ヒマだしワインのむ。|ワインブログ

年間500種類くらいワインを飲むワインブロガーのブログです。できる限り一次情報を。ワインと造り手に敬意を持って。

バード・イン・ハンド ピノ・ロゼのことを調べて価格や感想をまとめてみた。【BIRD IN HAND PINOT ROSE】

バード・イン・ハンド ピノ・ロゼはどんなワインか

ロゼが苦手だ。
モツが苦手だ、といった意味合いで、鍋は好きだがモツは苦手な人がいるように、私の場合ワインのことはワインになりたいくらい好きだがロゼは苦手だ。モツは好きです。

ロゼに関しては、苦手というか心の底からおいしいと思ったことが実はない。みたいなことをいうと、「それは本当においしいロゼを飲んだことがないからだよ」と、「それは本当においしいホルモンを食べたことがないからだよ」とか「それは本当においしい白子を食べたことがないからだよ」とか言う人がよくいるが私は白子は本当に無理だワインの話だった。

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バード・イン・ハンド ピノ・ロゼを飲みました。

おそらくおいしいロゼを飲んだことがない説が最有力だろうということで、おいしそうなロゼを注文した。それが、「バード・イン・ハンド ピノ・ロゼ」だ。しあわせワイン倶楽部の商品ページに“太鼓判”って書いてあるし、レビューアプリの点数も高いし間違いないでしょこれは。価格も2398円で、激安ってわけじゃないし。ちなみにしあわせワイン倶楽部の商品ページによれば使用ブドウはピノ・ノワール100%。ステンレスタンクで熟成とのこと。

バード・イン・ハンドは特徴的な名前だが、これは「A bird in the hand is worth two in the bush.」ということわざに由来するのだとか。掌中の一羽は叢中(そうちゅう)の二羽に値する、と訳され、日本語でいうと「明日の百より今日の五十」となる。同じワイナリーのプロダクトで「ツー・イン・ザ・ブッシュ」というシリーズもあって、なんだか遊び心があっていいじゃない。

調べてみるとバード・イン・ハンドが創立されたのは1997年。アンドリューとその父マイケルのニージェント親子がオーストラリアはアデレードヒルズの荒廃した酪農場をワイナリーへと生まれ変わらせると、2003年にオーストラリアを代表するワインメーカーでマスター・オブ・ワインのキム・ミルンが醸造長としてジョイン。わずか20年ほどで世界的な評価を得るに至ったんだとか。そんなすごい人が造るロゼで、しかも3年連続ベストロゼ受賞だっていうわけですよ。1回は偶然で勝てて2連覇も勢いでできたとしても3連覇はたしかな実力がなくては無理っていうのは勝負事のいわば常識であります。2020年は残念ながら中止が決まってしまったけれども夏の甲子園を3連覇したのは1931年からの中京商だけでそれくらいレアだ。

バード・イン・ハンド ピノ・ロゼを飲んでみた

これはもう大丈夫でしょう。おいしいに違いない。故・川上哲治氏はその全盛期、バッターボックスでボールが止まって見えたというけれどもそれくらいの絶好球。俺にはワインが止まって見える(止まってる)!

いざ飲んでみるとうーんどうなんだろうこれ。非常にフレッシュ、なんだけど、フレッシュっていうかすっぱくないすかねこれ。どうなんですかね。白ワインのようにさわやかさだけで突っ走ることもできないし、赤ワインのような濃厚さ・重厚さ・複雑さもない、まさに白黒ならぬ紅白はっきりしない味わい、という風に感じてしまって極めて遺憾。熱いと冷たいの中間はぬるいだが、そのようなどっちつかずの印象を受けてしまったというのが正直な感想だ。

おいしい(はずの)ワインが楽しめない場合、とりあえず寝るというのが私の基本的なストラテジーなので、とりあえず寝た。で、日が昇ってまた沈み、2日目の再戦とあいなって、ようやく印象に変化が起きた。

チェリーだ。昨日「すっぱい」しか感じなかった瓶の底からさくらんぼがやってきた。なんだ〜、来てたの〜、みたいな感じでこれは大歓迎である。知り合い一人もいないカジュアルなパーティにひとりだけ正装できちゃって気まずさ指数89%くらいのタイミングで見つけた知り合いくらいのありがたみがある。今夜、おれは貴様を離さないからな! 男女は問いません!

