ヒマだしワインのむ。|ワインブログ

年間500種類くらいワインを飲むワインブロガーのブログです。できる限り一次情報を。ワインと造り手に敬意を持って。

うきうきワインの玉手箱の1日限定「赤ワイン福袋」(3本入り1万円)をネタバレ!

【注意:本記事では2021年4月及び5月の『うきうきワインの玉手箱』の『1万円福袋』の中身を公開しています】

うきうきワインの玉手箱「赤ワイン福袋」を買ってみた

ワインショップ「うきうきワインの玉手箱」が、毎月1日に発売する1万円福袋(3本入り)。赤ワインコース、白ワインコースシャンパーニュコースから選べるうちのシャンパーニュコースを、2021年4月1日に買ってみたところ、こんなワインが入っていた。

アンリオ ブリュット スーヴェラン 4818円
ジョセフ・ペリエ キュヴェ ・ロワイヤル 5197円
ビルカール・サルモン ブリュット・レゼルヴ 6578円
※価格は記事執筆時のうきうきワインの玉手箱における単品価格

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合計金額は1万6593円。金額的にも非常にお得感がある上に、飲みたいな〜と思っていたビルカール・サルモンが入っていたのが大変うれしく、1カ月後の5月1日にもまた買うことにした。

ちなみに販売価格は1万1000円なのだが、1000円オフのクーポンが配布されており、それを使用することで1万円ポッキリで買える。

5月に買ったのは赤ワインコース。私は夏でも冷房の効いた部屋で赤ワインが飲みたいタイプ。なのでこの時期でも赤である。

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箱の中身はさてなんだ?

 

うきうきワインの玉手箱の福袋「赤ワインコース」にはなにが入っているのか?

では、2021年5月1日の福袋「赤ワインコース」には一体なにが入っていたのだろうかか。旅行の楽しみの半分以上は出発前の計画段階にあると言われるが、福袋の楽しみの半分はこのボックスオープンの瞬間にある。福袋、それは値札の付けられた可能性。可能性の扉を開いてみよう。

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3本のワイン、その正体は……?

さて、箱を開けると3本のワインが入っていた(そりゃそうだ)。この、ボトルのキャップ部分があらわになった瞬間に詳しい方なら内容を察することができるのかもしれないが、私の知識ではこれらがどんなワインなのかさっぱりわからない。なので、右から順にツモしていきたいと思う。というわけでまずは一番右のワインをフックアップしてみよう。えいっ。

 

うきうき福袋1本目 フェウディ・ディ・サン・グレゴリオ タウラージ2015

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福袋から出てきた1本目、こ、これは……タウラージ! あれですよね。イタリアの長期熟成の赤だったよねたしか。飲んでみたかったやつ!

すかさず価格を調べると、フェウディ・ディ・サン・グレゴリオのタウラージは5192円。いきなり5000円超えで相変わらず様子がおかしいなこの福袋いい意味で。

カンパーニャ州でアリアニコをメインにつくられる、法定熟成期間が3年で南のバローロと呼ばれるタウラージ、これはいきなり飲むのが楽しみなワインが出た。

幸先よくジャブが相手の鼻面にヒットしたところで、次のワインへと行ってみよう。打つべし!

 

うきうき福袋2本目 ドメーヌ・ドルーアン・ラローズ ジュヴレ・シャンベルタン・ キュヴェ・クリマ2018

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今度は一転、ブルゴーニュ! ジュブレシャンベルタン村名ワインなんてビックカメラ赤坂店で試飲して以来ですよ私にとっては。うはは楽しみすぎる。

15ヘクタールの自社畑のうち半分がグラン・クリュで、ミスター・グラン・クリュの異名を誇るそうですよドルーアン・ラローズ。ミスター・赤ヘル山本浩二さんであります。

うきうきでの価格は4708円。この時点で2本合計9900円。あれ、この福袋1万円で買った気がするんだけど……。

というわけで2本開封時点ですでにほぼ元が取れてしまった。ワン・ツーとクリーンヒットで相手はもうダウン寸前。最後のストレートで一気にKOといきたいところだ。というわけで間髪入れずに3発目、じゃなかった3本目行ってみよう! いっけええええ!

 

うきうき福袋3本目 シャトー・ボイド・カントナック 2017

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ちょ……メドック格付け第3級のシャトー・ボイド・カントナック先輩じゃないっスか。

テイスティングイベントなどでは飲んでいるけれどもボルドーの格付けシャトーを自宅にお迎えするのは初だ。え、あの、ちょっといま部屋のなか散らかってて……みたいになる。

ちなみにWAのヴィンテージ チャートによると2017年のマルゴーは91点。悪くない感じなのかなこれは。

価格は驚きの7678円。どうなってんのこれ本当に。3本総額は先月の1万6593円をも上回る1万7578円。すごいお得感を覚えた前回よりさらに1000円弱総額で上回ってきた。ここが「お得感」の“向こう側”か……。

というわけで、まとめよう。

2021年6月の「うきうきわいんの玉手箱」1万円赤3本福袋まとめ

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フェウディ・ディ・サン・グレゴリオ タウラージ2015 5192円

ドメーヌ・ドルーアン・ラローズ ジュヴレ・シャンベルタン・ キュヴェ・クリマ2018 4708円

シャトー・ボイド・カントナック 2017 7678円

この3本が1万円で買えてしまった。楽天のポイントもつくので、実質の価格はもっと下がって1本3000円ちょい。それでこのクラスのワインが手に入るとは……!

