ヒマだしワインのむ。|ワインブログ

年間500種類くらいワインを飲むワインブロガーのブログです。できる限り一次情報を。ワインと造り手に敬意を持って。

ワインで読み解く南アフリカの近現代史。ロングリッジ 「エミリー」を飲んでみた。【Longridge Emily】

ロングリッジ 「エミリー」とエミリー・ホブハウス

ロングリッジの「エミリー」を飲んだ。シャルドネピノ・ノワールブレンドした白ワイン、っていうちょっと珍しいやつ。シャルドネは樽を使わず醸造ピノ・ノワールは少しだけ樽熟成し、それをブレンドするそうです。いずれも全房のまま天然発酵。畑はバイオダイナミック(ビオディナミ)。

f:id:ichibanboshimomojiro:20210617131952j:plain

ロングリッジ「エミリー」を飲みました

そして商品名の「エミリー」は、エミリー・ホブハウスという女性に由来するのだそうだ。エミリー・ホブハウスは第二次ボーア戦争で活躍した人物。で、あれ、ボーア戦争ってどんな戦争だったっけ?

 

ケープ植民地と南アフリカの歴史

考えてみると、私は南アフリカワインをうまいうまいと飲んでいるわりに南アフリカの歴史についてまるで理解できていない。

というわけで、ここらで南アフリカの歴史についてざっくりと学んでおかねばならぬの心で、ほぼ寝て過ごした高校の世界史の授業以来、ひさかたぶりにボーア戦争について調べてみることにした。

himawine.hatenablog.com

ボーア戦争とは、イギリスと、オランダ系移民、フランスのユグノー、ドイツ系プロテスタントらの子孫であるボーア人アフリカーナー)との間の戦争だ。では、なぜイギリスとオランダ移民が南アフリカで戦争をしているのか? 話は17世紀にさかのぼる。

南アフリカの現代に連なる歴史は、1652年にオランダ東インド会社のヤン・ファン・リーベックが希望峰を中継基地とし、植民地化したことに端を発する。2月2日は「南アフリカワインの日」とされるが、それはこのリーベックが1959年2月2日の日記に「ケープのブドウから初めてのワインが作られた」と記している(Today,Praise be to  God, wine was made for the first time from Cape grape)ことから。

Capeとは岬のことで、言わずもがな、南アフリカといえばの「希望峰」に由来して、南アフリカワインは「ケープワイン」とも呼ばれている。

余談だが、希望峰がどことの中継地かといえば、オランダとインドネシア、そして長崎の出島との中継地。日本ともあながち無関係でないのが歴史の面白い点。リーベックは1655年にブドウ栽培を開始。1659年に南アフリカ最初のワインが産声を挙げている。

ボーア戦争に連なる歴史に話を戻そう。17世紀以降、南アフリカ(ケープ植民地)はオランダ東インド会社のものとなり、それがやがてイギリスの植民地になるに至る過程はわりと複雑だ。時計の針は17世紀初頭へと巻き戻る。

 

オランダ領だったケープ植民地がイギリス領になるまで

17世紀、オランダ(ネーデルラント連邦共和国)は、オランダ東インド会社を通じて世界中に植民地を抱え“オランダ海上帝国”と呼ばれる黄金時代を迎えていた。それは、同じく海上の覇権を狙うイギリス東インド会社との争いを生んでもいた。

そして迎えた1623年、アンボイナ事件が起こる。香辛料貿易を巡って対立していたイギリス東インド会社の商館をオランダ東インド会社が襲撃し、商館員を全員殺害したという事件。またも余談だがこの事件にも日本人(平戸の傭兵・七蔵)が絡んでいるので興味ある方は「アンボイナ事件」で検索してみてください。

himawine.hatenablog.com

この事件をきっかけにイギリス勢力を駆逐したことで、オランダはアジアの富を独占。一方のイギリスでは反オランダ感情が高まることとなる。結果、1652年、リーベックが南アフリカを植民地化したのと同じ年からイギリスはイギリス海峡でのオランダ船団への襲撃を開始し、英蘭戦争が勃発。17世紀後半にかけて4度にわたった英蘭戦争の結果、オランダの国力は衰退することになる。

その後、フランス革命に伴いオランダはフランスに占領され、フランスの傀儡国家であるバタヴィア共和国、ホラント王国が相次いで樹立、1810年にはフランス帝国の直轄領となる。要するに、一時的にオランダはフランスに占領される。そしてこの間、ケープ植民地も一瞬バタヴィア共和国領となった。

この混乱のなかで、オランダ東インド会社は解散。結果、ケープ植民地を含むオランダの植民地は敵の敵は味方的理屈でオランダとともにフランスに対抗していたイギリス東インド会社が引き継ぐことになる。そして以降、1910年に今の南アフリカ共和国の前身である南アフリカ連邦が発足するまで、南アフリカの地はイギリスの支配下におかれることになるわけだ。

つまり、ウルトラざっくり言うと、もともとオランダのものだった(17世紀)のが、ほんの一瞬フランスのものになり、のちにイギリスのものになった(19世紀)というのが南アの歴史だ。

 

アフリカーナーボーア戦争

さて、もともとオランダ人の子孫が住んでいた土地がイギリスの植民地となり、大量の入植者がやってきて、公用語が英語となると、英語を解さないボーア人(おさらい→オランダ系移民、フランスのユグノー、ドイツ系プロテスタントらの子孫)は二等国民として差別されるようになる(この過程で、ボーア人は自らをアフリカーナーと呼ぶようになった)。

himawine.hatenablog.com 

そして、彼らはイギリスの支配を逃れて、南アフリカ北東部の奥地へと「グレート・トレック」と呼ばれる大移動を開始し、ナタール共和国トランスヴァール共和国オレンジ自由国といった“ボーア諸共和国”を建国。これらの諸国とイギリスが戦ったのが2度にわたるボーア戦争というわけだ。

完全なる余談だが第一次ボーア戦争ボーア人司令官はポール・クルーガーという人物で、なんというかすごく南アフリカワインファンの耳に馴染む名前です。

 

ボーア戦争終了後の収容所の状況とエミリー・ホブハウス

さて、ボーア戦争自体は1902年に終結するが、悲劇はつづく。イギリスは12万人のボーア人と先住民黒人を強制収容所に入れるが、その環境は劣悪そのもので、実にそのうちの2万人以上が死亡したとされる。ボーア戦争wikipediaページには収容所で死を迎える直前の少女の写真が掲載されているのだが、女の子の父親としては直視できないレベル。

himawine.hatenablog.com

話が遠回りに遠回りを続けたが、この収容所にやってきたのがイギリス人女性、エミリー・ホブハウスだった。イギリスの軍事行動の結果貧困に陥った女性たちの存在を知ったエミリーは、基金を設立してケープ植民地に出発。

エミリーは、現地で見た1日に50人の子どもが亡くなっていくという収容所の現状を「殺人」だと断罪。自国の政府やメディアから批判されながらも支援の資金を獲得するなどしてボーア人女性とその子どもたちの救済のために活動を続けることになる。

それらの人道的活動が認められ、後にエミリーは南アフリカの名誉市民となり、町の名前となったり、潜水艦の名前になったり、切手になったり、映画化されたり、そして忘れちゃいけないロングリッジの「エミリー」として、ワインの名前にもなっている。

というわけで、エミリー・ホブハウスについて調べようと思ったらなぜか南アフリカの近代史をざっくり学ぶ事態になってしまったが、今までよくわかっていなかった南ア史がちょっとだけ理解できたような気がする。安心したのでいざ、ワインを飲もう。

 

ロングリッジ「エミリー」を飲んでみた

グラスに注いでみると、シャルドネピノ・ノワールを混ぜたとあるのでロゼっぽくなるのかと思いきや、アンバーワインとかヴァン・グリとかそんな感じのオレンジ感のある色合い。

でもって飲んでみると味は樽の効いたシャルドネと、スッキリしたロゼのちょうど中間地点にあるような味わい。その出自から、どことなく泡のないシャンパーニュ的な味わいがするような気がしなくもないような気がする。そして、味わいのなかにはたしかな芯がある。