このチェリー味がなんだか非常にかわいらしくて悪くない。そして、私の少ない経験のなかで、白ワインでも赤ワインでも感じたことがない味わい。これはロゼを飲む理由になりうる。あともしかしたら意外と濃い味に合う感じなんですかねこの子。近所の居酒屋テイクアウトの唐揚げっていう凶暴なメニューと合わせたときにすごくいい感じでした。サッパリして。

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vivinoの点数は4.0点と高得点なんです。

とにもかくにも、私にはロゼの経験値が圧倒的に足りない。足りなすぎる。もしかしたらもっと感じられるはずの味わいが、きちんと感じられていない感がどこかにあるので、また試そうと思いました。

そしていつか、ロゼ大好き! といいたい。アメリカのセレブに人気だっていうし。ミーハーか。

カクヤスの500円泡飲んでみた。【BORGHESIA PROSECCO BRUT編】

ボルゲシア プロセッコ ブリュットとは?

「なんでも酒やカクヤス」の500円で買えるスパークリングワイン、略称カクヤス500円泡を飲むシリーズも4回目となった。今回はボルゲシア プロセッコ ブリュット(以下、ボルゲシア)をチョイス。カクヤスの店頭には、「500円ながらDOCプロセッコ!」みたいなPOPが貼られていた。が、500円泡のつねでネット上には情報がほとんどない。

himawine.hatenablog.com なのでそもそもボルゲシアってどんな意味かと調べてみれば、驚くなかれイタリア語で「ブルジョワジー」の意だっていうから人生は恐ろしい冗談の連続だ。500円なのにブルジョワジー。どっこい生きてる瓶のなか。ど根性ワインここにありである。

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カクヤスで500円で売られているスパークリングワイン(プロセッコ)、ボルゲシア プロセッコ ブリュットを飲みました。

さて、裏ラベルをみると、このワインはvinicola decordiという会社のプロダクトであると書かれている。1921年に居酒屋としてスタートし、ワイン造りが好評だったのでのちにワイナリーとなっていったというレストランで出してたフライドチキンが好評すぎてチキン企業になったケンタッキーフライドチキンみたいな歴史を持つワイナリーのようだが、その公式サイトにもボルゲシアの名前の記載はない。安ワインの悲哀である。

プロセッコ村でとれたプロセッコから作ったプロセッコっていう名前のワイン(元)

ボルゲシアの表ラベルにはDOCプロセッコという記載があるが、デコルディ社の所在地はロンバルディア州。プロセッコはロンバルディア州と隣接しているヴェネト州の一定地域の一定品種で生産されたワインにのみ使用できる名称とのことなので、これどういうことなんですかね。お隣の州から買ってきたブドウでワインを作っているのか、お隣の州で作ったワインを売っているってことなのか。詳しい方おられたらご教示ください。

DOCプロセッコの規定では、品種はグレーロを85%以上使うのが条件。グレーロはもともとプロセッコっていう村でとれたプロセッコっていう名前のブドウだったのが、プロセッコっていうワインが有名になるにつれてブドウの名前がプロセッコ、ワインの名前もプロセッコ、村の名前もプロセッコだとこれもうわかんねえなってなって「グレーロ」になったというブドウ。隣の客はよく柿食う客だ感。早口言葉かよ。

ボルゲシア プロセッコ ブリュットを飲んでみた

というわけでブルジョワジーという名前の500円泡についての調査は以上だ。あとは飲むのみ。ある晴れた日曜日、窓を開けてベランダに小さい椅子と机を出して、スポンと抜栓。ランチのピザと一緒に流し込んだ。