 

うきうき福袋を2カ月連続で買ってわかった3つのメリット

さて、うきうきワインの玉手箱の福袋を2カ月連続で買ってみたわけだが、やはり福袋とという商品にはメリデメが当然ながらある。それを最後に確認しておきたい。

メリット1:ボックスオープンのドキドキ感を味わえる

やはり福袋といえばこれだ。なにが入っているのかなと箱からワインを取り出す瞬間が最高に楽しい。「3本」という設定がちょうど良く、ダレずに最後までドキドキできるのも良い。

メリット2:お得感を味わえる

前回は総額1万6593円、今回は総額1万7578円と、購入金額の1万円に対してポイントや送料などを勘案すれば倍近い金額の商品が入っていた。「お得〜」と感じるとクオリティ・オブ・ライフが高まるタイプの人には非常に良い。

メリット3:飲める

なんと驚くべきことにこの福袋の中身は飲むことが可能なのだ。ドキドキ感、お得感だけで元が取れた感じがあるところにきて、もちろんワインとして楽しむことができるのがいい。しかもいずれ劣らぬ高級ワインなのだ。素敵。

デメリット:選べない、選べない&選べない

言うまでもなく、福袋は中身を選べないのが最大のデメリットだ。がゆえに、すでにご自分のワイン観が確立され、好みが先鋭化されている方には向かない商品ということになると思う。一方で、私のようなド素人かつパリピ系ウェイウェイ勢には非常に向いた商品ということになると思う。ここはお好みだろう。結果をどう受け取るかは人によって異なるはずだ。みんな違ってみんないい。

私は今月も「買ってよかったなあ」と感じることができた。なので、2021年6月1日は「白ワインコース」を買ってみた。その結果はまた来月にご報告したいと思う。

うきうきワインの玉手箱の福袋は1日限定。ご注意を!

 

発表! 2021年5月に飲んでおいしかったワイン【赤】【白】【泡】BEST

2021年5月のBESTワインを選ぼう

5月もいろいろなワインを飲んだ。ブログで取り上げたのは15本。それプラスちょこちょこ飲んでるので合計20本くらいを飲んだ中でおいしかったものを挙げてみたい。

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2021年5月はブログで15本のワインを紹介。その中からジャンルごとにBESTを選びます。

まずブログで取り上げた15種のうち、とくにおいしかったものを約半数の8本に絞ってみたい。

 

【赤】
ギガル コート・デュ・ローヌ ルージュ
ジュリアン・スカール ウォーカーベイシラー
キャメルファームワイナリー ピノ・ノワール プライベートリザーブ
さっぽろ藤野ワイナリー MIKINOHOTORI ルージュ

【白】
シャトー・ギロー ル・ジェ・ド・シャトー・ギロー
ポッジョ・レ・ヴォルピ ドンナルーチェ

【泡】
ミッション・サン・ヴァンサン クレマン・ド・ボルドー
リタファーム&ワイナリー HANABI 田舎式スパークリング旅路

うーん、豊作だったな今月。どれもおいしかった。最高だった。だけに、ここからさらにそれぞれBESTを絞っていくのが難しい。えっ普通に無理なんだけど。ていうかワインに上も下もないと思いますよ僕は。と、BESTを選べといった自分に対して命じられた自分がわりと良くない態度で反抗する、みたいな事態になる。

悩むなあ。じゃあ別に発表しなきゃいいじゃんとなるのだが、この企画をやっておくと後で見返すときに便利なのだ。なのでやっておきたい、自分のために

 

2021年5月の【泡】ベスト

というわけで、まずは選びやすい【泡】から選んでいこう。BESTはミッション・サン・ヴァンサンのクレマン・ド ・ボルドーだ。リタファーム&ワイナリーの旅路のスパークリングワインが今ネットで買えないみたいなので、消去法での選出だがおいしかったんですよこのワイン。

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ボルドーの大手生産者組合が造るワインで、価格はやまやで1650円。フレッシュなリンゴ系のおいしさがあって、価格に対して味わいのバランスが極めて良かった。

「ならシャンパーニュ飲むよ」とクレマンに対しては思っていたのだが、クレマンにはクレマンの魅力があるのだよと教えてくれた1本(残念ながら楽天売り切れ中……。みんなで『やまや』に行こう)。

 

2021年5月の【白】ベスト

続いて【白】だが、これもどちらもおいしかったのだがドンナルーチェでファイナルアンサーとする。理由はネットで買った場合に100円くらい安いからで実質同率1位ですよこんなもんは。どちらも2000円台の白ワインとして素晴らしかった。

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ただ、ドンナルーチェは2000円台のアロマ系白ワインという私が過去に飲んだことのないニッチジャンルにピンポイントでズドン、というワインであり、その点も加味して今月のベストとする。

ル・ジェ・ド・シャトー・ギロー おいしいんだよなあ、すまん、ギローちゃん

 

