ヒマだしワインのむ。|ワインブログ

年間500種類くらいワインを飲むワインブロガーのブログです。できる限り一次情報を。ワインと造り手に敬意を持って。

「SLAM DUNK」という名のワインを漫画「SLAM DUNK」に思いを馳せつつ飲んでみた。

SLAM DUNK」(漫画)と「SLAM DUNK」(ワイン)と私

漫画「SLAM DUNKスラムダンク)」の連載が始まったのは1990年42号のこと。

当時のジャンプにはどのような漫画が掲載されていたのか。主な連載作品を挙げてみよう。
DRAGONBALL
ろくでなしBLUES
DRAGON QUEST ダイの大冒険
「燃える! お兄さん」
「魁!! 男塾」
電影少女
花の慶次 雲のかなたに」
CITY HUNTER
まじかる☆タルるートくん
「新 ジャングルの王者ターちゃん
ジョジョの奇妙な冒険
こちら葛飾区亀有公園前派出所
蹴撃手マモル
聖闘士星矢
なんだこりゃすげえ。これ全部同じ号に載っていたわけですよ。すごい。非常に多くの作品が時の審判をクリアして今でもコンテンツとして生存していることからも、このラインナップのすごさがわかる。

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本文では漫画懐古話が進行中ですが、「SLAM DUNK」2019を飲みました。

当時、日本の小学生男子にとってバスケットボールはマイナースポーツといっていい存在だったがこの作品の登場を機に状況は一変。同世代でスラダンきっかけでバスケはじめたっていう話めっちゃ聞く、みたいになった。

現役だったマイケル・ジョーダンが率いるバスケ男子オリンピック代表・ドリームチームがバルセロナオリンピックに出場して大きな話題となったのは「SLAM DUNK」連載スタートから2年後の1992年のこと。当時バスケは「イケてるスポーツ」の代名詞だった私は野球部だったけど。

それにしても全盛期ジャンプで好きだったのが「魁!! 男塾」であり選んだ部活が野球部、というあたりが私の人生を象徴してる感じがするなあ唐突に自分語りを挟むと。イケてるサイドにいたいはずが気がついたらいないタイプの人生だった。

 

SLAM DUNK」はどんなワインか?

さて、今回飲んだ「SLAM DUNK」(ワイン)は「SLAM DUNK」(漫画)とは関係がなく、「マイケル・ジョーダンスラムダンクみたいな凄いワインってどんなワインだろう?」という疑問から生まれたワインなんだそうだ。ともあれ世代的にどストライクの身としては、「SLAM DUNK」とラベルに書かれたワインを買わないわけにはいかない。安西先生、ワインが欲しいです。

さて、「SLAM DUNK」はマーケターのデヴィッド・グリーンと、ワインメーカーのメイヤン・コスチスキーのチームが造るワイン。公式サイトのトップページから販促物がダウンロードできたり、ワインに合うプレイリストが紹介されていてたりと「モノ消費からコト消費」感が全開になっていていかにもマーケティング主導な感じ。

スラムダンク、それは人生において『決めた!』と思えるすべての瞬間を祝福するためのワインなんだ」みたいな。わかりやすいおいしさ、最高の品質、手に取りやすい価格を兼ね備えてます、という感じが全面に出てる。

ブレンドはプティ・シラー55%とジンファンデル45%といかにも濃くて果実味が強そうなレッドブレンド。それぞれ新樽率40%のオーク樽で14カ月熟成させているとのこと。アルコール度数は14.8%と高い。

 

SLAM DUNK」を飲んでみた。

ともあれ実際のところはもちろん飲んでみなければわからない。(ボトルに)左手は添えるだけ……とかなんとかいいながらグラスに注いで飲んでみた。

色はディープな感じのパープル。カシス的なブルーベリーガム的な香りがするけれど、飲んでみると意外と甘すぎない。なんですかねこれは。ラズベリーを練り込んだ手造りバニラチョコチップクッキー、みたいな風味。2000円台半ばの赤ワインとして実に素直にうまい。

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vivinoの点数は3.7でした。

さて、半分ほど飲んだところで飲み干したらそこで試合終了ですよ…? という心の声が聞こえた気がしたので残して翌日再戦してみると、湘北高校バスケットボール部が勝ち上がるごとにチームとしての協調性を高めていったように、このワインも少し酸味が強まって全体のバランスが整ったような感じがする。意外と少し冷やしてもおいしいのかもしれない。翔北のスタメンでいえばゴリかと思いきや花道、かと思いきや宮城リョータ的な万人受けする味筋。

飲んでおいしくバスケ好きの友人へのプレゼントにはド最適。なにより私のようなスラダン世代の昭和生まれ諸氏は、一本買って往時を懐かしむのに非常に吉、といったワインだった。オススメです。

 

エノテカ銀座店の「2017年 ボルドーワイン 5種スペシャルテイスティング」に参加して、やっぱり格付けシャトーはすごいってなった話。

2017年 ボルドーワイン 5種スペシャテイスティングはどんなイベント?