たとえばビールの場合、「ビール」と「第3のビール」とか「新ジャンル」とか呼ばれる飲み物の価格差は100円ほどだと思うが、その味わいは圧倒的に異なると私は思う。ところがカクヤスの500円泡の場合は、1500円と言われてもまあそうかなっていう味が、どれを選んでもわりとする(注意:私の味覚レベルはゲームでたとえればスライムにボコられて死ぬ程度です)。

ボルゲシア スプマンテ ブリュットもそうで、そもそも泡が弱い感なきにしもあらずだが、味わいはフレッシュで、ほんのりさわやかな甘さもあって全然おいしくないことない。肌に直射日光が当たっている環境下で飲むとおいしさ2割増。気温は30度を超えているのが望ましい。よく冷えていて、泡が出る。ほんのり甘くて、柑橘系の味わいがある。野球部の練習が終わったあとに飲む冷えた三ツ矢サイダー効果と私が呼ぶ効果が発動し、気がつけば1本空いてた。ピザの油で汚染された体内を洗浄する液、と考えた場合の最適解のひとつと言えるのではないだろうか。

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vivinoの点数は3.4点。どうでもいいけどこの手はわたしの手ではありません。

生産者のサイトにも、輸入元のサイトにも、販売店のサイトにも記載がないが、誰かの家の冷蔵庫のなかにはたしかにあって、天気の良い日に開けられるのを待っている。そして、お酒が苦手でワインとかほんと無理、といった大学2年生女子がBBQかなんかで飲んだ場合に「ワインって、意外とおいしいかもしれない」と思わしめる。そんな、たしかな役割のあるワインだと思います。

 

最後に、これはもう本当に余談中の余談なのですがBorghesiaで検索するとスロヴェニアのエレクトロミュージックバンドのwikiが出てきます。このバンド、1982年から1995年まで活動したあとしばし活動を休止、2009年から再度活動をはじめているらしく、最近もリリースがあるみたい。

スロヴェニアはイタリアと国境を接しており、縁も浅くない。というわけで、ボルゲシア(ワイン)を飲みながらボルゲシア(バンド)の曲を聴くのもまた一興と感じられる可能性がゼロではないかもしれないので念のためリンクを貼っておきます。全っ然爽やかな感じじゃなく、お酒のイメージと曲のイメージはまったく合わないけど。

この情報はもはや誰のためかさっぱりわかりませんが、曲のタイトル「Ljubjana spi」は、スロベニア語で「リュプリャナは眠っている」という意味で、リュプリャナはスロベニアの首都だそうです。私からは以上です。

オススメのスパークリングワイン↓

安うまシャンパーニュ

www.youtube.com

サイクルズ・グラディエーター プティシラーを飲んで19世紀フランスに思いを馳せた話。【cycles gladiator petite sirah】

サイクルズ・グラディエーターのラベルの謎

プティシラーっていうブドウはどんな味なんだろうと気になって、それをたしかめるべくサイクルズ・グラディエーターのプティシラーを買った。

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サイクルズ・グラディエーター プティシラーを飲みました。

で、届いたボトルを手にとって私は思った。「なんで裸の女性が自転車に乗っているのか」と。自転車に乗っているっていうか、なんていうんですかね。運動神経のいい小学4年生男子がやる感じの曲乗りみたいなのを披露している。裸で。ラベルが気になりすぎる。

というわけで調べてみると、1900年のパリ万博を頂点とするパリ文化華やかなりし時期、ベル・エポックの時代のポスターにインスパイアされたラベルなんだとか。

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右が実際のラベルで、左がインスピレーションソースとなったベルエポック時代のポスター(たぶんこれだと思うレベルです)。

ポスターを見るに、サイクル・グラディエーターっていうのは、モンマルトル通りの自転車店ってことなんでしょうか。モンマルトルといえば有名なキャバレー、ムーラン・ルージュを描いたトゥールーズロートレックのポスターが有名であります。ちなみに、ベル・エポックを日本語に訳すと「良き時代」。ざっくりか。