2021年5月の【赤】BEST

最後に【赤】だ。候補は以下の4ワイン。

ギガル コート・デュ・ローヌ ルージュ >ローヌの入門編。1000円台前半で買えるのが信じられない。めっちゃうまい。


ジュリアン・スカール ウォーカーベイシラー>アルザスの生産者が南アでつくるエレガントなシラー。めっちゃうまい。


キャメルファームワイナリー ピノ・ノワール プライベートリザーブ > 味わい深い日本のピノ・ノワール。推し自治体の余市産でめっちゃうまい。


さっぽろ藤野ワイナリー MIKINOHOTORI ルージュ > 推し自治体の余市産ブドウ使用。自然派ワインとしての旨味がすごくてめっちゃうまい。

 

どれもめっちゃうまい。これ本当にどれもおいしかったんだよな。本当に優劣をつけがたいのだがここはさっぽろ藤野ワイナリーの「MIKINOHOTORIルージュ 」を推したい。なんなんでしょうか。飲んだあとに食べる梅干し茶漬けみたいな、しみじみとしたうまさがあるんですよお酒なのに。上等な乾燥きのこを上手に戻してとったスープみたいな滋味深さを感じたのだった。

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意外とネットで流通しているし、3000円台後半と買えないことない値段だし、選んでみるとこれしかないという感じになるなMIKINOHOTORIルージュ (2019)。なくならないうちにもう1本買っておきたいワインだなこれ。

 

というわけで今月も素晴らしいワインとたくさん出会うことができ、最高の5月となったのだった。6月にはどんなワインと出会うことができるのか、そして6月のBESTは果たしてどんなラインナップとなるのか、今から楽しみだ!

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ジュリアン・スカール ウォーカーベイ シラー南アフリカの冷涼産地シラーを飲んでみた!【JulienSchaal Walkerbay Syrah】

アルザスと南アをまたにかける生産者、ジュリアン・スカール

3000円以下の「安うまシラーMAP」をつくるべく、南アフリカのジュリアン・スカール「ウォーカーベイ シラー」を飲んだ。南アフリカワインといえばこの人、ブロガーのKOZEさんにオススメしていただいたワインだ。過去、KOZEさんにオススメいただいたワインはハズレがないので今回も楽しみ。購入価格は2260円だった。

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ジュリアン・スカール「ウォーカーベイ シラー」を飲みました。

さて、ジュリアン・スカールの公式サイトを訪問すると、「ジュリアン・スカール フランス&南アフリカ」という文言がトップに掲げられている。そして、サイトは大きく「アルザス グランクリュ」と「南アフリカ」のふたつのカテゴリに分かれている。

あれ、南アの生産者じゃないの? とサイトを見ると、もともとはアルザスのワインメーカーなんすねジュリアン・スカールさん。2003年に収穫を手伝ったのを機に南アフリカに恋し、2004年に同地でワイン造りをスタート、2005年にはファーストヴィンテージをリリースしていたっていうからすごい。なにより尊いのは行動力だなあ。

 

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で、ジュリアンさんは、その人物像に関してはまったくなんの説明もないんだけど、「ブルゴーニュのワイン醸造学校を卒業したソフィー」なる女性とともに、10月にアルザス グラン・クリュを造り(アルザスのワイナリーはグラン・クリュ専門だそうです)、2月には南アでシャルドネを造る生活をしているのだそうだ。

赤道を挟んで北半球と南半球を股にかけたワイン二毛作カッコいい。「ブルゴーニュのワイン醸造学校を卒業したソフィー」との関係が気になるんですけど。

 

ジュリアン・スカールが造るワインとウォーカー・ベイ シラー

ジュリアン・スカールが南アフリカで造るワインは4種類。
エルギンで造る「マウンテンヴィンヤーズ・シャルドネ
アッパー・ヘネル・アン・アードで造る「コンフルエンス・シャルドネ
エルギンで造る「エヴィデンス・シャルドネ
そしてウォーカーベイで造る「ウォーカーベイ・シラー」だ。
シャルドネの可能性を追求する」のが彼らのポリシーみたいで、公式サイトに掲載されている赤ワインはシラーだけ。最初のヴィンテージからシラーを造っていたっていうし、シラーが好きなんだろうかスカールさん。シラーおいしいよね。

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輸入元であるマスダの生産者紹介ページによれば、そのシラーの産地であるウォーカーベイは「大西洋の冷たい海風の影響を受けるケープ地方で最も冷涼な気候地区」なんだそうだ。

いやあれなんですよ、私はシラーってオーストラリアとか南仏とか、どちらかというと温暖な気候を好むブドウだと思い込んでいたのだが、冷涼な地域でも造られるわけなんですね。考えてみれば私はシラーの果実味、スパイス感に加えさわやかなすっぱみが好き。豊かな酸は冷涼産地の特徴のはずだから、アルザスの生産者がつくる南アフリカの冷涼な地域のシラー、これは楽しみすぎる。

公式サイトのワイン紹介ページによれば、ワインは手摘みで収穫後、一部は全房のまま発酵後、300リットル入りっていう珍しいカタチのブルゴーニュ産の樽(新樽率15%)で12カ月熟成。定価2640円ながら丁寧に造ってる感じする。ジュリアンとソフィー。ふたりの「シラー・アフリカン・ドリーム」の味わいやいかに。