白のなかに赤がある。それは、ボーア人のなかのイギリス人とか、強制収容所におけるイギリス人女性とか、世間に批判されながらも己の意思を貫いたエミリー・ホブハウスという人物そのものであるようにも思える。

f:id:ichibanboshimomojiro:20210617132356p:plain

vivinoの評価も4.0と高い。非常においしいです。

毎度毎度のことながら、1本のワインの背景にはちょっとビックリするくらいのドラマが潜んでいる。そのドラマを読み解きながら飲むワインは、ただの液体の域をはるかに超えてくる。ロングリッジのエミリーは、ショップによっては1000円台で買える安ワインだが、そこに込められた物語は決して安っぽいものではない。というわけで今夜はエミリー・ホブハウスに乾杯だ。

 

 

成城石井で売ってるおいしい赤ワイン! 「トレジャーズ シラーズ」飲んでみた。【TREASURES MCLAREN VALE SHIRAZ】

 成城石井で「トレジャーズ シラーズ」を買ってみた

成城石井で売っているワインで複数回買っているワインに「30マイル シラーズ」がある。生産者はオーストラリアのクアリサワイン図。価格が1000円台前半ながら濃いうま果実味スパイシーでめちゃくちゃわかりやすくおいしいので大変重宝していたのだが、気がつけば成城石井オンラインストアに記載がなくなっていた。

2021年前半にセールをしていたから、もしかしたら終売なのかヴィンテージ の切り替え時期なのか、なんなのか、ともかく現時点では手に入らないようだ。悲しい。

ただ、クアリサワインズのシラーズは他にも選択肢があり、ひとつ上のレンジの「ジョニー・Q シラーズ」1749円と、そのさらに上のレンジの「トレジャーズ シラーズ」1969円が引き続き売られている。

f:id:ichibanboshimomojiro:20210615102302j:plain

「トレジャーズ シラーズ」を飲みました。

私はいま安くておいしいシラーズをたくさん飲んで【安うまシラーMAP】をつくるという企画を進めており、これらの価格帯のシラーズはまさにど真ん中。というわけで、「トレジャーズ」のほうを買ってみることにした。

 

クアリサ・ワインズとジョン・クアリサという男

「トレジャーズ」は、ラベルに生産者ジョン・クアリサの3人の子どもたちがビーチで遊んでいる姿がデザインされている、自らの孫の可愛さを歌い上げて90年代にまさかの100万枚を売り上げた演歌「孫」的なワイン。

私はかねて、生産者の公式サイトのトップ画像には生産者がもっとも大切にしているものが表れる、と提唱しているが、みなさんぜひquarisa.co.auをご覧いただきたい。トップに表示される画像、それはジョン・クアリサ本人が土かなんかをぶちまけている写真である。クアリサワインズとはジョン・クアリサという人物そのものなのだろう。

なんでもジョニーと妻のジョセフィーヌ、付き合い始めたの高校生の頃だそうですよ。高校生のころの恋人とそのまま結婚し、3人の子どもに恵まれ、家族で力を合わせてワインを造る。リリースするワインは、妻をイメージした「ミセスQ」に子どもたちをイメージした「トレジャーズ」、そして自身の名を冠した「ジョニー・Q」。現代においては、「10兆円持ってます」っていうよりもジョニーの人生のほうを羨ましく思う人が多いかもしれない。いいなあ、ジョニー。夢のような人生だな。

f:id:ichibanboshimomojiro:20210615102749p:plain

画像は公式サイトのキャプチャ。ジョニーの3人の宝物、今ではすっかり成長してる。

さて、このジョニー、ただの家族思いのオッサンではなくてワインメーカーとしても腕利きで、国際的なワインショーで審査員も務めるという人物。「トレジャース」はその経験を活かして海外で受けることを意識して造られたレンジで、そのシラーズはマクラーレンヴェイル産のブドウを使い、樽で16カ月の熟成後リリースされるとのこと。いざ、飲んでみよう。

 

「トレジャーズ シラーズ」を飲んでみた。

セラーが一杯なので冷蔵庫で雑に冷やしてスクリューキャップをくるくる回してグラスに注いで飲んでみたのだが、キンキンに冷えた状態でもしっかりと香りが出てくる。なんすかねこれ。アメリカンチェリーのパイ的な香り。

そして飲むと、Yeah めっちゃパワフルだなこれ。渋みが強く、酸味も強く、果実味も強いストロングスタイル。それでいて、とりあえず生ならぬとりあえず赤、が可能なほど冷やしてもイケる。冷やしておいしい赤の条件ってなんなんなんスかね。

f:id:ichibanboshimomojiro:20210615102659p:plain

vivinoの評価は3.9。おいしいもんね。

温度が上がってくると渋みの輪郭が溶けていっていい具合に甘酸っぱ系になってきて、それまた非常においしい。チェリーとかバニラとか、ドライフルーツやスパイスが入った甘くないチョコとか、そういう印象で甘やかなのに甘くなくて飲みやすい。これ非常にいいな。2000円切る値段でこれはいい。

f:id:ichibanboshimomojiro:20210615140135p:plain

というわけで、安うまシラーMAP的にも当たりといえるワインであるのはもちろん、1000円台のおいしいワインという文脈でも高く評価できるワインと言えそう。成城石井に行かれた際は手に取って損はないと思います。

 

 

ハーテンバーグ シラーズを飲んで南アフリカのテントウムシとフクロウに思いを馳せた話。【Hartenberg Shiraz】

ハーテンバーグと「バーグ」の意味

趣味的にちょこちょこ作成を進めている「安うまシラーMAP」をさらに充実させるべく、南アフリカはハーテンバーグのシラーズ(2016)を飲んだ。

f:id:ichibanboshimomojiro:20210611113819j:plain

ハーテンバーグ シラーズ(2016)を飲みました。

ふと思ったのだが「バーグ」多くないですか南アフリカの生産者名。ラステンバーグとかスティーンバーグとかこのハーテンバーグとか。そもそもヨハネスブルグのブルグも「バーグ」だし。

で、調べたところ「要塞都市」って意味なんだそうだ「バーグ」は。ヨハネスブルグヨハネスさんという人にちなんで名付けられた城塞都市(諸説あり)。「バーグ」は「Burg」の英語読みで、アフリカーンス語だと「ブルフ」と読む。あれ「ブルグ」どこいった。まあいいか。

 

ハーテンバーグと生物学的防除

さて、ハーテンバーグはヨハネスブルグが建設された1886年よりはるか前、1692年というから五代将軍綱吉の治世に誕生したステレンボッシュの生産者。

南アフリカの生産者の公式サイトを見ると、サスティナビリティに熱心なところが多いことがわかるけどハーテンバーグもガチ。

面白かったのは、ブドウの品質を下げる「コナカイガラムシ」という害虫への対処法。かつては化学薬品を撒いて防除していたのだが、結果的に害虫の捕食者をも殺してしまうことで、かえって繁殖を許してしまっていたのだとか。

f:id:ichibanboshimomojiro:20210611113144j:plain

農薬を撒く代わりにテントウムシを大量に放つそうです。写真はイメージ。

そこで、テントウムシ、寄生蜂などを「何千匹も購入して」放ち、コナカイガラムシの数をコントロールしているのだという。

それらの虫は同じ南アフリカの「BioBee社」から入手してるっていうんでBioBee社の公式サイトも訪問して紹介動画を見てみたのだがこれなかなかすごいな。虫が大量にパックされ、段ボール箱に詰められて出荷されていたりするので閲覧注意です正直。でも、書籍『新しいワインの科学』で知った生物学的防除のリアルがわかって面白い。 

虫注意↓
https://www.youtube.com/watch?v=_87Ki1d-RfI&t=11s

 

続・ハーテンバーグと生物学的防除

申し訳ないけど生物学的防除の話がつづきます(面白いんですよほんと)。ハーテンバーグでは、敷地内に巣箱を設置してフクロウを増やしているのだそうだ。

これはネズミやヘビの駆除のため。かつてはベイトステーション(殺鼠剤を入れた箱)を設置していたけれどそれだと毒で死んだネズミをフクロウが食べることでフクロウに二次被害が生じ、フクロウの数が減ることで逆にネズミの数が増えていたのだとか。

