないというウェホフのエステートでもっとも冷涼な3ヘクタールの単一畑から造られるシャルドネだ。

2016とちょい熟のものをテイスティング

「ヴィンテージは2016ですが、ようやく飲み頃を迎えたタイミングです。新樽で熟成させるのですが、そのうちのいいものだけをサイトとして瓶詰めするので、バレルセレクションでもあります」とダニーさん。

シングルヴィンヤードなのでヴィンテージ差はどうしても生じる。だからこそ、良い樽だけにサイトの名を付与し、それ以外のものはある種“格下げ”をしてスタンダードキュヴェに混ぜる。このあたりにもウェホフの品質管理のたしかさを感じる。今年は出来がよくないけれど、それも楽しんでください、だってワインは自然の賜物だから、みたいなことよりもはるかに健全なのではないでしょうか。

ナオタカさんはこのザ・サイトがお気に入りで、この日のベストキュヴェもこれだとおっしゃっていた(ほかにも同意見の方が複数おられた)。

輸入元社長(ナオタカさん)イチオシキュヴェがこのザ・サイトだ。

シャルドネだけを飲み比べると、同じ生産者の同じシャルドネのなかでもあれが好きこれが好きみたいなのがわかって面白い。あとでも述べるが、この日の私のイチオシは「レスカ」なのだった。

※ザ・サイトは現在売り切れみたい


バトラー シャルドネ 2016/2020

そして最後はバトラーだ。私のワイン人生で一番最初に感動したワインがこれ。こんなにおいしい飲み物がこの世にあるのかと思ったんですよ本当に。ナオタカさんいわく「南アのモンラッシェ的存在」で、高いミネラルと豊かな果実味&樽のニュアンスの三位一体の魅力があるワイン。

2016と2020を飲み比べました。

「バトラーはウェホフにとってトップのシャルドネです。特徴は1987年に植樹し、1991年に最初の瓶詰めを行った、南アでもっとも古いシャルドネの畑のブドウを使っていること。メゾン・ジョセフ・ドルーアンのクロ・デ・ムーシュの畑のブドウのクローンを持ってきて南アで研究し、植えたブドウです」(ベニーさん)

その2020ヴィンテージは、シャルドネだけの国際品評会「シャルドネ・デュ・モンド」の2022年でトップ10に入ったというワイン。その味わいはやはり素晴らしい。雨が少なく、気温が低かったことから収量の低い年だったそうだが、その分酸が主体のエレガントなワインとなったそうだ。

シャルドネ・デュ・モンドのトップ10という結果を受けてエミレーツ航空が大量に購入するなど、世界的評価はすでに定まっているが、「日本ではまだ知られてないんですよね……」とナオタカさん。みなさんバトラーおいしいですよバトラー。

さて、最後の1杯はこの2020と飲み比べた2016だったのだが、これが非常に濃い色で、かなり熟成が進んだ印象。「気温が高く収量も多い、リッチなワインができた年。酸度が低かったぶんだけ、熟成が早く進んだのかもしれませんね」とベニーさん。私はフレッシュな2020のほうが好きだった。

 

デ・ウェホフ生産者イベントを終えて

と、こんな感じで楽しいデ・ウェホフ生産者イベントは幕を閉じた。ハマり始めの頃に感動したワインの造り手の来日イベントで司会を務めるのは非常に感慨深く、用意されたワインもとてもおいしく、ベニーさんはいい人で、とにかくとても良い夜だった。

この日テイスティングしたワインのみなさん。

そしてこの日のベストワインは個人的にはレスカ シャルドネ。定価3850円とやや高めのワインだが、プチムルソー的リッチさがあり、価格以上の高級感・満足感が得られる素晴らしいワインだと思う。

エントリーレンジのライムストーン・ヒル シャルドネも素晴らしい。このいずれかを飲んで気に入ったら、フラグシップのバトラーに挑戦、そんな流れがいいと思う。もちろん、ボン・ヴァロン、サイトも非常にハイクオリティなので、セットを試すにも良い選択肢だ。

私もこれを機に、改めてデ・ウェホフの魅力を認識した次第。南アではとても珍しい「シャルドネ専門メーカー」はやはりすごかったのだった。

イチオシ↓

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バトラーは一度飲んでいただきたい↓

a.r10.toモンラッシェ(ピュリニーモンラッシェ村名)との飲み比べセットも↓

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