 

ジュリアン・スカール「ウォーカー・ベイ シラー」を飲んでみた

飲んでみると、味わいで印象的なのは角のなさ。果実味おだやか、スパイス具合おだやか、樽、おだやか。ウイスキーのトワイスアップに完全な球体の氷を入れたみたいな、ひたすらスルスル飲めるおいしい液、という印象。

特筆すべきは果実のピュア加減。なんすかねこれ。鼻をふさがれて息がきないと開けた口にもぎたての果実を大量に放り込まれたみたいなピュアっぷり。ピュアっピュア。それでいて決して甘い印象はないんですよこれ不思議と。酸味と渋みとのバランスがいいんだと思う。攻走守三拍子揃ってる。

うーんこれはおいしい。2000円台前半としては破格で、いつもの南アフリカクオリティ。味わいの質に対して価格がつねに3割4割当たり前、みたいな感がある。ビックカメラかよ。アラサー(3000円前後感)ある。

シラーMAP上の打点だが、ややエレガントよりのバランス型とした。これからシラーを飲み進むにつれて、左右軸上の調整はあるかもしれないが、これはバランスがいいでしょうどう考えても。

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いやーこのMAP、埋めていくの楽しみだな。しばらくシラーを飲み続ける日々が続きそうである。

 

 

ローヌ地方のワインの特徴は!? ローヌの盟主・ギガルの「コート・デュ・ローヌ」を飲みながら調べてみた。

シラーとギガルとコート・デュ・ローヌと私

twitterで「3000円以下のシラー単一ワインを対象とした『安うまシラーMAP』を作ろうと思う」と表明したところ、まずは味の基準としてギガルのコート・デュ・ローヌを飲んでみては? と、尊敬する賢人からご意見を頂戴した。

賢人からのご意見にはノータイムで従うべきなので、愛車(チャリ)を駆って近所の酒屋へ直行、無事確保した。あとついでに蕎麦食べた(関係ない)。

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ギガルの「コート・デュ・ローヌ」を飲みました。

ギガルは、「コート・デュ・ローヌ」のwikipediaに「この地方では有名なネゴシアン」として名前が挙げられる生産者。もちろん私も名前は知っているが飲んだことはなく、なんなら若干避けていた。ブルゴーニュボルドーシャンパーニュもロクに知らないのにローヌにまで興味を持っていかれたらもう死ぬんじゃないか、みたいな危惧があったからだ。

しかし、仕方がない。シラーを知るためにはまずはローヌを知らねばならぬ。というわけで今回はローヌという地方をギガルという生産者を切り口に調べてみたい。「えっ、そんなことも知らなかったのかよ」みたいな記述が多数出てくると思うがお許し願いたい。ガチのマジで知らないんです。

 

「ローヌ」とはどこのこと?

まず、ローヌワインはどこで造られているのか問題からだ。そこからなんですよ私の場合。フランスの地理に明るくない私にとってこれは大きな問題だ。ほら「地域圏」とか「県」とか「郡」とかいろいろあるじゃないスかフランスって。さらに、それらを横断してフランスワインのAOCがあるわけですよ。わかるかっ、ってなるんですよ。

ちなみにwikipediaの「ローヌワイン」の定義はこうだ(読み飛ばしてください)

ローヌワインは、フランス南部のローヌ川流域で生産されるワインで、広域AOCコート・デュ・ローヌ(Côtes du Rhône)地域に相当する。北は、イゼール県のヴィエンヌ市(フランス語ではVienneという地名がほかにもいくつかあり、ヴィエンヌ県というのがあるほか、オーストリーの首都ウィーン(Wien)もVienneと呼ばれる)の対岸にあるコート・ロティー地区から、ヴォクリューズ県の県庁所在地アヴィニョンの周辺まで広範囲に及び、ローヌ=アルプ地域圏のローヌ県、ロワール県、アルデシュ県、ドローム県と、プロヴァンス=アルプ=コート・ダジュール地域圏のヴォクリューズ県、ラングドック=ルシヨン地域圏のガール県まで、南北200km、南部で東西が100kmあまりに及んでいる。

 わかるかっ
というわけでいろいろ調べてもっともわかりやすいと感じたのが「ローヌ川流域」という考え方だ。

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ローヌ川wikipediaページより。ローヌ川の流域がローヌワインの産地

ローヌ川はスイスに端を発し、ジュネーブから西に国境を越えてフランスへと入る。それがリヨンで進路を南に変え、地中海へと注ぐ。この流域がローヌワインの産地。ローヌ川が流れるところにローヌワインあり。

地理的には、ブルゴーニュの南からプロヴァンスに至るエリア。
ひとまずこう理解しておく(間違ってたら教えてください)。

で、さらにややこしいことに北部と南部に分かれるんですよローヌ。さらにローヌ川の右岸と左岸にも分かれちゃうわけですよ。右岸と左岸とか、コート・ド ・ニュイとコート・ド・ボーヌとかRMとNMとかなんなんですかフランスワインは。なんだってこう分かれたがるんだよ。互いを探し求める引き裂かれた魂かなにかか。北池袋と南池袋しか知らないんですよこっちは。

 