というわけで、現在は9組の(つがいの)フクロウとミミズクを飼育。彼らは毎晩10〜20の獲物を捕らえるのだそうだ。フクロウすごい。ともかくこのような生物学的防除を取り入れることで、農薬に頼らない栽培ができているようだ。

himawine.hatenablog.com

 

ハーテンバーグ シラーズはどんなワインか

さらに、カバークロップの受粉を助けるために蜜蜂を飼育したり、樹中の水分量を測定したり、さらには従業員の福利厚生を分厚くして離職率を下げたりと色々工夫していて、それはセーラーマスターのカール・シュルツいわく「ワインは変化を好まない」からなのだとか。サスティナビリティがただのお題目ではなく、ワインをおいしくする/品質を保つための戦略的手法である、という感じが伝わってくる。

で、農法に関する記述は質量熱量三拍子揃ってあれど個別のワインに関する記述はほぼない(どうなってんだ)ので、いきなり輸入元のマスダの商品ページに頼ると、「ハーテンバーグ シラーズ(2016)」は新樽率30%の225Lのフレンチオークで21カ月熟成という贅沢なつくり。いざ、飲んでみよう。

himawine.hatenablog.com

 

ハーテンバーグ シラーズを飲んでみた

飲んでみると、あら〜、これお上品ですね。シラーズならではのスパイス香や果実味がすごくおだやか。かといって酸味や渋みが主張し過ぎることもないザ・調和。スパイスの香り! というより「以前スパイスカレー屋だった物件の香り」という感じだし、果実味! というより「果実の痕跡」という感じ。住人がいなくなって長く放置された部屋がそれでもなお前の住人の気配を残すように、主張しすぎない質の良さがある。その感じがなんとも上品だ。

ちょっと面白いのは、公式のテイスティングノートに「UMAMI」という言葉が使われている点。それも香りの評価に使われていて、「ブラックフルーツと甘いスパイスの香りが広がり、その後、香ばしさとウマミの個性が表れる」とある。うまい香りっていう表現は日本では一般的でないのが逆に面白い。

f:id:ichibanboshimomojiro:20210611113621p:plain

vivinoの評価も4.0と高い。

実際、すごくおだやかで「体にいいシラーズ」という印象を受ける。3000円以下のワインに関して、私の好みは一貫して「甘ずっぱいワイン」なので、好みのど真ん中からは外れるが、エレガントなシラーを探している人にはすごくいい物件だと思いました。

 

f:id:ichibanboshimomojiro:20210611114113p:plain

 

 

楽天スーパーセールの「買い回りポイント」を上限まで入手するベストな方法に関する私見【ふるさと納税】

楽天スーパーセール「買い回りポイント」上限額は7000ポイント

開催中の楽天スーパーセールでは、「ショップ買い回り」というキャンペーンが実施されている。キャンペーンにエントリーした上で、各ショップ1000円以上購入することで「買い回り」の条件を満たすと、購入ショップ数がひとつ増えるたびに期間中に得られるポイントが1%ずつアップしていくのだが、これには上限がある。2021年6月のセールの場合、7000ポイントだ。

f:id:ichibanboshimomojiro:20210609164127j:plain

楽天スーパーセール×楽天ふるさと納税でお得にワインを手に入れたい。

「ショップ買い回り」は最大10倍とされているが、これには通常の「お買い物ポイント」1倍=1%が含まれるため、実際は10ショップ買い回った場合にポイントが9%プラスされることになる。

つまり、上限の7000ポイントを得ようと思ったら、7000÷0.09で、およそ7万7777円の商品を購入するのがもっとも効率が良い。それ以上買うと、「ショップ買い回りポイント」を取り逃がすことになるからだ。

 

楽天スーパーセールと楽天ふるさと納税

とはいえ、家電の買い替えといったことがないと、なかなか8万円弱の買い物はしない気もする。ワインを買うにしてもセラーに入り切らない問題が生じがち。そこでオススメなのがふるさと納税だ。

ご存知の通り、ふるさと納税は、寄附金のうち2000円を超える部分は所得税の還付や住民税の控除が受けられ、かつ返礼品が貰えるという考えてみるとちょっとおかしな制度。しかも楽天ふるさと納税の場合、恐ろしいことに楽天のポイントまで貯まるんですよどうなってるんだよこれ本当に。

というわけで、「ふるさと納税を絡めてショップ買い回りの上限7000ポイントを手に入れる」シミュレートを本記事ではしていきたい。

 

いかにして10ショップ買い回りを達成すべきか

まずは、デイリーワインや日用品など、絶対に消費するものを購入して、買い回り数を増やしておく。私の場合はワインと一緒に飲むミネラルウォーターや炭酸水、ワインを飲まない日に飲むサントリー ザ・オールフリーなどが生活必需品なので、この機にまとめて買う。

具体的にはこのようなイメージだ。
ショップ1:ミネラルウォーター24本(1200円くらい)

ショップ2:ミネラルウォーター24本(1200円くらい)

ショップ3:お気に入りのだしパック(1000円くらい)

ショップ4:お気に入りのだしパック(1000円くらい)

ショップ5:炭酸水24本(1600円くらい)

ショップ6:オールフリー24本(2900円くらい)

ポイントは、水とだしパックに関して複数店舗で購入している点だ。私のお気に入りのだしパックは実店舗で1080円で売られているが、ネット上だとなぜか1080円(送料無料)で売られており、ふたつセットでも2160円(送料無料)と価格が変わらない。なので、複数店舗で買ったほうが買い回り的にはいいのだ。

ちなみにこれ↓

水の場合、24本入りの底値が安すぎて2ケース買っても48本入りと価格差があまりなく、ポイント1%増で回収できる幅となる。

底値水↓

このように「次回セール時までに確実に消費するものを複数店舗で買う」ことで買い回りがラクになる。いやほんとセコい話で恐縮なのだがすべてはワインのためだ。水物は重いのでネットで買うインセンティブが高い上に、水は防災グッズでもあるので、消費しながら備蓄するローリングストックともなる。

これらをセールのたびに自動的に買うようにし、残りはデイリーワインを買うもよし、そのとき必要な日用品も買うもよし(私は今回体温計、不織布マスクなどを買った。コロナ禍〜)、書籍や雑誌を買うも良しでふるさと納税分を残したショップ買い回り数は意外と余裕で達成できる。もちろん、複数自治体に寄付を行えば1自治体=1ショップとして計算される。

himawine.hatenablog.com

 

ふるさと納税は、いわば推し自治体への課金行為。そのため産地が非常に重要視されるワインという商材とすこぶる相性が良く、私は昨年に引き続き2021年も北海道余市町を中心にふるさと納税を行う予定だ。

himawine.hatenablog.com

推し産地を納税というカタチで応援でき、その土地でできたワインを返礼品としていただける。ちょっとバグってると思うこの制度、何度考えても。

ちなみに、仮に5万円前後の寄付を行うとした場合、ワイン絡みのふるさと納税返礼品には以下のようなものがある。

以上のように、消耗品複数店舗購入+ふるさと納税のコンボで、7000円の「買い回りポイント」の上限は意外とスムーズに入手できる。スーパーセールは実質6月10日まで(正確には6月11日1時59分まで)なので、いろいろ眺めてみると面白い。

himawine.hatenablog.com

 

ワインの「適量」ってどれくらい? 休肝日は? ワインと健康について調べてみた

残りの人生であと何本ワインを飲めるんだ問題

ふと考えた。私はこれから先の人生で、何本のワインが飲めるのだろうかと。

何歳まで生きられるかがわからないので正確な本数はもちろんわからないが、日本人男性の平均寿命約81歳から現在の年齢を引いて、年間に飲むワインの本数をかければだいたいのところがわかる。

f:id:ichibanboshimomojiro:20210608175210j:plain

ワインは週に何本くらい飲むのが適量なのか

ここで問題となるのは、では年間にどれだけのワインを飲めばいいのかだ。願わくば死ぬ直前までワインが飲めるだけの健康を維持していたい。なんならワイングラスを片手にあの世に行けたら最高だ。そのために必要なのは健康で、ワインはアルコールである以上飲み過ぎは良くない。

というわけで、我々は週に何回、どれくらいのワインを飲むのが適量なのか? を調べようというのが本稿の趣旨だ。

 

みんなの休肝日は週何日? 1回にどれくらいワイン飲んでる?