なにはともかく裸の女性が自転車に乗っているこのラベルは自由・開放・新しい時代・フリーダムみたいなことを表現していることはわかった。自由とフリーダムかぶってるけど。

サイクルズ・グラディエーター プティシラーはどんなワインか

自転車店、ではなくワイナリーのサイクルズ・グラディエーターは、ハーン・ワイナリーの醸造家だったアダム・ラザールがファウンダー兼ワインメーカーとして設立したそうで、購入したしあわせワイン倶楽部の商品ページによれば、使われているのはプティシラー90%、カベルネソーヴィニョン7%、シラー3%。フレンチオーク(40%新樽)にて熟成しているとのこと(※2015ビンテージ)

「イギリス王立化学会の化学者が教えるワイン学入門」によれば、オークの新樽は1個500ユーロするとのことなので、安価(買値1628円)なわりにお金をかけて造ってる気がする。アメリカの生産者のうまいと安いを両立させようとする努力には本当に頭が下がる次第です。ハリウッド映画は製作にアホほどお金をかけるけど、だからって鑑賞料金が高いわけではないのとなんか似てる。

さて、メイン品種のプティシラーについても調べるべく「petit syrah」と検索すると、「Durif」というwikipediaのページが出てくる。1860年代、フランスの植物学者のドゥリフさんが自宅でペルーシンとシラー、ふたつの品種を栽培していたところこれが交配、誕生したのがデュリフで、これがアメリカではプティシラーと呼ばれるんだそうな。ちなみにシラーのつづりはsyrahだけどプティシラー のつづりはsirah。なんでそうなっちゃうんだよ。

サイクルズ・グラディエーター プティシラーの味わい

さて、飲んでみると、果実味しっかり&ほんのりスパイシー。樽が効いててめちゃうまい。同価格帯のほかのカリフォルニアの赤ワイン、それもカベルネ・ソーヴィニヨン主体のものと比べると、やっぱりスパイシーさで差別化されてる気がする。熟成中の樽にピンクペッパーかなんか落ちましたか? みたいな感じ。あるいは熟成中の樽の横にケバブ屋が突然開業、毎日羊肉を香ばしく焼き上げているうちにその香りが移ったかなんかしました? みたいな印象だ。ケバブに合うだろうなあ、このワイン。ケバブが食べたい。秋葉原とかの路上で売ってるやつワインの話だった。

果実味しっかりでスパイシーでいかにも肉料理に合いそう……ということで味の印象は私にはシラーっていうかシラーズと区別がつかない。プティシラーはシラーとペルーシンの掛け合わせのはずなのにペルーシンが仕事してる形跡が見られないので「ペルーシン」とカタカナで検索すると「もしかして ペルシン」となってアボカドに含まれる毒素について解説したページが表示される始末。ペルーシンお前そういうとこだぞ。

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vivinoの点数3.7点。1000円台半ばの値段でしっかり楽しめます。

ともかく、カリフォルニアのワインらしく、非常にグッドバリューフォーザマネーな仕上がり。ワインのことを調べるようになってわかったんだけど英語でコスパのことコスパって言わないんすね。アフォーダブルなワインでした。「入手可能な/手頃な」みたいな意味だそうです。英語使用者が実際に使ってる英語を英語の授業では教えるべきですよ(熱弁)!

さて、この文章のシメに、このワインを飲んで5月のさわやかな気候のなか自転車乗ったら楽しいだろなあ(裸で)、と書こうとして念のため調べると、自転車は軽車両なので飲酒運転は道交法上の罰則の対象になるとのこと。みなさん、ご注意を!