北ローヌと南ローヌの産地について

と、愚痴を言っても始まらない。では北ローヌと南ローヌとはどのように分かれるのか。土地感がない以上地名で言われてもサッパリわからない。なのでここはもう超ザックリ有名産地でくくってしまおう。

【北ローヌ】
コート・ロティ
エルミタージュ
クローズ・エルミタージュ
コンドリュー
サン・ペレイ
サン・ジョセフ

【南ローヌ】
シャトーヌフ・デュ・パプ
タヴェル
ジゴンダス

なんだかんだ知ってる名前だらけなのでなんかわかった感が出てきたぞ。ちなみに、北と南を分かつのは「プロヴァンスの入り口」と呼ばれるモンテリマールで、モンテリマールはヌガーで有名だそうです。ヌガー食べたい。

さて、ローヌワインの歴史はフランスでもっとも古いのだそうで、紀元前600年頃にはぶどう栽培が始められていたとwikipediaにある。でもって、シラーはこの地北ローヌの原産なのだそうだ。その意味で、シラーマップを作ろうという試みの最初にローヌのワインを飲むのは正しい。

 

北ローヌと南ローヌでワインの味わいはどう違う?

では、北と南でワインにはそれぞれどのような特徴があるのだろうか? これもまとめてみた。

【北ローヌ】
赤:シラーを中心にヴィオニエをブレンド
白:ヴィオニエ

【南ローヌ】
赤:シラー、グルナッシュ、カリニャン、ムールヴェードル、サンソーなどをブレンド
白:グラナッシュ・ブラン、ルーサンヌ、マルサンヌ、クレレットなど

シラーとヴィオニエが北ローヌ。南仏っぽい品種が出てきたら南ローヌということのようだ。ここ急にわかりやすいな。

では、今回飲んだギガルのコート・デュ・ローヌはどんなワインなのか。コート・デュ・ローヌwikiによれば、AOCコート・デュ・ローヌは「いわゆるローヌワインの生産地の内、地区名や村名AOCのないワインに与えられ」るとあるが、「栽培面積で南部が地域が圧倒的に多い」ために、「ほとんどが南部の特徴を持ったワインといってよい」と書いてある。

guigal.jpという日本語公式サイトの商品ページを見ると、使われているのはシラー45%、グルナッシュ52%、ムールヴェードル3%とあるからやっぱり南ローヌのスタイルなんですかね。オークの大樽で1年半も熟成してると書いてある。1000円台のローエンドワインなのに? マジか。

 

「ローヌの盟主」ギガルはどんな生産者? 

ギガルは、1946年創業のこの地の盟主的存在。どのくらい盟主的かといえば、自分のサイトに「新たな挑戦を続けるローヌの盟主」って書いてあるくらい盟主。うーんすごいなこの自信。なんでも、造ったワインがロバート・パーカーから高評価を得たことで、ローヌワインの地位自体を向上させたみたいなことがギガルのwikiには書いてある。

「私がワイナリーやブドウ栽培者を訪ね歩いた過去26年間で、マルセル・ギガルほど品質に狂信的な生産者は見たことがない」(ロバート・パーカー

“狂信的(fanatical)”ってすごい。

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そのラインナップは幅広く、「ブドウの樹は花崗岩質土壌の急斜面にしがみつくように植えられている」という北ローヌの畑から、温暖で「プロヴァンス文化圏に属す」るタヴェルのような南の地方のロゼまで幅広い。

つーかこれローヌ全域って感じですねワインのラインナップを見ると。いま勉強してきた地名とかが全部出てくる。

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guigal.jpより。地域名ワインのラインナップを見ると、左上から右下にかけて、北から南へコート・デュ・ローヌ全域をカバーしているのがわかる。

フランスでもっとも古いワイン生産地であり、シラーのふるさとでもあるローヌ。そして、その地を代表する生産者であるギガル。その両者のスタイルを代表するのが今回飲むコート・デュ・ローヌということになる。いざ、飲んじゃいましょう。

 

ギガル「コート・デュ・ローヌ」を飲んでみた

グラスに注いでみると、濃い目の紫色。いい香りするなあこれ。スミレの花を蜜でコーティングしたお菓子みたいな甘華やかな香り。そこに茶色系スパイス(そんな言葉はない)の香りも加わる。これが南ローヌの香り……(真偽不明)!

で、飲んでみるとこれむっちゃくちゃうまいな。これはシラー云々置いといて1000円台最強クラスなんじゃないでしょうか。え、なんでこれを今まで飲んでなかったのおれは? 