エノテカ銀座店で2021年4月9日〜11日の日程で開催の「2017年 ボルドーワイン 5種スペシャテイスティング」に行ってきた。

最初に結論を述べるとこのイベントがすごかった。
論より証拠で、今回テイスティングしたワインの名前と、その(主に)エノテカでの販売価格をご覧いただきたい。以下の通りだ。

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この5本のワインを飲みました。

シャトー・モンローズ  2万8600円
シャトー・ロングヴィル・コンテス・ド・ラランド 2万5300円(2012ヴィンテージ )
シャトー・タルボ 1万1000円
シャトー・ローゼン・セグラ 1万1880円(他ショップでの価格)
シャトー・ラ・フルール・ペトリュス 3万6300円

というわけで平均価格2万2616円の高級ワインばかり。それが50ミリリットルずつ計250ml飲める。つまり750mlボトルの1/3量を飲めるのにもかかわらず、参加費なんと3300円税込なんですよ。え、なんで。2万2616円を3で割ると7538円なんですよ。算数がおかしいんですよ。お得を超えてもはや施しレベルだ。

先日同じエノテカ銀座店で体験したワイン診断テイスティングもお得感が異常なイベントだったが、今回はさらにすごい。50mlずつとはいえ1杯660円って。なんかこう、恵比寿あたりの店内の照明が間接照明で店員さんが上下黒の制服を着てる系の飲み屋で中ジョッキ飲むくらいの価格でボルドーの格付けワインが飲めるわけですよ。この地球にエノテカがあってよかった。

 

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というわけで私の目の前には5杯のボトルがドドンとある。私が訪問した日にはじまったイベントなのですべて開けたてだというボトルはシャトー・ラ ・フルール・ペトリュス以外の4本がマグナムボトルなのですごく壮観だ。

さて、先に結論めいたことを書くと今回飲んだ5本はどれも強烈においしかった。40〜50分くらいかけてゆっくり飲んだのだが、どれも時間が経過するほどどんどんおいしくなっていくという困った仕様で、結果飲み進むほどに飲み干すのがもったいなくなり、一度に飲む量が最初10mlだったのが次は5ml、次は2.5ml、1.25ml、0.625ml……と永遠に飲み終わりたくないアキレスと亀状態になった。

さっそく、それぞれの味わいを振り返っていきたい。

 

飲んだワインその1:シャトー・モンローズ

まずはサン・テステフの格付け2級、シャトー・モンローズ。異名は「サン・テステフのラトゥール」だそうですよなんかすごい。下町のナポレオンはいいちこだが、サンテステフのラトゥールはシャトー・モンローズだ。カベルネ・ソーヴィニヨン76%、メルロ20%、カベルネ・フラン3%、プティ・ベルド1%のブレンドでWA98点だそうだけどすごいですねこれは。

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まず最初に飲んだのはシャトー・モンローズ。

まず香りがすげえんですよ。スタッフの方に「あれ? 裏でジャムかなんか煮てました?」と質問したくなるような濃い香りがグラスから立ち上がって鼻っつらをぶん殴ってくる。ジャブにしては強烈だ。

でもって飲むとこう、熟した果実がたわわに実る秋の森を散策した子どものころの思い出がよみがえってくるんだけどよくよく考えると私は地方の都市育ちでそんな思い出はない。ない思い出が現実として再生されるという意味で『映画 鬼滅の刃 無限列車編』に出てくる鬼かよっていうワインだった。

 

飲んだワインその2:シャトー・ピション・ロングヴィル・コンテス・ド・ラランド

続いてがポイヤックの格付け2級、シャトー・ピション・ロングヴィル・コンテス・ド・ラランド。名前が長いんですよなんつったって。磯野藻屑源素太皆(注:いそのもくずみなもとのすたみな。サザエさんの御先祖)かよ。元オーナーのレディ・メイが南アでやってるワイナリーが「グレネリー」ですね。異名はスーパーセカンド。

 

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シャトー・ピション・ロングヴィル・コンテス・ド・ラランド。これ好き。

カベルネ・ソーヴィニヨン70%、メルロ23%、カベルネ・フラン3%、プティ・ベルド1%でWA96点とプロフィールはシャトー・モンローズにそっくりだけど、やっぱり飲むと個性が違う。モンローズがパワフルだとしたらこちらは優雅。なんかこう、金持ちの女の子の家のピアノ室みたいな部屋に敷いてある絨毯みたいな滑らかな口当たり。

 

時間が経つにつれての変化量がもっとも大きいと感じたのがこれで、どんどん親しみやすくなってくる。もっとも私の好きな甘酸っぱ味だったのがこのワインだった。

 

飲んだワインその3:シャトー・タルボ

サン・ジュリアンの格付け4級、シャトー・タルボはメルロ、カベルネ・ソーヴィニヨン、プティ・ヴェルドで造られたWA91点というワイン。酸味が強めで渋味もしっかりある、「ボルドーのワインってこういう感じですよね」って私みたいな素人が思うタイプのワインだと思った。すみません、鹿肉持ってきてください、血が滴るようなやつ! とオーダーしたくなるような感じ。

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質実剛健って印象だったシャトー・タルボ。

とっつきにくさがないことはないと思うが、そのとっつきにくさも含めて好ましい、やたら律儀な学級委員長みたいなワインだった。

 

飲んだワインその4:シャトー・ローザン・セグラ

続いてはマルゴーの格付け2級、シャトー・ローザン・セグラだ。これおいしかったなあ……。カベルネ・ソーヴィニヨン62%、メルロ36%,、プティ・ヴェルド2%、WA93〜95%というワインで、所有者はシャネル。

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香りがとにかく良かったシャトー・ローザン・セグラ。最高。

さすがシャネルなのかどうなのか、とにかく香りが素晴らしい。薔薇ですなこれは。薔薇風呂。そんな風呂には浸かったことがないけれどもこんな香りがするに違いない。

果実味と酸味のバランスがよく、香りの良さも相まってリラックス効果がすごい。個人的に一番好きだったのがこのワイン。小学校の6年間を通じてもっとも美しいと感じた同級生みたいなワインだった。ワインを飲むと幼少期の思い出が(偽りの記憶も含めて)妙によみがえるの私だけでしょうか。

 