調査に先駆けて、まずはtwitterのワイン好きのみなさんを対象に、アンケートをふたつ実施してみた。そのひとつめがこれだ。

このアンケートの結果は、以下のようなものだった。(回答数=191)

週に1回は休肝日:21.5%
週に2回は休肝日:8.9%
週に3回以上休肝日:22.5%

休肝日は前世に置いてきた:47.1%

というわけでことのほか前世で飲まなかった分、今生(こんじょう)で飲んでるという方が多いという結果となった。

ただ一方で、週に3回以上は休肝日を設けるという健康的な方も2割以上いた。

さて、続いて、ふたつめのアンケートは以下のようなものだ。

このアンケートの結果は、以下のようなものだった。(回答数=165)

1本以上:7.3%

1本:18.8%

1/2〜1本未満:49.1%

グラス1杯〜1/2本未満:24.8%

約半分の方が、「ボトル半分から1本未満」と回答。「1本以上」と回答した方も7.4%いたが、それを除いた92.6%の方の1回の平均的なワイン摂取量は「1本以下」ということになる。

 

ワイン愛好家の平均的ワイン摂取量とは?

以上ふたつのアンケートはそれぞれ別々に実施したものなのだが、両者を重ね合わせると「平均的ワイン愛好家」の飲酒習慣がうっすら浮かび上がってくる。
休肝日は週にだいたい1回で、1日にだいたいボトル半分くらいのワインを飲む
あれおかしいな、これ私だな。
アンケートの結果、私は日本人ワイン愛好家のなかで、飲酒強度的にはほぼド真ん中に位置することがわかった。となると、次に問題となるのは、これは適量なのか? という問題だ。このペースは飲み過ぎなのか、あるいはもっと飲んでもいいのか。ここ大問題ね。さっそく見ていこう。 

 

1日の適正ワイン摂取量と「総アルコール量」

 さて、実際のところ飲酒量はどれくらいが適正で、休肝日はどれくらいのペースで設定すべきなのだろうか。いろいろ調べると、「14万人調査で判明、病気にならないための「飲酒ルール」」(日経Gooday 30+)という記事を見つけた。以下にその概要をまとめてみる。
・日本人の「適量」は1日あたり純アルコール換算23グラム。
・ワインであれば「グラス2杯」240ミリリットルが適量。
・純アルコールの摂取は週換算150グラムはOK。
・多少のリスクを受け入れるとすれば300グラムが上限。
休肝日は週2日以上設ける。
あれ意外と厳しいですねこれ。「ボトル半分」は「グラス3杯強」に相当し、休肝日は週2日以上とあるので早くも限りなく赤信号に近い黄色信号であることが判明してしまった。なんとかなりませんかね、先生……!

f:id:ichibanboshimomojiro:20210608175448j:plain

「適量」は意外と少ない……?
ただ、この記事で注目すべきは、アルコール摂取量を150〜300グラムと幅を持たせている点だ。150はOK、300はリスク了承の上ならOK、300以上はNGということだろう雑に理解すると。
 

ワインは週にどれくらい飲めるのか?

そこで、飲んでも大丈夫な(もっとも健康にいいのは“飲まないこと”だろうが)純アルコールの週150グラムがどれくらいかを調べてみた。参考にしたのは、アルコール健康医学協会の「お酒と健康 飲酒の基礎知識」に掲載されたデータだ。
まず、アルコール量の計算式は、
お酒の量(ml)×[アルコール度数(%)÷100]×0.8
この式に当てはめると、アルコール度数14度のワインのボトル1本の純アルコール量は約80グラムということになる。その1/3量に相当するグラス2杯(純アルコール26.6グラム)を週に5日飲んだ場合、26.6×5=133グラムとなり、OKラインである150グラムを下回る。これが健康的な飲酒ライフである。
 

ワインの「ギリギリ適量」を考える

ここで私が、本稿を読んでくださる読者のみなさんが思っているであろうことを端的に代弁しよう。
え……もっと飲みたいんだけど。
これだ。医者に聞けば、1日グラス2杯、休肝日週2がベストです。それと健康的な食事に、適度な運動、これですよヒマワインさん! と言うだろう。いやまあそりゃそうでしょうよ。わかるんですよ。でも1日グラス2杯はなー、いっやー、どうかなー、先生、なんとかなりませんかねえ?(2回目) となる。

f:id:ichibanboshimomojiro:20210608175624j:plain

もうちょい飲みたい
ここで思い出したいのは「リスク了承で300グラムまでが上限」というワードである。カンダタがつかんだ蜘蛛の糸のようなそれに頼って、普段の私の飲酒量をシミュレートしてみよう。私は週にどれくらいの純アルコールを摂取しているのか?
月曜日:休肝
火曜日:ボトル半分飲む(40グラム)
水曜日:ボトル半分飲む(40グラム)
木曜日:ボトル半分飲む(40グラム)
金曜日:ボトル半分飲む(40グラム)
土曜日:ボトル半分飲む(40グラム)
日曜日:ボトル半分飲む(40グラム)
240グラム……!週の総摂取量はボトル3本、純アルコール摂取量は240グラムとなった。OKラインの150グラムは超えるが、上限ラインの300グラムは下回るので、なんとか許してもらえるんじゃないか、という印象だ(実際に許してもらえるかは不明)。これで1日休肝日を増やして200グラムまで下げられたら悪くない感じになりそうだ(できるかどうかは別)。
いずれにしても、純アルコール量という観点から見た場合、週に飲めるのは3〜3.5本くらいになるようだ。
 

アルコール度数と総アルコール量

こう考えていくと、地味にポイントとなるのがワインのアルコール度数だ。以上はすべてアルコール度数14度で計算しているが、言わずもがな、ワインのアルコール度数にはもっと幅がある。そこでワインの度数として一般的と思われる11〜15度を前出のアルコール量換算式に当てはめてみた。【アルコール度数別総アルコール量】※750ml11度:6612度:7213度:7814度:8415度:90総アルコール量は11度と15度では24グラムも違う。え、そんなに違うの。では、それを2本/3本/4本飲んだ場合ではどうか。
11度:132/198/264
12度:144/216/288
13度:156/234/312
14度:168/252/336
15度:180/270/360
アルコール度数15度のワインでは、週に2本で180グラムとOKラインを超えてくるが、12度ならば2本飲んでも144グラムと許容範囲となる。上限の300グラムを基準にした場合、12度のワインなら4本でも収まる。こうなると求められるのは“軽いワイン”ではないのか。
たとえば最近飲んだワインに、ヒトミワイナリーの「ソワフ ルージュ(2020)」がある。マスカットベーリーAを使った飲みやすいワインで大変おいしかったのだがこのワインのアルコール度数は10度だ。720ミリリットル入りのボトルで、総アルコール量は1本あたり57.6グラムとなる。つまり週に3本飲んでもほぼOK圏内なのだ! ハレルヤ!
……とまあそんな単純な話ではもちろんないのだろうが、アルコール度数が低いワインに注目するのもひとつの方法かもいしれない。ワインショップの方、アルコール度数12度未満のワイン特集をお願いします買います。

 

休肝日はなんのためにある?