果実味がはっきりあって、渋み酸味も強くはないけれど必要最小限にあり、思わず飲み干しちゃう坦々麺のスープみたいにスパイシーさが後を引きまくる。ラーメンでいえば旨シビ系。ブラインドで出されたら2000円台の南アフリカのシラーズとか言いそう。圧倒的にコスパが良い南アフリカワインに対してコスパの良さを感じるくらいのコストパフォーマンスの良さがある。

とつぜんビールの話をすると、正直に申し上げて私はほとんどのクラフトビールよりぶっちゃけプレモルが好き。つまり洗練された最大公約数的な味が好き。ローヌ最大の大手がつくるワイン、考えてみれば好きじゃないはずがない。

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vivinoの評価は3.6と「ややいい」程度だけど、数字以上においしいです。

しかし、こうなると「北ローヌのスタイル」も知りたくなるな。調べると、ギガルの「クローズ・エルミタージュ・ルージュ」はシラー100%で、かつ3000円を切る値段で買える。すなわち、「安うまシラーMAP」のレギュレーションに収まる。これは飲むしかないな。

それにしてもおそるべきギガルのコート・デュ・ローヌ。1000円台で買えるおいしい赤ワインとして、記憶に留めおきたい1本となった。

 

ソーテルヌ格付け一級。シャトー・ギローがつくるボルドー・ブラン「ル・ジェ・ド・シャトー・ギロー」を飲んでみた。【Le G de Chateau Guiraud】

ソーテルヌ一級シャトー・ギローがつくる白ワイン「ル・ジェ・ド・シャトー・ギロー」

宮澤賢治の自宅玄関には、不在時に来訪した客に向け「下ノ畑ニ居リマス」と書きおきがあったそうだが最近の私は「近クノやまやニ居リマス」状態。今日も元気にやまやにワインを探しに出かけた。

白ワインを探しに行って、見つけたのがボルドーはソーテルヌの格付け一級シャトー、シャトー・ギローのル・ジェ・ド・シャトー・ギローだ。甘口じゃなくて辛口のボルドー・ブラン。輸入元はやまやとイオン共同出資のコルドンヴェール。

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ル・ジェ・ド・シャトー・ギローを飲みました。

で、意外と安いんですよシャトー・ギロー。ファーストが7000円くらい。以前飲んだことがあるセカンド(プティ・ギロー)が4000円とか。で、この辛口白はやまや価格2420円ですよお手頃。かの特別第一級、シャトー・ディケムの地図で見たところおそらくは徒歩圏内にありながら、思わずギローちゃんと呼びたくなる親しみやすさである。

 

「ル・ジェ・ド・シャトー・ギロー」はどんなワインか

さて、アンダー2500円の価格帯でありながら、ワインの造りは本格的。80%はソーテルヌを造るのと同じ樽で、20%はステレンスタンクで発酵。3週間のマロラクティック発酵後、7カ月間樽のなかで熟成させているという。使うのはソーヴィニヨン・ブランセミヨン50%ずつ。樹齢は平均35年。

シャトー・ギローはすべての畑で有機栽培を行い、2011年には有機認証を取得しているという熱心な生産者。SO2の添加も最小限で補糖も禁止しているそうだが裏ラベルを見ると「ビタミンC」って書いてある。

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ビタミンCってなんのために入れるんだろう?

ビタミンCってたまに見るけどなんで入れるんだっけ、ということでこの機に調べてみることにした。

 

ル・ジェ・ド・シャトー・ギローとビタミンCとアスコルビン酸

座右の書『イギリス王立化学会の化学者が教えるワイン学入門』によれば、ワイン造りにおけるビタミンCとはアスコルビン酸という物質のこと。

アスコルビン酸には強い抗酸化作用があるが、アスコルビン酸自体が酸化すると過酸化水素を生成し、ワインを琥珀がかった色にしてしまうという欠点もある。それを防ぐためには二酸化硫黄(SO2)が必要であるため、SO2の効果を助ける用途で使われるのだそうだ。

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「ワインをフレッシュに仕上げるために使う」という記述もあるから、味わいにも影響があるのかもしれないわかんないけど。私のワインの添加物に対する態度は「おいしくなるなら、好きにやってくれ」。「ブドウだけ」でつくったおいしいワインが私は好きだし、添加物を入れてつくったおいしいワインが私は好きだ。おいしいワインを我は所望す。

甘口ワインで知られるソーテルヌだけになのかどうなのか、ル・ジェ・ド・シャトー・ギローに使われるのはよく熟したブドウなんだそうで、アルコール度数14%と高いこともあって、全体に酸度が低かったりするんですかね。前掲書によればワインの酸度が高いとSO2の添加量も少なくて済むそうなんですよ。まあいいか。考えてもわからないのでもう飲んじゃいましょう。

 

ル・ジェ・ド・シャトー・ギローを飲んでみた

グラスに注いでみると色はかなり薄め。ただ、香りがいいなこれは。美しいな。扉がずっと閉められたままだった部屋みたいな埃っぽさがちょっとあって、それ以外はパイナップルとかグレープフルーツとかの果実の香り。つまり6畳の書斎がどういうわけだか密林化した、みたいな香り。『こち亀』でいうところの日暮巡査の部屋的な感じですねオリンピックイヤー的に言うと。いい香り。

で、飲んでみると香りの印象とはちょっぴり違ってかなりスッキリ。ソーテルヌの白ワインということで、もっと甘かったりふくよかな感じかと思いきや、スルスル飲めちゃう危険系の味わい。アルコール度数14%とは思えない飲みやすさ。おいしい。

……と、ここで原稿を閉じようとしたのだが、食卓の上に置いて温度が上がるにつれてどんどんおいしくなってきた。そして、トマトのおひたし&クリームチーズっていう白ワインに合いそうなつまみよりも、ハーブ入りウインナーみたいな赤ワインに合わせようと考えていたつまみにむしろ合う感じになってきた。2000円台ギリ前半でこれはいい。ギローちゃんいいわホント。