飲んだワインその5:シャトー・ラ・フルール・ペトリュス

でもって最後がポムロルのシャトー・ラ・フルール・ペトリュスだ。メルロ93%、カベルネ・フラン5%、プティ・ヴェルド2%でWA94点。シャトー・ラ・フルールとシャトー・ペトリュスの間にあるからシャトー・ラ・フルール・ペトリュスだっていう三井住友銀行みたいな名称のワインだ。

で、これがすごかった。渋みと果実味がしっかりあって、そこに無機物・有機物、鉱物、植物、動物などなどの香りが次から次へとあふれてきてなんだこりゃ。

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シャトー・ラ・フルール・ペトリュス。ものすごく複雑で、ぜひまた飲みたいワイン。

今回飲んだワインはどれも私の理解を超える複雑な味わいを持つワインだったが、これはなかでもとりわけ複雑であるように感じた。超絶技巧のジャズバンドのインプロヴィゼーションみたいなもんで、なにをやってるかさっぱりわかんないけどとにかくすごい! みたいな迫力。今回飲んだなかでもっとも高価なワインのようだけど、ぜひまた何年か後に飲みたい。

 

まとめ

というわけで、駆け足で5杯の印象を振り返ってみたが、たかだか50ml飲んだ程度で本来こんな素晴らしいワインたちを語れるわけもないのは百も承知である一方、たった50mlでもしっかり語れる素晴らしいワインたちでもあったなあと思った次第なのであった。

ボルドーの格付けワイン、それも2017と比較的新しいヴィンテージ。こんなもん私みたいなもんにはまだまだ早いんじゃないか、おいしいと感じられないんじゃないか。そうビクビクしながら飲んだがそんなこと全然なかった。

一番好みの味だったのがシャトー・ピション・ロングヴィル・コンテス・ド・ラランド。だけど、一番好きだなあと感じたのはシャトー・ローザン・セグラ。香り良すぎ。でもって一番すげえと思ったのはシャトー・ラ・フルール・ペトリュスだったが、もちろんシャトー・モンローズもシャトー・タルボも素晴らしかった。おいしかったなあ。

というわけで大満足のテイスティングだったのだった。エノテカ銀座店のみなさん、またお邪魔します。

 

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 このセットが今なら楽天ポイント20倍とのこと。ボルドー関係ないけど。

ヴァザール・コカール。グラン・クリュ村のブラン・ド・ブランがおいしすぎた件。【Vazart Coquart Brut Reserve】

ヴァザール・コカール ブリュット レゼルヴ ブラン・ド・ブランはどんなワインか

お祝いごとがあった日はシャンパーニュを飲まなければならないのでお祝いごとがあった日にシャンパーニュを飲むことにした。

選んだのはヴァザール・コカールの「ブリュット レゼルヴ ブラン・ド・ブラン」。

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ヴァザール・コカール ブリュット レゼルヴ ブラン・ド・ブラン

シャンパンハウスの3本セットのうちの1本で、正直3本のなかでもっとも期待してなかったのだが、結論を先に言えばまるでドラフト下位指名の社会人出身野手が1年目から新人王を獲る的良さがあったのだった。守備の人って聞いてたのに意外にパンチ力あるじゃんみたいな感じだった。.288 12本 34打点 盗塁10くらいの成績ね。で、守備も良い。今シーズンの新人で言うと……と深入りすると完全に野球の話になるのでやめます。

さて、どんな生産者が造るどんなワインなのかをサクッと見ていこう。

 

 

ヴァザール・コカールの歴史と神の甘露煮

ヴァザール・コカールは1954年創業。コート・デ・ブランのグラン・クリュであるシュイリー村にシャルドネが大半を占める11ヘクタールの畑を持っていて、当主のジャン-ピエールは3代目……といった情報を私は公式サイトの情報を翻訳サイト「DeepL」を用いてフランス語から日本語に訳してチェックしているわけだが、読み進めていくと、創業時のエピソードとして「一家は神の甘露煮を作るために投資を始めた」って文章に出くわした。「神の甘露煮(le divin nectar)」パワーワードすぎるな。みなさんシャンパーニュは神の甘露煮です。

 

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ともかく農家だったヴァザール家は1954年に神の甘露煮造りをスタート。以来、父から子へと家業が受け継がれているようだ。

ワインはブラン・ド・ブランなのでもちろんグラン・クリュのシャルドネ100%。1982年に造られ、「毎年一部を更新している」リザーブワインをブレンドしているとのこと。デ ゴルジュマンは2020年。ドサージュは6.5g/L。アルコール度数は12%。

グラン・クリュのシャルドネで造ったその味わいはいかがなものか。いざ、飲んでみよう。

 

ヴァザール・コカール ブリュット レゼルヴ ブラン・ド・ブランを飲んでみた。

さて、グラスに注いでみると泡風呂みたいなシュワシュワした泡が勢いよく立って、それが落ち着くと、1、2、3……5ですねこれは。5筋の泡がグラスの底から立ち昇る泡の源泉掛け流し状態。その泡は非常に細くて小さく、これぞシャンパーニュの感がある。

サイダー的な勢いよくハツラツとした弾ける泡ではなく、バブ的な舌や泡をやさしく包み込むようなムース感のある泡だ。体験としては飲用というより入浴に近いんじゃないかってレベルの心地よさ。いいですよこれは。とてもいい。お口の中が湯~とぴあ(甲府市にある温浴施設)状態である。

 

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ブラン・ド・ブランっていうとなんかこう、印象的にはスッキリみたいなことかと思いきや、味わいはこれぞシャンパーニュというパン的な香りと、リンゴですかねこれは。目に見える蜜はないのに非常に甘く、同時に酸味もはっきりとあるタイプの当たりリンゴあるじゃないすか。あれ的な味わいがある。