 さて、最後に「休肝日」について別の側面から考えてみたい。そもそも「休肝日」とはなにで、なんのために設ける必要があるのだろうか?
そんなもん肝臓を休ませるために決まってんじゃんと思われるだろうが、厚生労働省が運営する「e-ヘルスネット」の「健康用語辞典」の「休肝日」の項目を見ると、少し違うニュアンスで語られている。

f:id:ichibanboshimomojiro:20210608175836j:plain

そもそも休肝日とは?
少し長いがそのまま引用してみる。読み飛ばしていただいても大丈夫だ。
休肝日(きゅうかんび)肝臓を休めるために週に1日以上飲酒しない日を設けることを推奨する目的で作られた造語。習慣的な飲酒を継続しているとアルコールは依存性薬物のため耐性が発生し、徐々に飲酒量が増加する危険性があります。
休肝日を設けると飲酒総量が減るので肝障害が予防できる可能性があります。しかし、反動で飲酒する日の飲酒量が増えるかもしれません。休肝日を設けられるか否かで、肝障害の進展を予防するという科学的根拠はありませんが、アルコール依存症のような問題飲酒の顕在化には役立ちます。アルコール依存症や予備群であれば、休肝日にはイライラしたり寝付きが悪かったりするため休肝日を継続することに失敗するからです。
 ポイント(要約)は以下だ。
休肝日を設けると肝障害が予防できる「可能性がある」
・ただし、反動で飲酒日の飲酒量が増える「可能性もある」
休肝日を設けることで肝障害を予防できるという科学的根拠はない
アルコール依存症の顕在化には役立つ
つまり、「肝臓の病気の予防になるかはさておいて、自分がアルコール依存症かどうかはわかる」ということになる。休肝日にイライラしたり、寝つきが悪くなるならば、それはアルコール依存症、あるいは予備軍とのことだ。ギク。
休肝日と習慣飲酒同じサイトには、「習慣飲酒」という言葉も解説されている。これは、週に3日以上、1日1合(筆写注:グラスワイン2杯換算)以上の飲酒のことをいうのだそうで、私はもちろんこれに該当する。
おそらくこの記事を読んでくれている方の多くはこれに当てはまるのではないかと思うが、そこにはこう書いてある。

アルコールには耐性(長期間摂取すると薬物の効果が減少すること)という性質があるため、結果として飲酒量が増大し、アルコール関連問題を引き起こすことがあります。そのため休肝日を設けることも、節酒指導のひとつとして行われています。

 

休肝日はアルコール依存のリトマス試験紙であり、同時に対策でもあるということになる。休肝日は肝臓のためだけにあるのではなく、総アルコール量を減らし、依存症リスクを可視化・低減するためにあるわけだ。
 

休肝日と『アル中病棟』

アルコール依存症といって思い出されるのは、吾妻ひでおの『アル中病棟』。著者が実際にアルコール依存症となり、隔離施設に収容されたルポルタージュ漫画で、アルコール依存症になると人はこうなる、ということが非常によくわかるので、ぜひご一読いただきたい。

私はこれを枕頭の書とし、己を戒めるために定期的に読むようにしている。漫画として抜群に面白いし。気に入ったら『失踪日記』に『カオスノート』もぜひ読んでいただきたい休肝日の話だった。

 

また、注意したいのが「酒を飲むことで栄養を摂らなくなる」ことが健康リスクにつながるということだ。

しょっぱいつまみばかりを食べて塩分過多にもなりやすいという。気づけば生ハムとなんかのパテ、チーズとクラッカーでお腹いっぱいみたいなの良くない。

ワインは食事と合わせてこそ楽しめるもの。飲むときは食べる。それも、バランス良く。これも忘れずにおきたい。

 

himawine.hatenablog.com

 長々と書いてきたが、アルコール度数が何%で何グラム飲めるか、なんてことを過度に気にするよりも、上のスケジュールを守り、しっかりと食事を摂りながら、適量を楽しむことが大事だと私は思う。

今回の調査でだいたい生きてるうちに飲めるワインの本数はざっくり把握できた。多いような少ないようなその数を全力で楽しんでいきたいと思う次第である。

 

最後に。当たり前の話ですが、アルコール分解能は個人によって異なります。上に挙げた「適量」は万人には当てはまらないはず。また、本ブログ記事は下記のサイトを参考に執筆してます。あくまで健康に関する情報なので鵜呑みにはせず、必要に応じて元サイトにあたるなどしていただければと思います。間違いがあればご連絡ください。

 

<参考サイト>

日経Gooday 30+「14万人調査で判明、病気にならないための「飲酒ルール」」

https://style.nikkei.com/article/DGXMZO91343060U5A900C1000000/

アルコール健康医学協会「お酒と健康 飲酒の基礎知識」

http://www.arukenkyo.or.jp/health/base/index.html

厚生労働省 e-ヘルスネット

https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/alcohol/ya-015.html 

 

ワイン初心者にオススメしたい1000円前後で買える安くておいしいワイン11選、あるいはワインにハマるメリットとその方法について

ワインにハマるための方法とは

私は自宅に友人を招くのが好きで、週末にいわゆるホムパ的なことをよくする。その際は、料理もお酒も用意するのだが、最近の私はワインにハマり倒しており、もはやビールすら出ない(ワインしか出ない)家になり果てている。

f:id:ichibanboshimomojiro:20210604170257j:plain

ふだん私は1000円台、2000円台のワインを飲んでいるのだが、友人を招いた際は高くて開けられないワインを開ける心理的ハードルが麦茶を出すレベルまで下がるので、そこそこの値段がするやつが開く(一度フィンランド人の友人がパートナーを連れてきた際は興奮してワインが12本開いた)。そして、料理もそれに合ったらいいなあと願いを込めて用意する。

レストランでの満足度には遠く及ばないとしてもそれなりに楽しい食事となる。結果として、友人たちのワイン熱の高まりを感じるのは嬉しいことなのだが、そこでふと考えた。ワインにはどうハマっていくのがスムーズなのだろうか、ということだ。

 

そこで本記事では、私自身がどのようにしてワインにハマったかを解説しつつ、ワインにハマるための効率の良い方法を解説していきたいと思う。これからワインを飲んでみたいな、ハマれる趣味が欲しいな、と思っている人の参考になればこれ以上嬉しいことはないというタイプの記事だ。検索等でこの記事にたどり着いてくれた方が必要な情報を得られるようにがんばりたい次第である。

 

ワインにハマったきっかけ

まずは私自身の話をさせてもらおうと思う。ワインにハマったきっかけは2年前。とあるフレンチレストランでのランチだ。私は当時ビール好きだったので、フレンチでもイタリアンでもひたすらビールを飲む客だったのだが、この日はなぜか(たまたま直前に雑誌のワイン特集を読んだかなんだかで)ワインを飲もうと思い、前菜に合わせて白ワインをグラスで頼んだ。

f:id:ichibanboshimomojiro:20210604170328j:plain

驚いた。通い慣れた大衆フレンチの何度も頼んだイワシエスカベッシュが、「この料理ってこんなにおいしかったっけ!?」と言いたくなるほど表情を変えてしまったからだ。イワシの臭みが霧消し、旨味だけが抽出された印象。イワシ→ワイン→イワシ→ワインで大忙し、みたいになった。

そして、その日のメインの鴨のコンフィにも2種類用意された赤のグラスワインのなかから一種を選んでもらい、合わせてみた。マジでなんだこりゃ爆発的においしいじゃないの。ってなったのだった。幼馴染みに10年ぶりに合ったら美人になっててビビったみたいな衝撃だ。「え、お前……ひょっとして鴨!?」みたいになった。

目の前の一皿にワインを合わせるだけで料理の味が一段も二段もグレードアップしてしまった。なんだこりゃ。どうなってるんですかね。忘れもしない、その後の2年間で500本近いワインを自宅で消費することになる、それが最初の一撃だった。

 

ワインの情報をどう入手するか

趣味の世界はなんでもそうだが離脱率が一番高いのは入り口だ。せっかく芽生えたワインへの興味の炎を消さないためには最初が肝心というわけで、私はその後ネットでワイン初心者向けの記事をたくさん読んだ。その頃『教養としてのワイン』という本を読み、それもワインへの興味をより高めてくれた。

そして、調べに調べた上で「カザマッタ・ロッソ」という名前のワインをamazonで注文した。そして届いた1000円ちょっとのその赤ワインは、まるであの日のフレンチレストランで出てきたワインのように、甘ったるくなく、酸っぱくもなく、ただただ食事に寄り添って、料理の味もワイン自身の味も高めてくれるような、食卓の風景を一段階明るくするような作用を私にもたらしてくれた。