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vivinoの評価は3.9でした。納得。

私が飲んだのは2019ヴィンテージで、それでもやっぱりピチピチな印象。少し置くともっとおいしくなりそうな気がするような気がするので、ちょっと年数の経ったヴィンテージ も飲んでみたい! と思った次第でした。

 

飲んだのは2019ヴィンテージ。

a.r10.to

少し熟成したほうがおいしかったりするんですかねこれ。

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カルディが運営する北海道余市町の生産者! キャメルファームワイナリー「ピノ・ノワール プライベートリザーブ」を飲んでみた【北海道余市町】

北海道余市町登町と明治維新田中将大投手

私の推し自治体である北海道余市町。明治時代からの果樹栽培の歴史を持ち、近年はワインの産地として大きな注目を集める自治体なのだがなかでも「登町」というエリアが本当にヤバい。論より証拠でそこに位置して過去に私が飲んだことのあるワインの生産者を列挙すると以下のようになる。
ドメーヌ・タカヒコ
リタファーム&ワイナリー
モンガク谷ワイナリー
ドメーヌ・モン
ドメーヌ・ユイ
うーんすごい。すさまじい群雄割拠具合。これもうグラン・なにかでいいでしょの感がある。

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画像はGoogleマップのキャプチャ。キラ星の如きとはまさにこのこと。

司馬遼太郎は、西郷隆盛大久保利通東郷平八郎大山巌山本権兵衛らが同じ町内(加治屋町)の出身であったことから、「いわば、明治維新から日露戦争までを、一町内でやったようなものである。」と書いているが登地区へのこの集中具合も似たニュアンスを感じる。私が不動産デベロッパーだったら脇目もふらずに全力投資するレベルだが私は不動産デベロッパーでないので細々とこの地で造られたワインを飲んでいる。

ドメーヌ・タカヒコの畑の隣には、2020年9月に「余市ヴィンヤードグランピング」なるキャンプ施設がオープンしており、今、私がこの地球とかいう惑星の上でもっとも宿泊したい施設となっている。ワイン飲みながら焚き火眺めたい。なんなら日帰りでも行きたい。

ともかく、余市町を南北に流れ余市湾へと注ぐ登川、谷的形状になっているというその周辺にはマジかよという密度で有名生産者が軒を連ねている。田中将大投手が少年野球時代はキャッチャーとして当時投手だった坂本勇人内野手の球を受けていた、みたいな密度だ。ちなみに田中投手は後に甲子園で斎藤佑樹投手と伝説的投げ合いをすることになるが、駒大苫小牧高校1年時の明治神宮野球大会には正捕手として出場しているワインの話だった(薄く北海道つながり)。

 

余市町とキャメルファームワイナリー

今回飲んだキャメルファームワイナリーも余市町登地区の生産者。キャメルファームワイナリーはカルディコーヒーファームを運営するキャメル珈琲グループの農業法人で、設立は2014年。2017年にワイナリーが完成したという新しい生産者だ。なんでもゆるやかな丘陵地に13ヘクタールの垣根仕立ての畑が広がっているのだそうだ。行ってみたいなあ。

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キャメルファームワイナリー ピノ・ノワール プライベートリザーブを飲みました。


そのフラッグシップ的ワインが、ピノ・ノワール プライベートリザーブ。お値段なんと8800円とお高いが、昨年私はこのワインをふるさと納税の返礼品として入手したのだった。今年も余市町に課金、じゃなかった納税する予定です。好きです、納税。

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キャメルファームワイナリー ピノ・ノワール プライベートリザーブを飲んでみた

このワインは一体どのように造られているのか気になるところだが、残念ながら公式サイトには情報がない。なので、飲んでみようと思います。

グラスに注いでみると色はできたばかりの明るいレンガみたいな色。香りは非常に豊かで、森みたいな香り、少し干した山でとれたベリーみたいな香りがこんこんと湧き出る。ホテルの部屋のドアを開けた瞬間にこの香りが漂ってきたら「はいこのホテル当たり」と地獄のミサワみたいな顔で言いたくなるような香りだ。

味わいは薄くて旨いスルスル飲めて危険系。スルスル飲めて危険系にも関わらず、味わいは複雑で、樽の香り、果実の香り、それと余市町のワインに共通して感じる言語化不能な特別な香りがやはりこのワインにもあって(なんでしょうか。森の奥の木についた甘やかなツユ、みたいなイメージなんです)、しみじみ旨い。

それこそ焚き火を眺めながら飲みたいしみじみ具合。暖炉でもいいし、囲炉裏でもいい。なんなら線香花火でも構わない。ガチッと堅牢じゃない、揺らぎの妙、みたいなおいしさを感じるワインだったのだった。うーん、おいしい。

というわけでふるさと納税の返礼品として非常に満足度が高いワインだった。余市に納税すると、余市の道路などが整備され、ブドウの運搬等がスムーズになり、結果より高品質なワイン造りが可能となり、我々はおいしいワインを飲むことができ、それが評判となれば海外からの評価もより高まり、余市の雷名が世界に轟くことで訪日旅行者も増え、国益に資する。