パン的な香りも強く、長い時間をかけてパンに圧力をかけ続けた結果生まれた結晶、みたいな濃縮された香りがある。要するに味も香りもとてもいい。

 

ヴァザール・コカール ブリュット レゼルヴ ブラン・ド・ブラン、2日目のご様子

そして、これはマイナーな意見だと思うけれども私は2日目のシャンパーニュも好き。初日のシャンパーニュが満開の桜で勢いよく立つ泡が風に舞い散る桜の花びらだとするならば、2日目のシャンパーニュは葉桜的良さがあると思うんですよマジで。葉桜のみんなからアッサリ注目されなくなってる感じと2日目のシャンパーニュが醸し出してる哀愁はどこか似ている。

で、このワインの場合2日目に気持ち色が濃くなったような気がするほど味わいにも蜜のような感じが出てきて非常においしい。泡はそりゃまあ弱いけどなくなったわけではなく、微発泡のおいしいシャルドネを飲んでるみたいな気分。3日目にはどうなるのかなと思わないでもないけれど、おいしいのでさすがに2日でフィニッシュしてしまった。

 

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というわけでヴァザール・コカールがこれ本当にあなどれなかった。前評判を覆す見事な活躍を見せたという意味では2020年シーズンにおける東北楽天ゴールデンイーグルスの小深田大翔内野手的なサプライズだった結局野球の話すると。そしてグランクリュ村のシャンパーニュをつかまえてサプライズとか言っちゃって大変恐縮ですけど。

このシャンパンはシャンパンハウスの3本セットのうちの1本で、同セットに入っていた「ガメ キャラクター」も大変おいしかったので、もう1本は未飲だけれどもこれは当たりセットだった。やっぱり春は神の甘露煮・シャンパーニュですなあ。

ジャケ買いオブ・ザ・イヤー候補!? イミッヒ・バッテリーベルグ「ツェー アー イーリースリング」を飲んでみた【C.A.I. Riesling Kabinett trocken】

天使が大砲をぶっ放す!「ツェー アー イー リースリング」をジャケ買いしてみた

ネットでいろいろなワインを調べていたら見つけた「イミッヒ・バッテリーベルグ ツェー アー イー リースリング トロッケン カビネット」に目が止まった。天使が大砲をぶっ放してるラベルが良すぎる。

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ツェー アー イー リースリングのラベルの図。いいデザイン。

調べてみると、生産者のイミッヒ・バッテリーベルクの名前は、ドイツはモーゼルにある畑の開墾時に崖をダイナマイトで爆破したことから砲兵隊(バッテリー)にちなんでつけられたのだそうだ。なんだそりゃ。これには16歳で砲兵少尉となったナポレオンもビックリである。

と、砲兵といえばナポレオンだよね、みたいなことで適当に書いてみたところ、バッテリーベルクの畑にはナポレオンとの縁がガチであった。公式サイトの説明によれば、バッテリーベルクの畑は、1804年にナポレオンが作成した「ブドウの木の分類」を基にした「1868年プロイセンのブドウ畑の分類」で、最高クラスに分類されているんだそうだ。

そしてまったく関係ないけど少年時代のナポレオンが雪合戦で指揮をしたところ、たくみな指揮と陣地構築で相手陣営を圧倒したって話は仮に作り話だとしてもよくできてると思う。

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1971年当時のワイナリーのラベルだそう。昔のも素晴らしい(画像は公式サイトより)

ワインメーカーは「ドクター・ローゼン」でワインメーカー見習いとしてキャリアをスタートさせたという人物。ドクター・ローゼンといえばつい最近同じオーナーが所有する「ヴィラ ヴォルフ」のシュペートブルグンダーを飲んだばかり。そちらもおいしかったので期待大だ。あんまり関係ないかもだけど。

 

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「ツェー アー イー リースリングビネット トロッケン」はどんなワインか?

ワインは亜硫酸以外の添加物を用いずに野生酵母だけで発酵させているんだそうで、ショップによっては「ナチュラルワイン」として売られている。輸入元はラシーヌラシーヌのワインは以前飲んだものが大変おいしかったので楽しみだ。

 

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数時間のマセレーション後、ステンレスタンクで発酵、澱引きせずに9カ月シュールリー熟成。C.A.I(ツェー・アー・イー)のワイン名は、カール・アウグスト・イミッヒっていうワイナリー創設時のオーナーの名前に由来するそうな。BMWはベンベでAMGはアーマーゲーって言ってましたよね昔。

ついでに「カビネットってなんだっけ?」がふわっとしてたのでwikiを雑にコピペ。

「ドイツのQmPワインと呼ばれる高級ワイン(特級ワイン)に認められた6つあるPrädikat(肩書き)の一つで、一番下にランクされている。醸造の際に、糖分を補うことが許されず、アルコール度数が低く、比較的軽い味わいのものが多い。 」

でもってトロッケンは辛口。

つまりC.A.Iリースリングビネット トロッケンは、

C.A.I.(創業者名)

リースリング (品種)

ビネット(度数低め)

トロッケン(辛口)

というわけですね。ドイツワインの基本のキを僕は学んでいこうと思います。

 

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ツェー アー イー リースリングビネット トロッケンを飲んでみた。

さて、グラスに注いでみると色はこれなんですかね。ペールイエローっていうのか、生搾りレモンサワーを注文し、テーブルでレモンをゴリゴリ絞ったときに出る汁を透明にしたみたいなごく薄レモン色。

で、飲んでみるとこれが非常にいい。和柑橘系のさっぱり7割果実味2割苦味少々みたいな味わいで。はっさくとか、ゆずとか、カボスとかのスッパ系果汁を1/100濃度くらいに希釈して加えてるんじゃないかというホメオパシー的さわやかさ。それでいて徹底的にドライなので食事の邪魔をまったくしない。白のナチュラルワインにはたまに超すっぱいのがあるが、そのニュアンスがほんの少しだけありつつすっぱさが気にならない絶妙なバランスですなこりゃ。

単独で飲んでもおいしいし料理の味わいの引き立て役もできるという司会もこなすお笑い芸人的、ゴールも奪える司令塔的な器用さがあっていやうまいなこれ。

というわけで、なんだか妙に気に入ってしまったのだった。たまには「ジャケ買い」もしてみるもんだなー。

 

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エノテカの「ワイン診断」とは!? 6種ブラインドテイスティングで「好みの味」を見つけることはできたか?