「おいしい!」という感動に、「きちんと調べれば、求める味にたどりつけるんだ!」という成功体験が加わったことで私は一気にワイン沼にハマることになる。ハマってしまうと、今まで「難しい」と感じられた要素が「楽しみ」に反転する。

 

ワインにハマっていくとどうなるのか

たとえば、安うまワインの代名詞とも言われる「コノスル」というチリのワインがある。自転車のマークのラベルがコンビニやスーパーでも売られているので目にした人もいるかもしれないが、このコノスルの1000円でお釣りがくる値段で売っているスタンダードレンジからは、品種違いで赤6種類、白5種類がリリースされている。

f:id:ichibanboshimomojiro:20210604170356j:plain

品種によってワインの味は驚くほど変わる。

こんなにあったら、選ぶのは当然難しい。「ワインって難しい!」と離脱のトリガーになってもおかしくない。しかしこれがまた好きになってみると「こんなにたくさん選べるんだ! ワインって楽しい!」に変化する。これほんと不思議。「赤」と「白」とあと「ロゼ?」だけじゃないんだってなったところから沼へと落下していく角度がすごい。

同じ「コノスル」の赤ワインでも、カベルネ・ソーヴィニヨンピノ・ノワール(いずれも品種名)では味も特徴も全然違うし、白でいえばシャルドネとゲヴュルツトラミネールでは誰が飲んでも感じられる味わいの違いがある。友人やパートナーと、「同じ白でも全然味が違うね!」なんて言いながらワイワイ飲んだら余計に楽しいと思う。一人で飲んでも楽しいけど。

f:id:ichibanboshimomojiro:20210604171043j:plain

ワインごとの味わいの違いがわかるとすごく楽しいです。

これは、スポーツ観戦が最初は「勝った・負けた」くらいしかわからないところから、徐々に選手によるプレースタイルの特徴の違いや監督の戦略やその狙いがわかってくるとグッと楽しくなってくるのに似ている。

一緒に野球を観に行って、「バントってなに? どうしてバットを振らないの?」と聞いてきた彼女が、「統計でノーアウト1塁でのバントは得点期待値を下げるだけって結論が出てるわけでしょ? どうしてバットを振らないの?」と聞いてくるみたいなものだ。この場合、後者のほうが野球というゲームをより深く愛し、より楽しんでいると言っていいと思う。蘊蓄は趣味を楽しむための安価で強力なツールだ。

サッカーなら南米のチームとヨーロッパのチームでプレースタイルが異なるように、ワインは国によって味の傾向が違うし、同じ国でも地域によって味は違う。一部の地域では「村」による味の違いがあり、さらには「畑」による味の違いまである! しかも「生産者」や「ヴィンテージ(年度)」という変数まである。さらに、飲んだだけで以上のような変数を脳内で統合してどんなワインかを当てられる人までいるというのだから驚きだ。深すぎる。

f:id:ichibanboshimomojiro:20210604171115j:plain

目の前のグラスにひたすら向き合うのも楽しい。

そういった特殊技能はさておいて、世界中の産地の様々な品種を飲むことで、地図の空白部分を埋めていく作業は楽しいものだ。ワインは「楽しむためには知識が必要」ではなく「知識を得ること自体を楽しめる」「知識が増えるほど楽しい」と言える。ちなみに、品種を理解するには「図解 ワイン一年生」という本がオススメだ。

そして、国の違い、地域の違い、品種の違いは1000円未満のワインでも十分味わえる。意外とハードルは低いのだ。もちろんお金が十分にあるのなら、いきなりハイエンドに行くのも悪くないが、1000円札が一枚あれば、ワインライフは十分にはじめることが可能だ。

ワインは万国共通語なので、外国の友だちともうまいだのそうでもないだのでワイワイ盛り上がれる。ビジネスシーンでも覚えておいて損することはなにひとつないはずだ。しかもなにしろおいしい。

 

ワインはどこで買うべきか

ただ、問題は、どこで、どう買うかだろう。コンビニにだって数十種類、スーパーにはそれよりもさらに多く、専門店には壁一面にズラリとワインが並んでいる。専門店で店員さんに聞くのがもっとも手っ取り早い方法だが、下手に店員さんに聞いて「買わなきゃいけない空気」になるのもアレ。聞くこと自体に心理的ハードルがあるはずだ。

でも実はワインを選ぶのはめちゃくちゃ簡単だ。少なくとも、「どれがおいしいか」はすぐわかる。やり方は簡単で、アプリを用いればいい。オススメは「vivino」というアプリで、これはワインのラベルをスマホのカメラで撮影すると、口コミ情報や評価点などが表示されるというアプリだ。このアプリは世界中に愛用者がおり、有名ワインだと数千人が評価していたりする(余談だが筆者の友人のフィンランド人もイタリア人も知っていた。vivinoすごい)。

f:id:ichibanboshimomojiro:20210604171158p:plain

vivinoの評価画面。ラベルスキャンorワイン名検索で評価がすぐわかる。

5点満点でワインが評価されているのだが、点数的には3.5を超えるとハズレの可能性がガクッと下がり、3.8を超えるとほぼアタリ確定。もちろん例外はあるが、2021年6月現在、その信頼性は決して低くない。「点数の低いワインが飲んだらうまい」ことは多くあるのだが、その逆があまりないのがいいところだ。

「点数の高いワインは値段も高いんじゃない?」と思われるかもしれないが、そんなこともない。たとえば「ベンド カベルネ・ソーヴィニヨン」というカリフォルニアの赤ワインがある。値段は836円税込だ。安い。このワインのラベルをカシャッと撮影してみると……点数は3.5点。悪くない。実際にこのワイン、濃厚な果実味がたっぷり感じられてすっごくおいしい。

f:id:ichibanboshimomojiro:20210507082643j:plain

ローソンで買えるおいしい赤ワイン、ル・クロワザード・レゼルヴ カベルネ・シラー

コンビニで売っているもののなかにも高評価のものはある。ラ・クロワザード レゼルヴ カベルネ・シラーは、コンビニ(私はローソンで買った)で売っている南フランスのワインだが、vivinoの評価は3.7点と高い。実際に飲んでみても、1000円を切る価格ながらすごくチャーミングな味がして大変おいしい。

スーパーのSEIYUで売っている「FYI」というワインも評価は3.7点。これも1000円でお釣りがくる価格だ。余談だが1000円以下のワインは当たりハズレが多く、というか明確にハズレが多く、そのため「おいしくないな。もう買うのやめよ」という離脱のトリガーになり得る。1000円以下のワインこそテキトーに選ぶべきではないと私は思う。

また、カルディコーヒーファームで売っている南アフリカのワイン、象のラベルの「バランス」もおいしいワインだ。750ml入りだけでなく、375ml入りのハーフボトル、そのまた半分のミニボトルもあったりして、手に取りやすい。

f:id:ichibanboshimomojiro:20210507082855j:plain

カルディで売っている「バランス」もおいしいワインだ。

コンビニやカルディの棚から無作為にこれらの1本を探すのは難しいが、アプリの力を借りれば楽勝だ。

この評価は、ボトルが目の前になくてもたとえばネットショップの商品ページの画像を読み取ることでも確認できるし、写真がとれなくてもワインの名前を入力すればチェックすることができる。

正直ロマンがない方法だが、せっかくお金を払うんだから、おいしいものを飲んだほうがいいに決まってる。「この造り手ならば間違いない!」「あの人が推薦しているのなら絶対おいしい!」といった確固たる評価軸がない段階ではワインを選ぶ際の極めて大きな助けになると思う。(ただし、店内撮影禁止のお店も多いし、基本的にはお店にも他の客にも嫌がられると思うのでご注意を)。

 