 

サン・ミケーレ ソアーヴェ クラッシコの品種と価格と感想をまとめてみた。【CA'RUGATE SAN MICHELE】

関東生まれの私が大学に入学して驚いたのは関西人って本当にノリツッコミとかするんだ、ということと、すべての関西人がノリツッコミとかするわけじゃないんだ、ということであった。日本人のすべてがニンジャでないように、すべての関西人が西川のりおみたいな感じなわけではない。晩ご飯にたこ焼きが出る家庭もあれば、出ない家庭もあるのだ。

色鉛筆の「はだいろ」は、今は「うすだいだい」または「ペールオレンジ」というそうだ。すべての人の「はだいろ」がペールオレンジではないからだ。先入観や決めつけはときに多様性への理解を阻害する。イタリアにはイタリア人と聞いてイメージするような強化郷ひろみみたいな感じの人もいれば、物静かな人も多くいる。パリピがいて、隠キャがいて、あなたがいて僕がいる。地球の上で、生きている。宇宙人から見たらイタリア人も日本人もみんなまとめて地球人であるワインの話だった。

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サン・ミケーレ ソアーヴェ クラッシコを飲みました。

昨夜飲んだのはCA’RUGATE(カ・ルガーテ)の「サン・ミケーレ ソアーヴェ クラッシコ」。カ・ルガーテはイタリアがブーツだとした場合のブーツからはみ出した太ももの裏側部分、ヴェネツィアがあるのでおなじみの州、ヴェネト州の生産者で、小規模ながら質の高いワインを造ることで知られるのだとか。

ソアーヴェは州西部のヴェローナ周辺で造られる辛口白ワイン。DOCソアーヴェ・クラッシコは最大収量1ヘクタールあたり14トン、最低アルコール度数11度、3カ月以上の熟成が求められ、使っていいブドウはガルガーネガ、トレッビアーノ、シャルドネ。70%以上がるガーネがでなくてはならないそうです。以上wikiより。

「サン・ミケーレ」はガルガーネガ100%。公式サイトによれば醸造はステンレスタンクで16〜18度で8〜12日とのこと。ガルガーネガの特徴を調べると「酸が強い」って書いてありました。

いざ飲んでみるとこれがもう超ウルトラすっきり。飲む高原の風。「どんな味がしますか?」 と仮に問われたとしたらニヤリと笑って「高原の風の味……かな?」とか答えてうわやだキッモみたいに思われたって構わない、むしろ本望だよ! っていう覚悟が決まるほどのさわやかさ。

ここのところカリフォルニアの樽の効いたシャルドネばかりを飲んでいたこともあり、なんでしょうか、同じ白ワインでもカルビに対するロース、いや違うな、これもうサラダまであるな。カルビに対するサラダくらいの印象の違いがある。ごま油とレモンのドレッシングのやつ。サン・ミケーレにごま油要素がないのがたとえとしては残念だけど、レモン感とレタス感はある。ゴマ感も強いていえばある。ネギ感も……なきにしもあらず。サラダでお願いします。焼肉屋の。

イタリア人がみんな情熱的で享楽的でないように、ガルガーネガは手がドリルになってるロボみたいな名前なのにさわやか。イタリアの赤ワインに対して私は果実味! 濃い! 肉っ! みたいな印象を抱いていたが、その印象と(そもそも赤と白の根本的違いがあるので当然なのだが)サン・ミケーレの味の印象は大きく異なるものだった。購入価格は1518円。値段に対して超うまいとは言わないけど、値段相応にしっかりおいしい。

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vivinoの点数は3.6点。まさにそういう感じがする。

購入した葡萄畑ココスの商品ページのソムリエコメントには、こんなことが書かれている。「もしあなたが、イタリアワインとして有名な『ソアーヴェ』を飲んでみたくてこのワインを選ばれるなら、おすすめしません。全くをもって型破り、全然違う味わいだからです。」ならばほかのソアーヴェも飲んでみねばならぬ。

イタリアのワインは品種がなんかいろいろあってよくわかんね、みたいな先入観を私は抱いていた。しかし、品種がいろいろあるということはワインにそれだけの多様性があり、違う味わいを楽しめるということ。みんな違って、みんないい……かどうかは飲んでみるまでわからない。

ワインの魅力はそんなところにもある。ような気がするんですがどうでしょうか。

ベンド カベルネ・ソーヴィニヨンは759円で買える最強ワインか、調べて飲んで考えた【BEND Cabernet Sauvignon】

ベンド カベルネ・ソーヴィニヨンはどんなワインか?