エノテカの「ワイン診断」ってなにやるの?

エノテカ銀座店併設のカフェ&バー エノテカ・ミレで「ワイン診断」ができると聞いたので行った。

手順に従って6種類のワインをブラインドでテイスティングすると、自分の好みのワインがわかる、という趣旨。毎月最初の週末に開催され、隔月で赤ワイン診断、白ワイン診断が実施されるようだが今月は赤ワイン回である。うーん超楽しそう。

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エノテカ銀座店で「ワイン診断」を受けてきました。

予約した時間に訪ねると、おお、テーブルの上がすでに「ワイン診断」仕様に整えられている。具体的には、アプリダウンロードにはじまるワイン診断の手順が書かれたA4ペライチと、もう一枚、「1」から「6」の数字が振られた円の上に空のグラスが置かれた紙が用意されている。

着席すると、まず「1」と「2」のグラスにワインが注がれる。ここで告白しておくと、私はワインのブラインドテイスティングは初体験。初体験なのだが私はワインブロガーの末席を汚しまくっている者。本来の趣旨とはまったく異なるが、それぞれのワインの「品種あて」に同時にチャレンジし、思ったままを正直にそのまま記そうと思う。若い頃の苦労は買ってでもしろというが不惑を過ぎた恥は買ってでもかけの精神である。みなさん、僕の恥ずかしい姿を見てください!(なんか違う)

 

診断スタート。ルビー色の「1」とガーネット色の「2」好みはどっち?

というわけで私の目の前には小ぶりなグラスにそれぞれ40ミリリットルの赤ワインが注がれている。「1」のグラスは明るいルビー色。「2」のグラスは深いガーネット色だ。

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「1」はルビー色。「2」はガーネット。好みを選んでいきます。

私は思った。「なるほどね」と。
これもう明らかに軽いのと重いのでしょたぶん。好みの顔はしょうゆ顔? それともソース顔? 的なことだろう昭和の文脈でいうと。
というわけで飲んでみるとやっぱりそうで、「1」は果実味がチャーミングで酸味がしっかりある甘酸っぱ系のワイン。「2」は渋みが強めで果実味もあるけれども重厚なタイプなワインだった。私の好みは明らかに「1」だ。

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診断はこんな感じでアプリの指示に従って進みます。

 

好きなのは明確に「1」。ただ問題は、「これは一体なんなのか?」ということだ。なんなんだろうこれ。「1」はピノ・ノワールっぽいんだけど渋みもあるんだよな。うーん……わかんないけどガメイッ!

でもって「2」はこれボルドーブレンドっぽいんだけど好みを見つける診断だから単一品種が出るんじゃないかなたぶん。ということで……カベルネ・ソーヴィニヨン! キミに決めた!

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と、内心では渾身の「品種あて」が進行しているわけだが表面上は平静を装って(一人だし)「僕はどちらかというと『1』が好みみたいですね、へへ……」みたいなことを上目遣いでスタッフさんにお伝えしつつ、アプリの診断画面の「1」をクリック。画面には「ライトなタイプがお好みですね。」と表示される。

 

つづいて「1」に似たタイプの「3」「4」をテイスティング。好きなのは?

「おれはライトなタイプがお好みなのだろうか……?」と己と向き合っているヒマもなく、今度は「3」と「4」のワインをスタッフの方が運んできてくれる。

 

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運ばれてくる「3」と「4」。写真だとわかりにくいけど色味は「1」にそっくり。

で、色味的にはこれが「1」にそっくりなんですよ「3」も「4」も。聞けば、最終的に提供されるワインはあらかじめ決まっているが、最初に「1」を選ぶか「2」を選ぶかによって、提供されるワインの順番は変わってくるらしい。

「3」は「1」に比べると酸味が強め。皮的な香りがしっかりあって、味わいは「甘酸っぱい」というよりも「すっぱい」に近い。この感じちょっとサイゼリヤキャンティに似てるな。ということでサンジョヴェーゼと予想してみた。「1」とどちらが好きかと問われれば「1」だ。

「4」は3に似ている印象だけど差分は香りで、もう少し獣っぽさが強いような気がする。うーん難しい。「3」との区別がほぼつかない。品種は……ごめんわかんない!

ということで、「3」と「4」は「1」に近い「ライトなタイプ」であることは間違いないのだが、「3」と「4」の違いは明確にはわからなかった。ただ、「1」に明確な果実味があるのは間違いなく、つまみなしのワイン単体で飲むなら「1」がおいしいと思った。

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というわけで再度「1」をクリックすると「フルーティーなタイプがお好みのようですね。」という文言が表示された。間違いないっす。ふたりの娘と広島東洋カープ、そしてフルーティーなタイプのワインがお好み、それが私だ。

 

6種類すべてをテイスティング。好みの味はさてなんだ?