ワインを買うなら楽天で、と思う理由

ワインを飲むようになって生じた私の人生のメジャーチェンジとして、amazon10割だったネットでの買い物が、99.9%楽天市場になったことも挙げられる。なぜかといって理由は単純で、楽天のほうが安く、品揃えも豊富だからだ。amazonの利点は「翌日つく」(プライム会員がプライム対象の商品を買った場合)だが、ワインの場合明日つかないと困る! というケースは多くなく、なんなら「そのうち着いてくれればいい」くらいの感じ。amazonの強みがとくに活かせない一方で、安い、品揃え豊富、ポイントが貯まるといった楽天の良さは100%享受できる。

今では楽天プレミアムカードを申し込み、あれやらこれやらも申し込み、ポイ活に勤しむ始末である。お得なのでやったほうがいいです。その分おいしいワインが飲める。

そんなこんなで私は高校生のころ音楽にハマり、バイト代すべてを輸入CD代に突っ込んでいたときのような夢中具合を、中年男性になった今味わっている。まじで17歳の気分。世界には無限にCDがあり、そのすべてを自分は買うことができないが、1枚でも多くの音源を手に入れて、自分の精神に刻み込みたいと当時私は願った。今はワインが飲みたい、1本でも多く。

 

【ハズレなし! ワインにハマりたい人に勧めたい2000円以下で買える世界のワイン11選】

というわけで最後はオススメワインを紹介してシメたいと思う。紹介するのは白ワインと赤ワイン、そしてシャンパーニュシャンパン)が1本だ。ワインの入り口には甘口ワインを置いておくべきだという意見があるのは承知しているが、私自身が甘口ワインから入ったわけではないので、ここでは提案しない。

「晩酌」を念頭に、仕事を終えて帰宅して、食事と一緒に味わいたいワインを挙げた。サッパリした食事なら白ワイン、こってりした食事なら赤ワインをぜひ。

 

■スッキリ楽しめる! 1000円以下のオススメ白ワイン4選

白ワインは赤ワインに比べて渋みが少ないため、飲みやすいと感じる場合は多い。なかでも、前述した自転車のラベルのコノスル ビシクレタシリーズが鉄板だ。冷蔵庫で冷やしておけばOKなので管理もラク。開けてから1週間くらいは普通に飲める。白ワインはとりあえず手に取るのにいい。以下、オススメの銘柄を挙げていこう。

 

コノスル ビシクレタ ゲヴュルツトラミネール(チリ)

チリの大規模生産者。安うまワインの代名詞。自転車マークのビシクレタシリーズは1000円を切る価格で買えて味わいは本格的。なかでも完全にライチ味がする「ゲヴュルツトラミネール(品種名)」は最高。

 

コノスル ビシクレタ シャルドネ (チリ)

ゲヴュルツトラミネールよりも入手難易度が低く、多くのスーパー、コンビニなどで入手可能なのが同じくコノスルのシャルドネ (品種名)。フルーティでコクがある、白ワインらしい白ワイン。シャルドネは非常に多くワインで使われる品種なので、「基本」として抑えておきたい。

 

ランガティラ ソーヴィニヨン・ブランニュージーランド

スーパーの「肉のハナマサ」で買えるニュージーランドの白ワイン。ブドウ品種は草原のような香りと、グレープフルーツのようなさわやかな味わいのソーヴィニヨン・ブランニュージーランドソーヴィニヨン・ブランはそこそこ値段がする場合が多いのだがこれは1000円を切る価格で買えるのもいい。ハナマサが近所にあるのならかなりオススメ。ソーヴィニヨン・ブランも「基本」というべき品種だ。

 

バランス シュナンブラン コロンバール(南アフリカ

「カルディ」で売っている南アフリカの象のラベルでお馴染みのワイン。シュナン・ブランとコロンバールのブレンドで造られるワインは飲みやすさ抜群。ハーフサイズもよく売っているので、気軽に冷蔵庫で冷やして飲みたい。

 

果実味たっぷりで飲みやすい!1000円以下〜1000円台半ばの赤ワイン6選

居酒屋などで出てくる赤ワインはすっぱくて渋い印象がある。酸味も渋みもワインにとって重要な要素だが、手っ取り早くおいしいと感じるワインは圧倒的に果実味が主体のワインだ。以下には、そのようなワインを挙げた。

 

ベンド カベルネ・ソーヴィニヨンアメリカ)

1000円を切る価格でもこんなにおいしいワインがあるのか! と驚かされるのがこのワイン。赤ワインの代表的な品種であるカベルネ・ソーヴィニヨン種を使い、本格的な味わいが楽しめる。「おいしい赤ワイン」の味の雰囲気を感じるのに最適だが、コンビニやスーパーではみたことがないのが難点といえば難点。

 

コノスル ビシクレタ ピノ・ノワール(チリ)

コノスルは赤ワインならピノ・ノワール(品種名)をオススメしたい。ピノ・ノワールはコノスルという会社自体がもっとも推す品種であり、エントリーレンジでも品種の特徴的な味わいがしっかりと出ている。甘酸っぱくておいしい。

 

ラ・クロワザード レゼルヴ カベルネ・シラー(フランス)

ローソンで買える南フランスのワインだが、くっきりとした果実味に酸味もあり、ようするに甘酸っぱくて大変おいしい。赤ワインの代表的国際品種、カベルネ・ソーヴィニヨンと、南フランスを代表する品種のひとつ、シラーのブレンド。1000円を切る値段で買える。

 
FYI レッドブレンド(スペイン)

安くておいしい赤ワインの宝庫であるスペインワインで、スーパーのSEIYUで買える。値段は1000円を余裕で切るが、味わいはスペインのイメージそのままの、明るくて親しみやすい果実感あふれるもの。買い物のついでにカートに入れて損がない。

 

30マイルズ シラーズ(オーストラリア)

スーパーの成城石井で買える大変オススメの赤ワイン。果実味が強く、単品でも美味しく飲めるし、牛肉料理と合わせるとめちゃくちゃ合う。最近価格が改定されたようで、なんと値下がり。1000円台前半の値段で買えるようになった。もともとは1000円台後半だったのでかなりお値打ちと言える。

[rakuten:seijoishii:10046040:detail]

 

ロッソ ディ カモミ(アメリカ)

1000円台前半でもうひとつ強く勧めたいのがこのワイン。アメリカ、カリフォルニアの赤ワインならではの濃厚な果実感を存分に味わえる。ワインは雑にいえば値段が高いほどおいしくなるので、1000円台のワインはやはり一味違う。このあたりからエントリーしてみるのも大変オススメだ。

 

チャンキー レッド ジンファンデル (イタリア)

カルディでたまに売っている玉乗りしている象のラベルがかわいいワイン。果実味のパワフルさが尋常ではなく、アルコール度数が低いわけではまったくないのにごくごく飲めてしまう大変危ないワインだ。BBQパーティなどにも強くオススメ。値段は1500円ちょっとするが、その価値はある。

 

■オススメシャンパン1種類

フランス・シャンパーニュ地方で造られるスパークリングワイン=シャンパーニュ。安酒ではまったくなく、エントリーに適しているとも思わないのだが、パーティなどに「CHAMPAGNE」と書かれたボトルを用意しておくと大変華やぐのも事実。

そして、シャンパーニュにはシャンパーニュでしか味わえない独特な味わいがあり、安い値段のものを買っても必ずそこそこ以上に楽しませてくれる平均点の高さがある。なので、1本定番のシャンパーニュを覚えておくと異常に便利だ。

 

ポワルヴェール・ジャック(フランス)

オススメはこのワインで、ネットはもちろん、ビックカメラでも気軽に買える。価格はシャンパーニュとしては破格の2000円前後。もちろん味はしっかりシャンパーニュで、おいしい。

 

■オススメワインセット

と、いろいろ書いてきたが最初は「ワインセット」を注文するのも手っ取り早い方法だ。ワインセットには多種多様なワインが含まれるため、自分の味の好みを探しやすいのだ。いくつか、良さそうなのを挙げてみよう。

 

エノテカのワインセット10本1万円弱。赤、白、スパークリングが入っていて楽しめる。エノテカのワインはハズレが少なく、安心のクオリティ。

 