昨夜はお値段759円と非常にお手頃な赤ワイン、ベンド カヴェルネ・ソーヴィニヨンを飲んだ。ワインボトルは750ml入りなので1mlあたりほぼ1円だ。スーパーやコンビニで同じ価格でテキトーに選んでおいしいワインに当たる確率は決して高くないと思うが、果たしてこのワインの場合はどうか。

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ベンド カベルネ・ソーヴィニヨンを飲みました

まずはどんなワインかと調べてみると、前に飲んでエントリーモデルの「ロッソ・ディ・カモミ」が大変おいしかったCa’Momiワイナリーの3人のイタリア人共同経営者の一人、ダリオ・デ・コンティがワインメーカーとして参加するワイナリーだということがわかった。

himawine.hatenablog.comCa’Momiを伝説のグランジロックバンド・ニルヴァーナとした場合、ベンドはドラマーであるデイブ・グロールによるプロジェクト、フー・ファイターズに相当するということでしょうか。うむ、期待できる。

公式サイトによれば、イタリア・ヴェネト州出身のダリオ・デ・コンティがワイン造りを学びはじめたのはなんと14歳の頃。大学卒業後は8年間イタリアのワイナリーで働き、その後アメリカへ。以降20年間、カリフォルニアでワインを造り続けているのだそうな。もちろん、ベンドもカリフォルニアのワインだ。

「BEND」の意味は?

そしてブランド名である「ベンド」とは道や川が「曲がる」こと。人生は真っすぐの道ではなく、つねに曲がり道があり、道を曲がった先になにかが待っている。そんなメッセージが込められているそうで、公式サイトには、『この「曲がり」は、我々を新たなる発見、まだ見ぬ経験、素晴らしい冒険へと導くのです。』とある。

この道を行けばどうなるものか

危ぶむなかれ 危ぶめば道はなし

踏み出せばその一足が道となり その一足が道となる

迷わず行けよ 行けばわかるさ。

そう言ったのはアントニオ猪木だが、ベンドと猪木は同じアティテュードでワインを造り、またリングに上がっていることがわかる(わからない)。

ベンド カベルネ・ソーヴィニヨンを飲んでみた

いずれにせよ、迷わず飲めよ、飲めばわかるさ、というメッセージを私は受信した。ならば飲むのみである。いくぞーっ!

イーチ、ニー、サーン! と抜栓。ダーッとグラスにつぐと、ブドウジュースを詰め込んだ風船をうっかり道路に落として割れたみたいな香りがする。高まった期待感そのままに、元気ですかー(ワインに向かって)! と気合を入れ、飲む。うーん、濃い。そして非常に果実味が強い。

こういうことを書くと今度こそどこかから怒られそうな気がするが、この果実感、目をつぶって飲んだら……もしかしたら……「梅酒?」って言ってしまうかもしれない……。「これはもう、梅酒というより、チョーヤです」とか言ってしまうかもしれない……冗談で言っているのではなく、本当に思ってしまったのが我が味覚の切ないところである。

ともかく、それくらい果実のフレーバーが強い。もちろん樽は強く効いていて、そのバニラ的な香りによってこれはワインだと認識できるほど、強く「果実酒」という印象を受ける。その味は以前飲んだCa’Momiの「ロッソ・ディ・カモミ」にやっぱり似ていて、こちらのほうがもしかしたら味のインプレッションはより派手かもしれない。

それで、結論を言うならばこれはアリ。759円という価格を考えれば十分すぎるほどおいしい。味の複雑さ、深み、繊細さ、みたいなものはそりゃまあないかもしれないが、外国人助っ人バッターの成績でたとえるならば、.235 19本 76打点(年棒4200万円)くらいの活躍はしてくれそう。年棒を考えれば全然アリで、おそらく来シーズンの契約も得られるはずだ。なにより全力プレー感がある。

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vivinoの点数は3.6点。コスパいい感じのワインが落ち着きがちな点数。

元気があればなんでもできる。元気があればワインも飲める。今夜もおいしいワインが飲めて、今日も私は元気です。

<追記>その後、同ブランドのシャルドネも飲みました。こちらもオススメです!