そしていよいよ最後「5」と「6」が登場した。おそらく、最初の選択で「2」を選ぶと、先に「5」と「6」が供されるのだと思う。どちらも紫系の、濃い色のワインだ。「5」は色の印象ほどには渋みが強くなく、酸味もしっかりあって芯に果実味がある。肉料理と一緒に飲んだらいかにもおいしそうなワインで品種は……いやーわかんないなこれ。マルベック……(超小声)!?

そして「6」は色調が「1」と「5」に比べてやや赤みがかっていて、渋みが強め、酸味は弱めでちょっぴりスパイシー。これけっこう好みだな。「自分の好みだから」というしょうもなさすぎる理由でシラー(シラーズではなくて)と予想してみた。

さて、6種類のワインを指定の順番で試飲してみて、やっぱり一番好きなのはガメイと予想した「1」だった。私が好きなのは甘酸っぱくてチャーミングなワイン。そのプロファイルに一番近いのが「1」だったのだ。

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やっぱり「1」が一番好み。結果は果たして……!?

というわけで「1」を選択。あなたの好みのタイプとして提示されたのはズバリ「ニュー・ピノ」。ニューワールド×ピノ・ノワール、だった。うん。一番たくさん飲んでるやつだそれ。

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診断結果がこちら。納得。

というわけで、私はやっぱりピノ・ノワール、それも果実味の強いニューワールドのものが好きなんだ……ということを再確認することができたのだった。

 

大満足のワイン診断。まさかのお値段550円税込

さて、これは太字で強調しておきたいのだが、このワイン診断は、自分の好みがわかる上に6種類のワインが40ミリリットルずつ飲めてなんだか知らないけど料金550円税込なのだ。なにこれどうなってんの。ここ銀座ですよ。3000円って言われたらそうですかっつって払うけど普通に。エノテカのファンを増やすとか、アプリのDL数を増やすとか、マーケティング的な狙いはあるのだと思うけれどもそれにしても安すぎる。

次回の開催は5月の最初の週末で、そこでは「白ワイン診断」ができるはず。6月にはふたたび「赤ワイン診断」となるはずだ。銀座の一等地でやさしいスタッフのみなさんに囲まれて自分の好みのワインを知ることができて、料金は驚異の550円。

みなさんも、ぜひ行かれてみてはいかがだろうか。

 

行くとこれ買っておうちブラインドテイスティングしたくなる

 


!!ここから先ネタバレあり!!

エノテカ銀座店での「ワイン診断」体験記は以上となります。
ここから先は、「1」〜「6」のグラスがそれぞれなんだったのかのネタバレを書きます。エノテカ実店舗での「ワイン診断」を受けたいと思う方は、この先のネタバレを踏んでしまうと楽しみ半減。

というわけで、
もしネタバレ勘弁!
という感じでしたら、
このあたりで離脱をお願いします。

果たしてヒマワインの「品種あて」の結果はどうだったのか?
そこが知りたいという物好きな方のみ、お進みください。

よろしいでしょうか。

それでは行ってみよう。

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6種のワイン、それぞれなんだった?

【ネタバレ】飲んだ6品種はなんだった?

<1> 予想:ガメイ 正解:ピノ・ノワール

まず、私がガメイと予想した「1」は、ニュージーランドピノ・ノワール、シレーニの「セラー・セレクション・ピノ・ノワール」だった。つーかピノ・ノワールが6つの選択肢に含まれていない可能性はむしろ低く、なんでわざわざ「ガメイ」とか言っちゃったんだと後悔しても時すでに遅しだ。しかもこのワイン飲んだことあったのに……!

 

<2> 予想:カベルネ・ソーヴィニヨン 正解:カベルネ・ソーヴィニヨン

続いてカベルネ・ソーヴィニヨンと予想した「2」はまさかの正解でカベルネ・ソーヴィニヨンだった。銘柄はチリの「モンテス・アルファ」。何度も買ったボトルなのでラッキーパンチが命中したといったところ。ただ、「ボルドーブレンドっぽい」と私は感じていて、モンテスアルファはまったくボルドーブレンドっぽくないのでまぐれ当たりもいいところである。

 

<3> 予想:サンジョヴェーゼ(キャンティ) 正解:ピノ・ノワール
<4> 予想:わからない 正解:サンジョヴェーゼ(キャンティ

サンジョヴェーゼ(キャンティ)と予想した「3」は、無念! ブルゴーニュピノ・ノワール、オリヴィエ・ルフレーヴのブルゴーニュ キュヴェ・マルゴだった! そして「3に似てるけどさっぱりわからない」と回答した「4」がまさかのサンジョヴェーゼ……。しかもキャンティで、アンティノリの「サンタ・クリスティーナ キャンティ・スペリオーレ」。これ「3」と「4」逆に回答してたら超カッコよかったじゃないの馬鹿っ馬鹿っ!

 

<5> 予想:マルベック 正解:ボルドーブレンド

マルベックと予想した「5」の正解はボルドーブレンドのムートン・カデ・レゼルヴ・ボルドーカベルネ・ソーヴィニヨン主体で、メルローカベルネ・フランなどがブレンドされてるみたいだけど、エノテカの商品ページによればマルベックが入る年もあるみたい。事実上正解ですね(不正解)!

 

<6> 予想:シラー 正解:テンプラニーリョ

でもって最後、シラーと予想した「6」はスペインはミゲル・トーレスの「アルコス・イベリコス・クリアンサ」で品種はテンプラニーリョだった。これも飲んだことあったのになー!

というわけで6種を飲んで正解したのはラッキーパンチのひとつだけ。似ていると感じた「3」と「4」を逆に回答してキャンティを的中させていたらドヤ顔できたのになあという思いなきにしもあらずだが、これはなんの品種かな? とあれこれ考えながら飲むワインは普段とはまた一味違って面白く、ブラインドテイスティングに俄然興味が深まったのだった。こりゃみんなでやったら盛り上がるわ。

そんなわけで、繰り返しになるがエノテカ銀座店での「ワイン診断」は大満足で終了したのだった。来月の「白ワイン診断」もぜひ参加したい!