カーブドエルナオタカの「鬼コスパ」セット。1本あたり1380円とやや高いが、その分かなりレベルの高いワインが詰め込まれていることで定評がある。

 

コノスル ビシクレタのセット。オススメのシャルドネ、ゲヴュルツトラミネール、ピノ・ノワールなど自由に組み合わせることが可能。かなりオススメ。

 

1本あたり1000円台前半を出せるなら、コノスルの上級レンジである「レゼルバ」シリーズが強くオススメ。味わい的にグッと本格的になり、なにを飲んでも楽しめるはず。品種の特徴もしっかりと味わえる。

 

ワインセットのなかには、1本あたりの単価が500円前後であることを謳うものが多くあるが、おいしいものが含まれているかどうかは未知数。1本1000円前後を目安に選んであげるとハズレが少ない上に、アッと驚くアタリを引く可能性も高まる。

ぜひ、おいしいワインと出会って、素敵なワインライフのスタートを切っていただきたい。そう願ってやまない次第だ。ワインは楽しいです、最高に。

 

ドメーヌ・デ・リゼ「エキノックス」。“神の子”がつくるシラーの味わいは? 【Domaine des lises Equinoxe】

ドメーヌ・デ・リゼ「エキノックス」を買った

安くておいしいシラーを飲んでシラーの地図を作ろうと思い立ち、ツイッターで3000円以下のオススメシラー情報を教えてくださいと呼びかけてみた。ツイッターに集うワイン賢者のみなさんの集合知でワインを選べば、最短距離で「安うまシラーMAP」が完成するに違いないと思ったからだ。

コメント欄が有用すぎるのぜ是非ご覧いただきたいのだが、今回飲むドメーヌ・ド・リゼの「エキノックス」もそうして教えていただいたうちの1本。輸入元のフィラディスのページによれば、希望小売価格は税抜き3100円のようだが、ネットショップなどでは3000円を切る価格で売られているので「安うまシラーMAP」のレギュレーション(3000円以下)的にはアリ。

f:id:ichibanboshimomojiro:20210604090555j:plain

ドメーヌ・デ・リゼ「エキノックス」を飲みました。

AOCはフランスは北ローヌのクローズ・エルミタージュだ。北ローヌ最大のアペラシオンだよねたしか。使われているのはシラー100%。AOCの規定ではシラーを85%以上使う必要があり、残り15%は白ブドウのマルサンヌ、ルーサンヌをブレンドできるそうだ。

 

ドメーヌ・デ・リゼはどんな生産者か

さて、どんな生産者なのかと調べてみると、あれおかしいな。公式サイトがヒットしない。輸入元のページには、クローズ・エルミタージュの神様的存在であるアラン・グライヨの息子であるマキシム・グライヨが独立して設立したとある。神様の息子だから神の子。息子の情報がないならばまずは神様・アラン・グライヨのほうから調べてみることにした。

ドメーヌ・アラン・グライヨで検索してみると、croze-helmitage-vin.frという、クローズエルミタージュの公式サイトみたいのがヒット。そこには、ドメーヌ・アラン・グライヨの公式サイトのurlも記載されていた。

やっと一次情報にありつけそうだわい。そう思ってリンクをクリックした私はとんでもないものを目にすることになる。これだっ

f:id:ichibanboshimomojiro:20210604084942p:plain

 

coming soonって。
親子そろって公式の情報がネット上に(見つけられ)ない。
今度とcoming soonは来たことがないという名言(そんな名言はない)に従い、今回は粛々とインポーター資料を読み込んでいきたい。

himawine.hatenablog.com

 

ドメーヌ・デ・リゼとマキシム・グライヨとアラン・グライヨ

ドメーヌ・デ・リゼは北ローヌの有名産地であるところのクローズ・エルミタージュにおいて神様と称されるアラン・グライヨの息子、マキシム・グライヨが設立。

マキシムは2003年にクローズ・エルミタージュに5ヘクタールの土地を買い、2004年、27歳で初ヴィンテージをリリース。たちまち評判となり、現在は父のドメーヌ、ドメーヌ・アラン・グライヨの醸造責任者も務めている、という人物。2004年で27歳だったらほぼ同世代だな自分と。親近感わくな。

himawine.hatenablog.com 

で、面白いのは父のドメーヌと自分のドメーヌで醸造のやり方を変えているという点。

父ドメーヌ:全房発酵、タンクでのマロラクティック発酵、古樽での熟成
子ドメーヌ:90%除硬、バリックでマロラクティック発酵、新樽10%ほど使用

父のドメーヌでは父のドメーヌの伝統を守りつつワインを造り、自分たちのドメーヌでは自分たちのやり方でワインを造っている。結果、「マキシム・グライヨはアラン・グライヨのライバル」と言われるほどの評価を得たのだとか、なんですかねこのいい話。中国の故事にありそう。

エキノックスは、春分秋分を意味するフランス語。春分の日に瓶詰めされ、秋分の日にセラーから出荷されるからその名がつけられたのだとか。シャレとる。一体どんな味なのか、いざ飲んでみよう。

 

ドメーヌ・デ・リゼ「エキノックス」を飲んでみた

グラスに注いでみると、かなり濃い紫色。エキノックスという名前やラベルのイメージからもう少し軽めの感じかと思いきや意外と見た目は濃厚だ。でもって香りがすごいなこりゃ! 毛皮と土と果実の合わさったような、野に咲くなんらかのベリーを食べ尽くしてきた満腹獣(まんぷくじゅう)、みたいなワイルドな香り。

で、全然いやな香りではないのだが、ちょっとだけワイルド過ぎるような気がしなくもない。そして私の少ない経験から「なんとなく、時間が経ったらなくなる香りのような気がする」という気がしたので初日はグラスに1.75杯くらいを飲んで2日目に飲んだらうはは、超うまい。

これぞまさに飲む美女と野獣状態で、野獣が王子に変わったような味わい上の変化があった。ワイルドだった香りは穏やかになり、酸味が前に出ていた味わいは落ち着いてマイルドになっている。そして主張しすぎない上品な果実味があってどんどん飲めちゃう。

うーんこれ2000円台か。2000円台も後半になるとこういうスケールの大きいワインが出てくるから面白いんだよなあ。

f:id:ichibanboshimomojiro:20210604085831p:plain

シラーMAP上の打点は、意外とエレガント系ではなく果実味よりの味わいだと感じた。次なるシラーもすでに抜栓済み。地図を埋めていく作業がなんだかとっても楽しくなってきた!

現時点でのベストは変わらずポークパインリッジ シラー↓


<余談>生産者名はドメーヌ・デ・リゼなのか問題

ここから先は完全な余談だ。本稿ではこのワインの生産者を「ドメーヌ・デ ・リゼ」と輸入元の表記に従って表記してきたが、これは本当に正しい生産者名なのだろうか?

というのも、海外の生産者紹介サイトを見ると「Domaine Equis」あるいは「Equis」として紹介されてるんですよこの人たち。で、ドメーヌ・デ・リゼは彼らがつくるワインの商標的なものだと紹介されている。
Equis クローズエルミタージュ “エキノックス” =若飲みタイプ

Equis クローズエルミタージュ“ドメーヌ ・デ・リゼ” =熟成可能なタイプ
みたいな。

実際、エキノックスのラベルにドメーヌ・デ・リゼの文言はなく、mis en bouteille par equisというクレジットが入れられている。「equis」が瓶詰めしましたよってことですよねこれ。うーん気になる。気になるので輸入元のフィラディスに問い合わせをかけてみたが、返信は現時点で届いていない。我ながら面倒な問い合わせなので納得だ。すみません。ただ気になるは気になるので、この件、正解をご存知の方がいたら教えてください。

 <追記>

記事公開後、

ドメーヌ・デ・リゼ=クローズエルミタージュの自社畑のブドウで造ったワイン

Equis =買いブドウで造ったワイン

ではないかというご意見を頂戴しました。クローズ エルミタージュ ヴィーニュ フランシュという接ぎ木をしていない自根ブドウでつくるワインもドメーヌ・デ・リゼ名義であることもその傍証となりそう。