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ジャルダン・デ・サヴール。カルディのおいしい白ワインがまたひとつ【カルディワイン】

カルディで白ワインを買ってきた

ステイホームの夜の友がワインならば昼の友はコーヒーであり、そのコーヒーが枯渇したのでカルディコーヒーファームに向かった。コーヒーを挽いてもらっている間店内を物色して気がついたらショッピングバッグにはワインが入っていた。なんならサラミ、生ハム、チーズ、クラッカー、ブラックオリーブのオイル漬けも入っていた。結果的にはワインとワインのつまみをガッツリ買うついでにコーヒーも買ったみたいになったが暑い日だったから仕方がない。太陽がまぶしかったせい。

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カルディで買ったフランスはロワールのソーヴィニヨン・ブラン、ジャルダン・デ・サヴールを飲みました。

買ったのはフランスはロワール地方からやってきたユベール・エ・オリヴィエ・シンソンの「トゥーレーヌ ジャルダン・デ・サヴール」なるワイン。カルディの通販サイトでの商品名は「ジャルダン・デ・サヴール」で、“ロワールのソーヴィニヨン・ブラン”という超絶シンプルな説明がされている。ジャルダン・デ・サヴール。直訳すると「味の庭」であります。どんな庭なんだよ。

ジャルダン・デ・サヴールはどんなワインか?

公式サイトを見てみると、これがフランス語のみのサイトでなにが書かれているかわからない。グーグル翻訳に活躍してもらって調べてみると、ユベール・エ・オリヴィエ・シンソンはソローニュとトゥレーヌの境界にある4世代続くブドウ栽培家。でもってワインの説明を見ると、そこにはこんなことが書かれている。以下、グーグル翻訳。

「ソーヴィニヨンは、魚介類を伴うフルーティーで辛口の白ワインです。サーブ10℃。ダイレクトプレスによる伝統的な醸造。 15〜20日間の発酵。。ステンレス製バットでの熟成。1〜2歳」

1〜2歳って。乳児かよ。ともあれ現地価格は5.3ユーロということで、気兼ねなく開けて暑い日にスイスイ飲みたいワインと言えそうであります。

ジャルダン・デ・サヴールの味わい

というわけで日中の気温が30℃に迫ったある日の夕暮れを待って、よくよく冷やしてスンと抜栓。グラスに注いで驚いた。あなた、いい香りしてるじゃないの!

庭先で大量に採れたとか、旅先で箱で買った、みたいな理由で、自宅に柑橘系の果物がなんだか妙にたくさんある場合に部屋に充満するいい匂い、みたいなのがグラスから立ち上る。

味わいは……これを一応仮にもワインブログを名乗っているブログで使っていい表現なのかどうなのかわからないのだが、すみません、使います桃の天然水です。サントリーね。華原朋美がCMに出てたやつ。当時は衝撃的だったんですよ。甘いけど甘くないちょっと甘い水(桃風味)って感じでワインの話だった。

でもってしっかり苦い。グレープフルーツのアレなんていうんですかね、白いとこ。ちょっとフカフカした、あそこの味がします。この苦味が実に良くて、この苦味を味わいたくてスイスイ飲んじゃう感がある。お値段1298円税込ながら、十分楽しめるワインなんじゃないでしょうか。ワインのことわからないけど、カルディに売ってるワインってどれもおいしそうだから、なにか1本買いたいな〜みたいな層、私のことですが、そういった人物には実にハマる1本なような気がする。

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vivinoの点数は3.8点と値段に対して意外な高得点。