ヴィンテージカバはシャンパーニュの夢を見るか? エメンディス カバ ブリュット2016を飲んでみた【Emendis Cava Brut】

ヴィンテージ カバはジェネリックシャンパーニュとして機能するか?

きっかけはカルディで売っていたカバだ。ペレ・ベントゥーラ カバ・トレゾール・ブリュットという名前のワインで、定価2145円が1398円のセール価格で売られていたので買ってみたところこれが妙においしかったのだった。打倒シャンパーニュを掲げる造り手なんだそうなので、こんなことを言うのは失礼なのだがジェネリックシャンパーニュ、擬似シャンパーニュとして機能するおいしさがあった。

そのワインが、「2017」のヴィンテージ入りのカバだったのだった。通常カバはシャンパーニュ同様複数ヴィンテージをブレンドして品質を保つはず。シャンパーニュがそうであるように、ヴィンテージ入りということはよほどいいブドウが収穫できたから……みたいなことのはず。

 

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 1000円台前半でシャンパーニュを買うことはできない。なので、1000円台前半でシャンパーニュに類似した味わいのスパークリングワインを飲むことは全・私の悲願だ。そして、この成功体験から、ヴィンテージカバは擬似シャンパーニュの有力候補なのでは? という仮説を私は組んだ。サンプル数は驚異の「1」だけど。人間は成功体験の奴隷である。

エメンディス カヴァ ブリュット2016とカバとシャンパーニュと私

そんな感じで安ヴィンテージカバを探していたら見つけたのが今回飲んだ「エメンディス カヴァ ブリュット2016」。エメンディスはスペインはカタルーニャ、カバの中心地・ペネデスに本拠地を置く生産者であるようだ。

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エメンディス カヴァ ブリュット2016を飲みました。

さて、さっそく公式サイトを訪問し、カタルーニャ語を翻訳サービスに突っ込むと、こんな文言が出てきた。
「エメンディスのワインとシャンパンは、エステート内のブドウ畑で生産されています。」
思いっきり「Champagne」って書いてあるなこれ。スイスのシャンパーニュ地方のワインはフランスのシャンパーニュ地方よりも早くワインを造っていたのに現在シャンパーニュを名乗ることができず、日本のバンド「Champagne(シャンペイン)」は改名を余儀なくされた。
それくらい「シャンパーニュ」という言葉はシャンパーニュ地方で造られたワインにしか使えないものだと私は理解しているけれども商標じゃないからセーフ、みたいなことなのか。

【追記】Champagneと表記されてるのはサイトの言語を英語にした場合のみ。カタルーニャ語ではcave、スペイン語ではcava表記でした。

 

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エメンディス カヴァ ブリュット2016はどんなワインか?

製法について調べても、英語では「シャンパンについては、ワイナリーの最も象徴的な部分のひとつであるワインセラーで、低温でゆっくりと瓶内二次発酵させます。」と書いてある。にしてもなんで英語だとシャンパーニュなんだろうなー。

ともあれ、100%自社畑のブドウを使い、14カ月熟成と丁寧につくられているのは間違いなさそう。ブレンドはチャレッロが50%で、マカベオとパレリャーダが25%ずつ。公式サイトにはヴィンテージカバの掲載はないから、良年のみ造るとかなんですかねわからないけど。ここは「良年のみ造るんだろう」と思い込むことにします。

 

エメンディス カヴァ ブリュット2016を飲んでみた

さて、柳の下に二匹目のドジョウはいるか、夕陽が沈むのを待ってグラスに注いでみた。色は、うん、カバらしい、少しくすんだような印象のある逆光で見る麦、みたいな色。で香りは皮みたいなパンみたいなシャンパーニっぽい香り。カバって味はともかく香りはシャンパーニュに似ているケースがままあると思うけどこれもそう。

でもって飲んでみるとこれがまあ普通においしいんですよ。味はレモンっぽい酸味とレモンの皮みたいな苦味があってシャンパーニュ感はそこまでないけど、カバとして十分においしい。いいなこれ。1190円でこの内容はアリ to the アリだ。

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vivinoの評価は評価数が少ないので参考記録だけど3.8と高い。実際うまい。

ヴィンテージカバはジェネリックシャンパーニュとして機能する、という仮説は十分に補強されたとはいいがたいが、ヴィンテージカバはおいしい、ということはここまで2打数2安打なので言えそうだ。

というわけで、初夏から夏にかけてどうせ大量に消費することが分かりきっているスパークリングワインの有力候補として、今年はヴィンテージカバを探してみよう! と思った次第だ。ああ楽しい。

 

 

リースリングのカリスマが造るピノ・ノワール! 「ヴィラ ヴォルフ シュペートブルグンダー」はどんな味?