かどうかはさておいて、今回も大変おいしいワインを飲むことができて大満足だったのだった。余市町、引き続き地味に推していきたい。

 

キャメルファームワイナリーはスパークリングに力を入れていくそうです

 

「プライベートリザーブピノ・ノワール以外のものはふるさと納税にあった

2004年の熟成シャルドネどんな味? 「ホワイトボックス シャルドネ」を飲んでみた【Whitebox Yarra Valley Chardonnay】

 「よしや」で売ってた「ホワイトボックス ヤラヴァレー シャルドネ」の謎

「よしや」というスーパーがある。本社は東京都板橋区中板橋で、板橋を中心に12店舗を出店している東京ローカルのスーパーなのだがこのスーパー、ワイン(日本酒も)の品揃えがちょっと異様に充実している。

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ホワイトボックス ヤラヴァレー シャルドネ2004を飲みました。

普通のスーパーならば棚の一部にワインが並んでいる程度が当たり前だと思うが、私がよく行く店舗の場合、なんならセラー的な特殊な一角がワインに割り当てられている。公式サイトを見ると、本部に二人、店舗に一人、ソムリエ資格を持つスタッフもおられるようだ。傘下には有限会社大雅というワイン輸入専門商社まで抱えている。「よしや(正確にはSainE よしや)」という素朴な屋号から想像できないレベルでワインにガチ。それがよしやだ。

さて、そんなよしやで面白いワインが売られていたので買った。オーストラリアはスチュアート・ワインズの「ホワイトボックス ヤラヴァレー シャルドネ」だ。お値段1000円台後半。で、これなぜか2004年ヴィンテージなんです。

生産者のサイトに掲載されているのは2017ヴィンテージ。その価格は24.5オーストラリアドルで、日本円換算約2062円。「よしや」で売られていた2004ヴィンテージは現行品の現地価格より安いことになる。ワイナリーに大量にあまってたヴィンテージをまとめて安く仕入れた、みたいなことですかねこれ。話のネタに良さそうだわいと買ってみた。

 

2004年に起きたことと「ホワイトボックス シャルドネ

2004年。日本では中越地震が起き、アメリカではイチローが262安打を放ち、アテネオリンピック北島康介が「趙気持ちいい!」と叫び、マーク・ザッカーバーグフェイスブックを開設した年だ。

私は社会人になったばかりで毎日ヘロヘロになっていた頃。その頃に採れたブドウで造られたワインかよこれ、と思うとヴィンテージワイン経験ほぼ皆無の私は一瞬で感慨深くなる。あれから私はいろいろあって結婚して子供が生まれワインにハマり、そして今日の良きに日にその間ひたすら瓶の中で熟成していたワインと「よしや」で出会ったことになる。ヤダこれひょっとして運命……? 人間交差点とは「よしや」のことだった……!?

スチュワートワインズはちょっと面白い会社で、インドネシアジャカルタに住んでいたヘンドラ・ウィジャジャという人物が、1998年のジャカルタの暴動を機にオーストラリアに移住しワイン畑を取得したことに端を発するようだ。

オーナーのヘンドラはヴィンヤードの管理も担い、警備体制への不安から機械小屋の床にマットを敷いて寝泊りして自宅警備員的任務にも従事、「ニューミレニアムをネズミと一緒に祝った」とある。なんだよそれ笑。

ワイナリーの初ヴィンテージは2002年。そして、私が手にしたヴィンテージの2004年は「ホワイトボックス」と名付けられたワイナリーがはじめてワインを造った年なんだそうだ。流通にうまく乗らなかったとかだったのかな。いずれにせよ、ワイナリーにとっては記念碑的ヴィンテージと言えそうだ。投げ売りされてたけど。

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ホワイトボックス シャルドネを飲んでみた

さて、その味わいやいかにとグラスに注いでみたらすごいなこれ。色合いはこれは完全にアレですね。リアルゴールドですよ。元気になりそう。

香りもしっかりとあって、なんですかねこれ。胡蝶蘭みたいな、花粉がバサッと飛びそうな花びらのデカい花みたいな香り。花屋の店先に並んだ胡蝶蘭や南国の花々、その隣にガソリンスタンドがある、みたいな香りがする。

これはペトロール香っていうのかな。リースリングでよくある香りだけど熟成したシャルドネからも香ることがあるんですかね。ともあれ全然嫌な香りではない。

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「今後数年間(next few years)熟成が進みます」みたいに書いてある。17年経っちゃってるよ……!

味わいは色の印象ほどは濃くなくて、17年も瓶の中にいたとは思えない元気な感じ。酸味と果実味がほどよく残って普通にうまい樽の効いたシャルドネ。色、香り、味わいとすごくはっきりした個性があって、これ1000円台は破格だなー。

さてこのワイン、調べてみたのだがネットで買えない。もしかしたら「よしや」でしか買えないのかもしれない。買えないワインをブログで取り上げる意味があるのか問題があるのだが、リアルでは購入可能なので、近所に「よしや」があるという方はぜひ探してみてください。

 

葡萄畑ココスで2004年のシャブリ売ってた。気になる。

 

himawine.hatenablog.com

 「樽ドネ」のまとめ記事みたいなの作る必要がありそうだなー。

himawine.hatenablog.com