ところでJardin de Saveursをグーグルの検索クエリに入力すると、私の環境では東銀座のル・ジャルダン・デ・サヴールという同名のフレンチレストランが先頭に表示される。ル・ジャルダン・デ・サヴールでジャルダン・デ・サヴールは飲めるのだろうか。ちょっと気になる。

 カルディが好きすぎるので今後もいろいろ買って飲んでみようと思います。

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カクヤスの500円泡飲んでみた【KRAEMER ブラン・ド・ブラン ブリュット編】

KRAEMER ブラン・ド・ブランはどんなワインか

なんでも酒やカクヤスの500円泡を飲むシリーズも早3回目となった。今回はフランス、ロワールからやってきたヴァン・ムスー、「KRAEMER」を飲んだ。

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KRAEMER ブラン・ド・ブラン ブリュットを飲みました

裏ラベルを見るとこのワイン、グループGCFのプロデュースとあり、GCFってなんじゃろなと調べると、GRANDS CHAIS DE FRANCE、という企業のようで、wikipediaによれば「ワイン製造とワインスピリッツの輸出量においてフランスを代表するグループであり、2番目のフランスの商人です」とのこと。

でもってそのサイトで「KRAEMER」を検索しても情報なし。大企業あるある。輸入元のサイトでも見つからず、カクヤスのサイトですら見つけられない。わたしが飲んでいるのはまさかマボロシ……? といぶかしんでいるとなぜかミルウォーキーのワインショップのサイトが詳細な説明をしていた。ありがとう、ミルウォーキーのワインショップの人。

ヴーヴ・クリコは旨い。ただし、火曜日の夜に飲むワインじゃない

そして、そのミルウォーキーのワインショップの人の文章力がなかなかのものなので、その冒頭部分をご紹介したい。

あなたはシャンパーニュをいつでも飲める? 
もちろん、飲める。
じゃあ、なぜそうしない?
価格だよね。そう、ヴーヴ・クリコは旨い。でも40ドル以上する。そう、たぶん火曜日の夜に飲むワインじゃない。

なんというんでしょうか、村上春樹みがあるというか、ハリウッドのB級映画の会話っぽいというか、絶妙な文学性がある。「たぶん火曜日の夜に飲むワインじゃない」を決め台詞にしたくなるレベル。

「このワインは最高さ、ただ、火曜日の夜に飲むワインじゃない」。うーん、カッコいい。いつ使うのかは知らん。

こんな感じの説明文がわりと長々と続いていくのだが、それによってわかることは少なく、
シャンパン製法じゃない
・使用ブドウはシャルドネ
ということくらい。とにかく値段に対しておいしいよ! ということを全筆力を投入して読者に伝えようとしている。このワインショップいつか行く。

KRAEMERブラン・ド・ブラン飲んでみると

実際に飲んでみると、香りは弱め、色は薄め、味はさわやか。特徴のなさが特徴といえそうな印象。

ただ、さっきのミルウォーキーの人によれば、青リンゴと焼きたてクロワッサンのノート、蜂蜜とバターの香り、スイカズラジャスミンのタッチ、みたいなことだそうです。すげえな、ミルウォーキーの人の表現力。

それに対して私の感覚器が受信できたワインからのメッセージが「さわやか」だけなのが残念だ。静岡のハンバーグ屋かよ。

しかし、特徴がないのは悪いことじゃない。アルコール度数11%と低め、そしてなんといってもワンコインなこともあり、暑い日の食前酒に1ミリのためらいもなく抜栓するのにピッタリ。ちなみにミルウォーキーのワインショップでは6ドル99セント。カクヤスマジカクヤス。

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vivinoの点数は3.4点。うんなんかわかる。

このワインは最高のワインじゃないかもしれない。ただ、火曜日の夜に飲むワインとしては最高さ。

みたいなことをモゴモゴつぶやいて、今夜、残りを飲み干す予定です。今日は月曜日だけれども。

 

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