葡萄畑ココスで「ヴィラ ヴォルフ シュペートブルグンダー」を買った

好きなショップのひとつ、葡萄畑ココスの方から「ブログのテーマである3000円以下の美味しいピノでご提案があります」という連絡をいただいたのが先月のこと、わざわざ連絡してくれるんだからおいしいのだろうきっと、ということで少し時間を置いて買ってみたのが今回飲んだヴィラ ヴォルフ シュペートブルグンダーだ。

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ヴィラ ヴォルフ シュペートブルグンダーを飲みました。

お値段は1870円とお手ごろ。葡萄畑ココスはなんでも安売り! 激安! みたいなことがウリではなく、ワインそのもの、あるいは生産者にストーリーがある個性的なワインを売っている印象のあるショップ。果たしてこのワインはどんなワインなのだろうか? ガッツリ調査していこう。
(ここからしばらく調査パートなので、『で、味はどうなの?』だけ教えろ、タコ、という人は飛ばして読んでください)

 

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ヴィラ ヴォルフとリースリングのカリスマ、エルンスト・ローゼン

ヴィラ ヴォルフの公式サイトを訪問して調べてみると、キーマンとなるのはエルンスト・ローゼンなる人物のようだ。

ローゼンさんはモーゼルの生産者ドクター・ローゼンの当主で、リースリングのカリスマと呼ばれているという人物。輸入元のヘレンベルガー・ホーフのサイトに詳しく紹介されているのでそちらをみると、ローゼンさんはもともとは父の後を継ぐために考古学の研究をやめ、ワイン界に身を投じたという長髪をソバージュにした紳士。カリスマ的人物、長髪をソバージュにしがち。

で、ワイナリーを引き継ぐと品質を高めるために収量を半分にし、化学肥料の使用をやめ……みたいな改革を進めた結果どうなったかっていうと「古くからの怠惰なスタッフは全員辞めることに。」って書いてあるな。やってんなローゼンさん。池井戸潤原作でドラマ化しそうだな。主人公は香川照之で。ともかくそういった改革により品質は高まり数々の栄冠に輝いてやがてカリスマと呼ばれるように、みたいなことのようだ。

 

ヴィラ ヴォルフとリースリングのカリスマ、エルンスト・ローゼン

ヴィラ ヴォルフは、モーゼルが本拠地のローゼンさんががやや南のファルツにある「J.L.ヴォルフ醸造所」を買い上げ、そこで造るワイン。ドクター・ローゼンの公式オンラインショップを見てみると、ロゼが1種類あってあとは全部白ワイン。それもほとんどがリースリング

なのだが、ヴィラ ヴォルフのワインはリースリングだけでなく、シュペートブルグンダーもあり、白ではシャルドネソーヴィニヨン・ブランもラインナップされている。ワインの名前もブルゴーニュ方式で、表ラベルには生産者、ヴィンテージ、畑の場所、品種しか書かないなど、ブルゴーニュ的なことをやろうとしているみたいなことが公式サイトには書いてある。

 

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本拠地モーゼルリースリング特化、ファルツで品種いろいろ、みたいにしてドイツワイン補完計画してる感じのようだ。なんか、カリスマワインメーカーでありカリスマ経営者って感じがするなローゼンさん。

もうひとつ興味深い話があったので紹介すると、なんでも1828年当時この地を領有していたバイエルン王国政府は、ブルゴーニュのグルン・クリュ制度のように地税に基づいてブドウ畑を分類したんだそうだ。で、歴史ロマンを感じるのは「その時に最高の評価を受けた畑」はやっぱり今でも素晴らしいんだそう。ヴィラ ヴォルフはその古代の知識を指針にワインを造っているんだそうだ。さ元考古学者。男はみんなロマンチックな愚か者である。

 

ヴィラ・ヴォルフのワイン4つの格付けとシュペートブルグンダー

さて、ヴィラ・ヴォルフのワインは独自に4段階に格付けされていて、ドイツ語なので翻訳してもニュアンスが汲み取れないのだが、たぶん間違ってるウルトラ意訳で強引に腹落ちさせようとすると、その格付けは上から、
・第一級格付け
・第二級格付け
・村名格

・ヴァラエタル
みたいになるようだ。でもって今回飲むのは言うまでもなく一番下のヴァラエタルワインです。

公式ショップをみると、このワインは1本9ユーロだから1163円くらい。飲んだのは2018ヴィンテージででサイトに情報が載ってるのは2017ヴィンテージだけど、50%はスチールタンク、50%は使用済みのフランス製の樽で12〜15カ月熟成させるとある。アルコール度数は12.5%。「一部は小樽での長期熟成により、ブルゴーニュ特有のエレガンスとシルクのような質感を醸し出しています」って書いてあってブルゴーニュめっちゃ意識してるな!

 

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ヴィラ ヴォルフ シュペートブルグンダーを飲んでみた

さて、いざグラスに注いで飲んでみると、まず色がキレイに向こう側が透けるルビー色でとても良い。そして1000円台なのにしっかりと香りがある。なんすかねこれ。スミレの花とか、あと竹みたいなスッキリ系の、青っぽい植物の凛とした香りがする。

時代劇で旅の侍が峠で路傍の岩かなんかに腰掛け、懐から竹の水筒を取り出して喉の渇きを癒すみたいなシーンがよくあるが、その水筒にピノ・ノワールが入っていたらこんな味だろうな、っていう味だ。ミネラリティならぬ竹ニティ的なスッキリ感がある。

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vivinoの点数は3.6点。中庸の良さがある。

「うまい! 死ぬ!」みたいな感じではないんだけど、ちゃんとキチンとおいしい。1000円台でこんなにピノ・ノワールらしさがあっておいしいワインってあったっけっていうくらい。甘さ酸っぱさ渋さがどれも良い意味で中庸なので食卓に乗ってる料理のほぼすべてとなんとなく合ってくれた。なんならポン酢にまで合う万能具合。

私の好きな赤い帽子の野球チーム・広島東洋カープの投手にたとえれば、数年前、中継ぎロングや谷間の先発を務めていたころの九里亜蓮投手的な魅力だ。傑出した決め球はないものの、どんな場面でもマウンドを託すことができる。ヴィラ ヴォルフ シュペートブルグンダーはそんなワインですカープファン以外誰も共感できないと思うけど。

戦場を選ばないワイン。またなにかの機会に味わいたいと思えるワインだった。